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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

ネパール:洪水被害で女性と子どもたちが厳しい状況に

【2008年9月2日 ネパール・スンサリ】

洪水で家が押し流され、子どもを抱えて増水した水の中を歩く男性
© UNICEF Nepal/2008/Shrestha
洪水で家が押し流され、子どもを抱えて増水した水の中を歩く男性(ネパール スンサリ郡にて)

洪水に遭わなければ、ネパール南部のスンサリ郡にあるこの教室は、生徒たちで溢れていたはずです。ところが、この教室は現在、10世帯合わせて約80人でいっぱいになっています。サプタコシ川の洪水に見舞われ、すべての所持品を押し流されて、避難を求めてやってきた人たちです。

ところが、この学校とて設備が整っているわけではありません。子どもたちは、コンクリートの床の上で夜を明かし、毛布も満足な衣服もない状態です。小さい子どもたちの間では肺炎が流行り始め、母親たちは子どもたちの食べ物を確保するだけで必死です。

「マットレスも毛布もありませんから、子どもたちはこんな状態で寝ています」と、11人の子どもの母親であるベグムさん(40歳)は言います。「生後3ヶ月の子どもにあげられる物がなくて大変です。以前は、家畜にしていた牛から搾ったミルクを与えていたんですが。洪水で牛がみんな流されてしまって・・・」

こんな状況にあるのはベグムさんひとりではありません。避難所にいる他の女性たちもベグムさんと同じ状況なのです。シャヒダ・カツゥムさん(25歳)は4人の女の子の母親。お腹には5人目の赤ちゃんがおり、妊娠7ヶ月です。彼女は、洪水の中、首までつかりながら、水をかきわけかきわけ避難してきました。夫のタルジャさんは、そんな妻とお腹の赤ちゃんの健康を心配しています。

「妻は、避難所に着くなり出血してしまったんです」と、タルジャさんはその時のことを振り返りながら言います。「病院に連れていったのですが、まだ回復していません。ちゃんとした食事も、安全な休息場所もありませんから、とても心配です。」

女の子たちの安全性への懸念

避難を余儀なくされている人々は、政府がより安全な場所を提供してくれるのを待っています。特に、若い娘を持つ母親は、気が許せない状態です。

ユニセフが配布した衛生キットの中身を見るスンサリの避難所にいる女性たち。
© UNICEF Nepal/2008/Shrestha
ユニセフが配布した衛生キットの中身を見るスンサリの避難所にいる女性たち。

ナイマ・カトゥンさん(32歳)は、10代の娘二人のことが心配でなりません。「私たちは、この部屋を他の5世帯の家族と一緒に使用しています。夜になると、娘たちの安全が気になって眠れません」と、カトゥンさん。「こんな狭いところで、見知らぬ男性たちと一緒に寝起きしないといけないなんて、どうしていいかわかりません。」

プライバシーと安全性の確保のために、ユニセフとそのパートナーは、特に女性と年頃の女の子たちのために、320の入浴スペースを設置しました。ユニセフは、男女別トイレの設置を政府に提言すると共に、トイレの設置を進めています。また、女性に対する暴力を防止するために、夜間の見回りの実施や、灯りの設置をするよう要請しています。

加えて、ユニセフは、地元パートナーと協力して、避難所内での人々の保護についてモニタリングを行い、その報告を行うこと、そして、心理社会的な支援を必要としている人々に、適切なケアが行われるよう努力しています。

ユニセフの物資支援

ネパール政府により提供された食事を食べる洪水被害により避難所での生活を余儀なくされている。
© UNICEF Nepal/2008/Shrestha
ネパール政府により提供された食事を食べる子どもたち。洪水により避難所での生活を余儀なくされている。

同時に、ユニセフは、スンナリ郡の子どもたちのために、少なくとも30の「子どもに優しい空間」を設置できるよう、ほかの人道支援団体とも協力して活動しています。「子どもに優しい空間」では、乳幼児ケア、仮設の学校、ライフ・スキル研修、心理社会的な支援、子どもたちのためのレクリエーションなどさまざまな活動が提供されます。

洪水で被害を受けたスンサリ郡とサプタリ郡の人々への物資支援として、ユニセフは、幼い子どもたちのための毛布1,000枚と子どもと若者たち用の衣服キットを1万セット配布しました。また、妊産婦や授乳期の女性たちのために、寝具と衣服のキットを3,000セット届けました。

ユニセフは、既に1万人に支援を届けており、今後も被災地の避難所で生活している合計5万5,000人に支援物資を届ける予定です。

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