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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

ガザ地区
「直ちに必要なのは水と衛生、心のケア」
心のケアが必要な子ども2万5,000人

【2014年7月15日 エルサレム発】

緊迫した情勢が続くガザ地区。2014年7月15日時点でのガザ地区の状況とユニセフの取り組みなどをご紹介します。

水と衛生

空爆で負傷した子どもを運ぶ医者。子ども35人が死亡、少なくとも296人が負傷した(7月14日時点)
© UNICEF / Eyad El Baba/2014
空爆で負傷した子どもを運ぶ医者。子ども35人が死亡、少なくとも296人が負傷した(7月14日時点)。
  • 空爆で、水の運搬路、上下水道管が損傷、すでに過稼働だったガザ地区の水と衛生システムにさらに影響
  • 地元行政の水運搬担当者3人が業務中に殺害され、行政はすべての定期業務と修繕を停止
  • 電力については、エジプトからの1ライン、イスラエルからの3ラインが損傷
  • ガザ市では75%で電力が供給されず、地下水の汲み上げにも大きな影響
  • 非常用の発電装置を稼働させるには燃料とモニタリングが必要だが、燃料が不足
  • 下水処理システムの40%は稼働しておらず、その割合は数日内でさらに増加する見込み
  • 下水が水道管に漏れあふれる恐れがあるほか、下水処理プラントが稼働しなければ、水に起因する病気が増える恐れも
    • 飲料水が手に入らなくなる恐れのある人は60万人
    • 稼働できない下水処理システムの割合は40%
    • 電力の供給停止や水インフラへの被害でガザ市で水道水を利用できない人は40万人

<ユニセフの取り組み>

  • 大人用の衛生用品の詰め合わせ1,500セット(3,000人分)、乳児用の衛生用品の詰め合わせ1,000セットを備蓄
  • 自宅を離れたり、親族のもとへ避難している人などに、衛生用品の詰め合わせを届ける (目標1,255世帯)
  • 水を利用できない人に、トラックで水を運搬予定
  • 浄水に必要な薬品の提供予定
  • 水と衛生設備の被害状況、修理の必要性の調査を実施予定 (治安の関係で延期中)

子どもの保護

  • 7月14日時点で、空爆によるガザ地区での子どもの死者は少なくとも35人、負傷者は296人
  • 報道によると、イスラエルでもロケット弾で複数の子どもが負傷とのこと
  • ガザ地区で喫緊に心のケアを必要としている子どもは2万5,000人
  • ユニセフの支援を受けた緊急チームが面会した子どもたち全員が極度の不安と恐怖の徴候を見せている
  • 避難生活を送る人は数千人で、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)が運営する学校20カ所には1万7,000人が避難

<ユニセフの取り組み>

  • 危険な時にどのように子どもを守るかをまとめた保護者向け冊子6万冊を用意
  • 不発弾への注意を呼びかけるラジオスポット4本を制作
  • パレスチナ民主主義紛争解決センターに支援を行い、5つの緊急心理ケアチームが、今後、少なくとも子どもと保護者2万5,000人に心の支援を実施予定、これまでに262回の訪問で302人以上の子どもを支援 (7月13日時点)
  • 引き続き、現在の情勢が与える子どもへの影響をモニタリング
  • 自身のコミュニティで保護的な環境下で安心して子どもと家族が心のケアなどを受けられるよう、ファミリーセンター21カ所を再稼働予定
  • 保護者向けに、不安を感じる子どもへの対処法を伝えるためSMSを配信予定

保健/栄養

ガザ地区にある学校に避難しているパレスチナの子どもたち
© UNICEF / Eyad El Baba/2014
ガザ地区にある学校に避難しているパレスチナの子どもたち。
  • 7月13日時点で、病院はわずかなリソースで稼働しているものの、ベッド数は限られ、子どもを含め早い退院をさせざるを得ない状況
  • 保健省は医師1人が殺害され、医療従事者2人が負傷と報告
  • 病院2棟、初期保健ケアセンター4カ所、救急車3台が損壊

<ユニセフの取り組み>

  • 保健省が喫緊に必要とする13の薬を提供し、さらに適宜その他23の薬も提供予定
  • ワクチンを保冷保存するために必要な燃料の調達予定
  • 注射器や注射針、ゴム手袋、ガーゼといった消耗する医療品18種類を提供予定
  • 新生児とその母親に対し、母乳のみでの育児と自宅でのケア方法の啓発を継続実施

教育/青少年育成

  • 7月13日時点で、ユニセフが支援する政府の学校少なくとも30校と、UNRWA運営の学校43校の被害を確認
  • 新統一政府による教育省への予算配分が不足したことから、教員への給与の支払いは衝突が起きる数カ月前から停止しており、新学年度での学校の再開が危ぶまれている
    • 被害を受けた学校は少なくとも72校、影響を受けている生徒は5万人以上
    • ガザ地区にある「青少年にやさしい空間」19カ所を含め、特別活動を必要とするであろう青少年は2万人

<ユニセフの取り組み>

  • 公立学校の被害状況、修理の必要性の調査を実施予定 (治安の関係で延期中)
  • 9月初旬の新学年度への準備として、テントや防水シートなどの緊急用の教室、学用品や通学用かばん等の提供
  • 心のケアチームを通じて、子どもの心の健康を守りケアする方法を、学校に避難している人に広報予定
  • 学校に避難している子どもたちに、おもちゃやレクレーションキットなどを提供予定
  • より適切で前向きに現状に対処していけるように、「青少年にやさしい空間」の設置で2万人を支援予定

資金要請

現在の情勢を受け、ユニセフ・パレスチナ事務所は、緊急支援を含む今後の活動資金として総額1,428万4,000米ドル(約14億4,268万円※1米ドル=101円で換算)の資金を国際社会に要請します。内訳ならびに主な活動予定は以下の通りです。

  • 保健
100万 米ドル病気の子ども3万人に薬や消耗品を提供
  • 水と衛生
453万8,000米ドルガザ地区の4万9,000人にトイレや安全な水を供給
ヨルダン川西岸の6万7,600人に飲料水を提供
  • 子どもの保護
207万9,000米ドル戦闘下にある子ども2万6,000人と保護者5,900人に
保護と心のケア活動を実施
地雷教育を子ども10万人と保護者1万5,000人に実施
軍に拘束されている子どもたちの権利保護のため、
監視報告体制の強化
  • 教育
543万7,000米ドル学齢期の子ども3万1,500人に安全な学習環境を提供
青少年2万人に放課後の遊びや勉強のプログラムを提供
  • 分野等調整
123万 米ドル 

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