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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

南スーダン:
首都ジュバで暴風雨が発生
雨季を迎え、更なる惨劇の予兆

【2014年3月8日 南スーダン・ジュバ発】

水浸しになった道を歩く少女
©UNICEF/NYHQ2014-0280/Tidey
破壊されたテントの合間を歩く女の子。通路は水浸しになっている。

世界で最も若い国南スーダン。昨年12月に発生した武力衝突は今年1月に停戦合意が締結されたものの、戦闘が継続しています。

多くの人々が避難を余儀なくされる中、雨季が目前に迫る南スーダンの首都ジュバを嵐が襲いました。ユニセフ広報官のクリストファー・ タイディによる現地レポートです。

* * *

「準備ができないほど、ものすごいスピードで強力な嵐がやってきたのです」と語ったのは、20歳のトットさん。南スーダンの首都ジュバを嵐が襲った翌朝のことでした。その傍らでは彼の家族が、マットレスや衣服を干す場所を探していました。

「テントの中で兄姉妹5人とゲームをしていたんです。すると突然、天が怒りを爆発させたかのような轟音が雨と共にテントの中に入ってきました。あっという間に浸水し、衣服も食料も、すべてのものが水浸しになりました。幼い兄弟たちは怯えていましたが、何もできません。ただ、濡れたまま、嵐が過ぎ去るのを待つほかありませんでした」

泥水にまみれた避難民キャンプ

私は、南スーダンの首都ジュバに設置された避難民キャンプを訪ねました。キャンプでは、2万7,000人もの人が避難生活を送っています。そこで、嵐の衝撃を目の当たりにしました。2時間の嵐が残した爪あとはすさまじいものでした。

ジュバのトンピンに設置された国連施設内の市民保護地区の地面には、一面の瓦礫が広がっていました。泥水の中に滑り落ちないよう、誰もが慎重に足を進めていました。大人も子どもも、水没した品々を引き揚げようとしていました。泥道と化したキャンプの主要道路を横に入り、テントが立ち並ぶ区域に足を踏み入れると、あちこちに泥水が広がっており、足首まで泥にはまってしまいました。

女性と子どもたちは、衣服や布団を乾かす場所を探し、泥をはね上げながら通り過ぎていきました。私も含め、みんなが泥まみれでした。

トットさんに出会ったのは、そんな泥水まみれの道でした。彼はテントの様子を私に見せました。ビニールシートで作られた仮住まいは壊れ、地面の水もひかないままです。

「これを見てください」トットは言います。「もう、ここにはいられません。今あるものだけを持って、座れるように、道路に避難します。けれど、行く場所もなければ、寝る場所すらないのです」

「自宅は、ジュバのキャンプの外にあります。家に戻ったところで、守ってくれる人などいないのです」と語ったのは、テントから泥をかき出していたガルさんでした。

暴力と災害、二重の危険

濡れたマットレスや衣服を乾かす避難民
©UNICEF/NYHQ2014-0279/Tidey
濡れてしまったマットレスや衣類を乾かす避難民の人々。

昨年12月15日に南スーダンで発生した政治危機以降、これまでに37万7,000人の子どもを含む70万5,000人以上が国内避難民となりました。現在、こうした避難民の多くは、雨季である4月から10月の間、浸水のおそれがある場所で避難生活を送っています。

安全が確保されず、自宅に戻れない住民の人たち。首都ジュバにあるトンピン避難民キャンプだけでなく、何百万もの人が、災害の危機に瀕しています。

ある長老は「たった一晩の雨がこれだけの被害ならば、連日雨が降る雨季には、どうなってしまうのでしょうか」と、ぬかるみを指差しながら話しました。

避難生活を送る子どもたちや家族に雨季へと備えるための緊急措置が取られなければ、その結果は明白です。3月7日に発生した嵐とその被害が、これから訪れる雨季が避難生活を続ける人々にどのような被害をもたらすかを既に証明しています。

ユニセフ南スーダン事務所のスティーブン・ローウェリエ代表代理は「雨季の到来は間近で、行動できる時間は限られています。浸水しやすい地区に設置されたトイレは、浸水で排泄物が拡散して起きる汚染を防ぐために、高い場所に移さなくてはいけません。人道支援物資や医薬品、子どものための栄養治療食などは、雨で道路が使えなくなる前に現場に届ける必要があります。こうした状況下ではコレラを含めた感染症の蔓延も懸念されるため、子どもたちへの予防接種も急務です。今行動を起こすことが、未来の子どもたちの命を守ることにつながります」と述べました。

4月の雨季到来の前に、支援を

ユニセフとパートナー団体は、雨季に備えて子どもたちや家族を支援するため、栄養治療食やコレラやはしかの予防接種キャンペーン、雨季の浸水が予想される地域での主要プログラムの用意などを始めています。

しかしながら、子どもたちの安全と健康を守るためには、さらなる支援が急務です。2014年上半期の南スーダンにおける緊急人道支援として、ユニセフは7,500万米ドルを要請していますが、現在、確保されているのは必要とされる資金の20%にとどまります。

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