南スーダン:
コレラ感染拡大とまらず、59名死亡
【2014年7月2日 南スーダン・ジュバ発】
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© UNICEF South Sudan/2014 |
予防接種を受ける子ども |
不安定な情勢が続く南スーダン。ユニセフ情勢レポート(報告期間:2014年6月26日〜7月2日)から、最新の現地の状況とユニセフの活動をお伝えします。
数字で見る概況
- 昨年12月15日以降、自宅を離れ避難生活を送っている人 110万人
- 上記のうち、18歳未満の子ども 58万8,222人*
- 上記のうち、周辺国へ避難した人(含・子ども) 39万2,800人
- 2014年末までに必要な人道支援額 1億5,170万米ドル
(約154億7,340万円、1米ドル=102円で換算)**
- 現在提供された資金(上記金額に対し) 約32%にあたる4,780万米ドル
* 国内での登録が終了しておらず、非集計データを利用、18歳未満の人口は人口調査に基づき算出
**南スーダン危機対応計画とコレラ対応へのユニセフの貢献額に基づき算出
ハイライト
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© UNICEF/2014 |
コレラを予防するための啓発ポスター |
- 北部のユニティー州ベンティウの国連施設内で、栄養不良の子どもが増加
5歳未満で重度栄養不良の子どもは4.9%、中度栄養不良の子どもは15.9%、治療食による治療を開始
- 6月29日時点のWHOの発表では、コレラの症例数は2,431件、死者59名
ジュバでの感染状況は落ち着いてきているが、南部の東エクアトリア州のToritとLopaで感染拡大
- 6月24日、南スーダン政府は公式に、2012年に国連と署名した、政府軍における子どもの徴用とそのほかの子どもたちへの重大な権利侵害をやめるとの行動計画を改めて確約
ユニセフの取り組み
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北部の上ナイル州、ユニティー州では、引き続き衝突が発生、極めて厳しい人道状況
- 約150万人が避難しており、うち10万人が国連南スーダン派遣団施設内に、39万2,800万人が周辺国のエチオピア、ケニア、スーダン、ウガンダに避難
- ベンティウの国連施設内では、この5週間で5歳未満の子どもの死亡率が上昇中
1日あたり、1万人中3.38人の子どもが死亡(5週間前は1万人中2.07人)
食糧不足や水や衛生などの基本サービスがないことから、施設に避難する人は増加中
しかし、施設内でも水やトイレが不足しており、保健状況は悪く、衛生習慣の不十分さなどから環境は悪い
ユニセフは、パートナー団体と保健、栄養、水と衛生のサービス拡大を実施、コレラの感染拡大の予防にも
- これまでコレラで死亡(保健施設内外)した人は59名、致死率2.4%、緊急時のコレラ致死率の目標は1%
感染拡大は、南部の中央エクアトリア州から始まり、現在は北部の上ナイル州、南部の西エクアトリア州、東エクアトリア州、東部のジョングレイの4州に拡大
- ユニセフはWFPやパートナー団体と共に、合同で複数分野の支援(水と衛生、保健、栄養、教育、子どもの保護)チームを結成し、遠隔地への支援も実施、目標24カ所での支援
現在、15カ所で支援が実施され、上ナイル、ジョングレイ、ユニティーの各州で子ども6万7,000人以上を支援
分野別の状況と進捗
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© UNICEF South Sudan/2014/Peru |
栄養状態の検査を受ける子ども |
<保健>
- 6月29日現在、はしか予防接種を受けた15歳未満の子どもは32万8,979人、ポリオ予防接種を受けた15歳未満の子どもは21万8,381人、ビタミンA投与を受けた5歳未満の子どもは6万6,945人、虫下し剤の投与を受けた5歳未満の子どもは3万3,731人
- 新たな避難者の流入に伴い、大規模な複数ワクチンの予防接種キャンペーンを実施中
- ジュバとベンティウでは、新生児と妊産婦のケアを実施(健診、マラリア予防の蚊帳の配布、微量栄養素の提供、破傷風の予防接種実施、出産の立会い)
- 保健スタッフが足りず、HIVの母子感染予防のためのカウンセリングと検査の実施率が低い
- コレラへの対応として、医薬品の配布、治療センターの立ち上げ、移動型の経口補水療法サービス、監視体制の強化などを実施、また経口コレラワクチンの予防接種も実施
<栄養>
- 今年1月からこれまでに栄養不良と診断された5歳未満の子どもは58万8,786人
うち、6.89%の4万612人が重度急性栄養不良、13.1%の7万7,343人が中度急性栄養不良
- ユニセフは、栄養不良の治療を行う外来治療プログラムを256カ所で支援し、合併症を伴う子どもを入院して治療するセンター27カ所も支援
- 治療を受けている5歳未満の子どもは計4万622人(3万8,345人が外来で、2,277人が入院で治療)
69%の子どもが退院しているものの、7%が死亡、23%が治療継続となっている
- ユニセフは、治療食や医薬品の提供を行う一方で、WFPと効率的に支援を進めていくために協議
<水と衛生>
- 国内の避難所内外や避難民キャンプで39万600人に安全な水を供給
- 23万9,000人がトイレの利用可能に
- 避難施設内では、新たに井戸を掘削し、保健施設の水の利用を可能にしているほか、トラックによる運搬も
- コレラ予防のためには、避難者への手洗いなどの衛生習慣の啓発の拡大が不可欠
<教育>
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ユニセフは避難所内外で安全な水を供給 |
- これまでに、7〜18歳の子ども2万4,177人、3〜6歳の子ども4,222人が緊急下での教育プログラムを受ける
- 本報告期間中も、小学校への入学手続きが国連施設内など2カ所で行われたほか、ジュバの国連施設内では、学期末試験が実施されており、144人が受験中
- 子どもたちに通学かばんや学用品などの詰め合わせ「箱の中の学校」を提供したほか、学習スペースやトイレも設置
- 政府による教員への給与支払いが遅れていることから、避難先でのボランティアの教員への報酬が教育提供の大きな妨げになっている
- 国内で、78の学校が避難所や武装勢力などによって使用されており、利用できない状況に
<子どもの保護>
- 家族とはぐれている子どもは合計で4,750人(うち、3,974人をデータベースに登録)
これまでに320人が家族の下へ戻り、残りの子どもたちは、しかるべきケアを受けている
- ユニセフは、「子どもにやさしい空間」60カ所を運営し、子どもたちに心のケアなどを実施、国内各地で4万1,458人が参加
- 性暴力予防対応サービスも行っており、被害にあった人への治療、心のケアを行っている
また、地域へ向けて予防のための広報活動も実施
<ロジスティックス>
- 紛争下にある地域には、主に空路で物資を搬入しているが、使える状態の機体も少なく、空港の状況も悪い
- 現在倉庫を5カ所に設置、さらに設置したいが治安が悪く略奪の恐れがあるため実施できず
- 雨季の開始と戦闘激化で、ロジスティックスはさらに困難に
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