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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

南スーダン:
支援の即拡大なければ飢饉の恐れ
栄養不良で子ども5万人死亡との推計

【2014年7月25日 ジュバ(南スーダン)発】

7月25日、南スーダンでユニセフとWFP 国連世界食糧計画(以下、WFPと記載)の両事務局長は、世界で最も新しい国・南スーダンの紛争下に暮らす母親と重度栄養不良の子どもたちと面会し、南スーダンの子どもたちのために、国際社会に直ちに行動をとるよう、警鐘を鳴らしました。

飢饉宣言が出る前に、行動を

上ナイル州のマラカルを訪れ、数万人が避難しているマラカルの国連施設を訪ねたユニセフ事務局長のアンソニー・レークは「毎日毎日、子どもたちが栄養不良で亡くなっています。国際社会は、飢饉宣言が出るのを待たずに、行動せねばなりません。紛争に巻き込まれ、避難生活を送りながらも、子どもたちを飢えから必死に守ろうとしている母親たちと話をしました。子どもたちの命を守るために、更に支援を強化し、そして素早く対応せねばなりません」と述べました。

2つの国連機関の事務局長は、国際社会が2011年にソマリアとアフリカの角地域で起きた飢饉が繰り返されるのを傍観しているのでは、との懸念を示しました。2011年、極度の飢餓と栄養不良の深刻化という、飢饉に至る早期の警告があったにもかかわらず、これらの警告は、公式に飢饉宣言が出されるまで、ほぼ見過ごされ、重要視されませんでした。

アーサリン・カスンWFP事務局長は「WFPとユニセフ、そして南スーダンのパートナー団体は、紛争で困難な状況にある方たちに懸命に支援活動を行ってきました。よりいっそうの取り組みを行い、より多くの人に支援を届ける準備はできています。直ちにオペレーションを拡大し、更に多くの命を守らなければ、より多くのリソースが必要となります。国際社会は今こそ、行動すべきです」と述べました。

3人にひとりが危機的な食糧不足

ミンカマンのユニセフが支援する医療ケア施設で、保健員による栄養状態の検査を受ける子ども。
© UNICEF/NYHQ2014-0890/Peru
ミンカマンのユニセフが支援する医療ケア施設で、保健員による栄養状態の検査を受ける子ども。

ユニセフとWFPは、2014年に南スーダンで急性栄養不良の治療が必要となる子どもは約100万人に上るとみています。国際社会が栄養不良への支援に直ちに取り組み、食糧や栄養支援を拡大しなければ、ユニセフは、今年5万人の子どもが栄養不良で死亡する恐れがあると推定しています。

南スーダンで激しい戦闘が行われているのは、北部の上ナイル州、ユニティー州、ジョングレイ州の3州であるにもかかわらず、国内の3人にひとり−つまり390万人−が危機的な食糧不足にあり、次の食事がいつになるのか、またその当てもない状況に置かれています。

南スーダンで続く暴力の連鎖で、国内で避難生活を送る人は100万人以上に上り、その半数以上は子どもたちです。紛争によって、農業活動や社会サービスの提供、商業活動が行えず、その結果、多くの人々の生活手段が失われています。

更に保健サービスと安全な水、トイレが利用できないことから、子どもたちが急性栄養不良に陥る恐れが極めて高くなっています。こうした状況と相まって、戦闘の継続やインフラの不足、パートナー団体が限られていること、資金不足によって、人道支援関係者が最も支援を必要とする子どもや家族に支援を届けることは、極めて難しくなっています。

* * *

2014年7月16日〜7月22日の情勢レポートから、現地の状況とユニセフの活動をお伝えします。

数字で見る概況

  • 昨年12月15日以降、自宅を離れ避難生活を送っている人 110万人
  • 上記のうち、18歳未満の子ども 58万8,222人*
  • 上記のうち、周辺国へ避難した人(含・子ども) 40万5,600人
  • 2014年末までに必要な人道支援額 1億5,170万米ドル(約154億7,340万円、1米ドル=102円で換算)**
  • 現在提供された資金(上記金額に対し) 約32%にあたる4,780万米ドル

出典:OCHA Sitrep #45 2014年7月17日発表
* 国内での登録が終了しておらず、非集計データを利用、18歳未満の人口は人口調査に基づき算出
**南スーダン危機対応計画とコレラ対応へのユニセフの貢献額に基づき算出

ハイライト

すぐに口にできる治療食を食べさせてあげる男の子
© UNICEF/NYHQ2014-0887/Peru
すぐに口にできる治療食を食べさせてあげる男の子。
  • 北部のユニティー州ベンティウの国連施設内での栄養状況はいくぶん改善したものの、依然として厳しい状況
    ベンティウの施設内にある外来治療プログラムセンターに新たに来た人は、前週より2人減って124人
    同施設内で登録された死亡の60%は6カ月未満の子ども、乳幼児の食事と新生児ケアの取り組みが必要
  • 即応チームが稼動して4カ月が経過、上ナイル州、ジョングレイ州、ユニティー州で5歳未満の子ども8万人以上に支援を実施
    このうち、5歳未満の子ども5万人近くが栄養不良と診断され、重度栄養不良の2,000人以上に専門的な治療を実施
  • 7月20日、上ナイル州のナシル(Nassir Town)への攻撃で激しい戦闘が再開、5月9日にエチオピアの首都アディスアベバで、キール大統領とミシェル前副大統領が、1月23日に署名した停戦協定を再履行のために会談した後、最大の戦闘となった
  • 子どもの権利への重大な侵害に関して、被害者から聞き取り調査を行って文書化し、検証する作業が継続中
    戦闘開始後、これまでに451件が報告され、うち366件が検証済み
    被害を受けた子どもたちは1万1,368人にのぼり、うち49%が少女

状況とユニセフの主な取り組み

  • ベンティウの国連施設内での栄養不良に関する死亡率は微増、死亡率は現在1.76人/1万人/日
  • 7月22日より、ベンティウの施設内で、大規模な子どもの栄養状況調査を実施予定
    命にかかわるほど重症化する前に、栄養不良の子どもを発見するため
  • コレラ感染者は4,692人に上り、うち106人が死亡(7月21日時点での致死率は2.3%)
  • 前回報告時より、感染者が1,000人以上増えた要因として、上ナイル州のワウシルク(Wau Shiluk)で829人の感染が確認されたため(現在は感染者が減少)、東エクアトリア州での感染拡大が続いている
  • ジュバでの感染はほぼないことから、ジュバ教育病院のコレラ治療センターの運営は保健省に引き継がれ、2カ所の治療センターを閉鎖
  • ユニセフは、引き続きこれらの予防と対処法、また水源と衛生習慣に関する広報活動を実施
  • ユニセフはWFPやパートナー団体と共に、合同で複数分野の支援(水と衛生、保健、栄養、教育、子どもの保護)チームを結成し、遠隔地への支援を実施、目標24カ所での支援、これまでに17カ所で支援を実施
  • 即応チームの支援で、これまでに15歳以未満の子ども約6万8,000人にはしか、5万人にポリオの予防接種を実施、衛生習慣の普及活動を15万人に行い、5万人に安全な水を提供、子どもたちが勉強をしたり遊べる場所を700カ所以上設置し、学齢期の子ども1万人に緊急事態下での学習用品を提供、また家族とはぐれた子どもたち2,000人近くを見つけ、登録し、家族と再会できるように支援中

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