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日本ユニセフ協会
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シンポジウム開催報告
「子どもの“今”を守り “未来”をつくる ユニセフの人道支援」
2017年7月28日@ユニセフハウス

【2017年7月28日  東京発】

日本ユニセフ協会とUNICEF東京事務所は7月28日(金)、ユニセフハウス(東京・港区)にてユニセフが世界で取り組む人道支援をテーマにしたシンポジウムを開催しました。

ユニセフの人道支援

満席となった会場では、ユニセフの専門家たちが、自身の体験をもとに人道支援について語りました

©UNICEF Tokyo/2017/Jue

満席となった会場では、ユニセフの専門家たちが、自身の体験をもとに人道支援について語りました

ユニセフが先月発表した『人道支援活動ハイライト』によると、2016年にユニセフが支援を展開した人道危機は、108カ国で344件に上り、1年間に支援した人道危機の数としては過去最多となりました。

世界の子どもの4人に1人が、紛争や自然災害、伝染病の蔓延など、緊急事態下の国や地域で暮らしている中、ユニセフは緊急事態下での命を守る支援を拡大するとともに、子どもたちの未来をつくる開発支援に結びつけています。

シンポジウムでは、ユニセフの専門家たちが、自身の体験をもとに、人道支援について語りました。ユニセフは人道支援にあたり、支援ニーズの把握や、予算の適正な配分、効率化に取り組み、成果を追求しています。また、収支の透明性と、支援の成果を具体的に説明できることを強みとしています。

そして、ユニセフのこうした活動は、日本の皆さまからのご支援に支えられていることを、登壇した専門家それぞれが、感謝の気持ちとともに報告しました。

「最も困難な状況に直面するのは子どもたち」 -ユニセフ事務局次長 ジャスティン・フォーサイス

ユニセフ事務局次長のジャスティン・フォーサイス

©UNICEF Tokyo/2017/Jue

ユニセフ事務局次長のジャスティン・フォーサイス

世界の子どもたちのためのユニセフの活動に、ご支援をいただき感謝申し上げます。

現在、南スーダン、イエメン、ソマリア、そしてナイジェリア北部という4カ国において140万人の子どもたちが死の危機に直面し、生存のために時間との闘いを続けています。ユニセフは、国連のパートナー機関、その他のNGOと協力し、子どもたちの命を救おうと現場で活動しています。

人々が暴力や干ばつなどから逃れなければならない状況で、最も大変な状況に直面するのは子どもたちです。そして困難な中で、多くの子どもたちが亡くなっています。ソマリアでは2011年に飢餓が起きましたが、その以前から、幼い子どもの多くが命を落としていました。ソマリアの出来事から学ぶ教訓としては、人々の移動の規模の大きさ、また、栄養だけでなく、健康を脅かす危機である中で、水と衛生における取り組みによって、下痢やコレラから子どもたちを守ることが必要だということです。

飢餓の要因のほとんどは、人為的なものです。そして、気候変動を含む環境上の理由からも引き起こされます。こうした状況の下、できる限り早期に且つ大規模に、行動を起こすべく努めています。栄養状態を改善すると同時に、紛争など人道危機の根本原因の解決を訴えています。

最後に、一つ忘れてはならないことを申し上げたいと思います。

世界的に見て、子どもたちのほとんどがこのような悲惨な状況にあるわけではありません。紛争状態にない国では、貧困の状況にある子どもたちを減らすことができています。そして、予防可能な病気で亡くなる子どもを減らし、学校に通える子どもの数を増やすことができています。人道危機においてはさらなる取り組みが必要ですが、多くの前進と成果があります。そして、2030年までに、予防可能な病気から子どもたちを守ることで、子どもたちが生存するだけでなく、健全に成長できるようになってほしいと考えています。

「支援の成果を知る機会に」ユニセフ議員連盟 野田聖子 衆議院議員

ユニセフ議員連盟の野田聖子衆議院議員

©UNICEF Tokyo/2017/Jue

ユニセフ議員連盟の野田聖子 衆議院議員

日本の国会には、ユニセフ議員連盟があり、大変多くの議員が参加しています。その議員連盟を代表して、一言ご挨拶を申し上げます。

日本は長年にわたって、ユニセフの活動を熱心に支援している国の一つです。

本日は、ユニセフの人道支援について、またその活動を支える日本の支援についてのシンポジウムがここで開催されます。多くの方々にとって、私たちの支援がどのような成果を生んでいるのかを知る、とても良い機会になると思っています。

日本にいる私たちも、シリア難民のニュースを毎日のように耳にしているわけですが、今日、紛争、自然災害、気候変動によって、人道支援を必要とする現場がかつてないほどの数に上っていることを、みなさまご承知のことと思います。

2017年1月のユニセフの発表によると、世界では子どもの4人に1人が、紛争あるいは自然災害の影響をうける国や地域で暮らしています。さらには、国連や人道機関の職員が、攻撃の標的となるなど、支援活動はこれまでになく大変困難を極めているところです。

こうした激動の中、日本の皆さまからのご寄付や、日本政府からの支援が、ユニセフの人道支援を支えています。私も超党派の議員連盟の一人として、ユニセフの活動を支えるために、一生懸命勤しんでおります。

その日本政府は2016年、ユニセフの活動に、1億9,400万ドルの資金を提供しました。この金額は、政府の拠出金としては世界第6位となります。

同年、日本ユニセフ協会を通しての、日本の個人、企業、団体などのみなさまから寄付していただいた額も、世界ではトップクラスになっています。

本日は、20年来続く日本政府との定期政策協議に来日するユニセフ事務局次長はじめ、人道支援活動の指揮を執る幹部職員のみなさんに、ユニセフが取り組む人道支援の現状と成果を語っていただき、これからのご支援につながる良い機会になればと考えております。簡単ではございますが、今後のさらなるご支援と、本日お越しいただいた御礼を申し上げます。

「現場から取り組む人道支援」ユニセフ本部緊急支援局局長 マニュエル・フォンテーン

ユニセフ本部緊急支援局局長のマニュエル・フォンテーン

©UNICEF Tokyo/2017/Jue

ユニセフ本部緊急支援局局長のマニュエル・フォンテーン

現在、4人にひとりの子どもが、紛争や自然災害など、緊急事態下の国や地域で暮らしています。ユニセフはこうした国々で活動しています。

ユニセフは2016年、108カ国で344の人道危機に対応しました。ユニセフの職員は、遠くから指示しているのではなく、実際に支援の現場に赴き、現地に滞在して活動しています。現場において、人々と交流しているということが重要です。例えば、南スーダンでは、首都を含め国内に16の拠点があり、ユニセフ職員は各拠点に住み込み、日常的に業務に携わっています。

ユニセフは、さまざまな困難に直面している南スーダン、ソマリア、そしてナイジェリア北部で、重点的に活動しています。困難な状況には類似性があり、例えば気候変動の側面から干ばつや、紛争が挙げられます。紛争を直接止めることはできませんが、紛争当事者に人道支援に必要なアクセスを尊重してもらうよう働きかけています。また、危機下の子どもたちに、必要な支援を届けています。

上記3カ国における成果としては、以下が挙げられます。

  • 保健:620万人の子どもたちがはしかの予防接種を受けた
  • 栄養:23万3,000人の5歳未満児が重度の急性栄養不良の治療を受けた
  • 水:230万人に安全な水へのアクセスを提供
  • 教育:74万5,000人の子どもたちが、緊急時に教育を受けることができた
  • 子どもの保護:13万4,000人の子どもたちが、心理社会的ケアを受けることができた

一方で、まだまだ手が届いておらず、重度の栄養不良に陥っている子どもたちがいます。

最後になりましたが、日本の皆さまより、2015年から現在までに、3カ国に対して総額4,213万2,207米ドルのご支援をいただきました。心より感謝申し上げます。

「戦争しか知らない子どもを生まないために」 ユニセフ中東・北アフリカ地域事務所代表 ヘルト・カッペラエレ

ユニセフ中東・北アフリカ地域事務所代表のヘルト・カッペラエレ

©UNICEF Tokyo/2017/Jue

ユニセフ中東・北アフリカ地域事務所代表のヘルト・カッペラエレ

「どんなに悲惨な状況にあるか」

「シリアの男の子も女の子も、希望を失うことはない」

これが、シリアの子どもたちが世界の人々に知ってもらいたいことです。

現在中東・北アフリカ地域では、東京の人口とほぼ同じ、約3,000万人の子どもたちが紛争のさなかに生きています。紛争を原因として、約2,500万人の子どもたちが学校に通えず、1,000万人近くの子どもたちが故郷を離れています。イエメンでは、10分間に1人の子どもが予防可能な病気で亡くなっています。

紛争によって子ども時代を奪われる子どもたちは多くいます。何千人もの男の子が武装勢力に徴用されています。レバノンでは、100万人以上のシリア難民を受け入れていて、18歳になる前に娘を結婚させる難民の家族が3割ほど増えています。また、シリア、イエメン、パレスチナなどで、労働に従事する子どもが増えています。

中東・北アフリカ地域の情勢を一言で表すと、悲惨としか言いようがありません。しかし、ユニセフは毎日最善の努力を続けています。例外なく現場で活動を展開し、どんなに大変な紛争であろうと、ユニセフが撤退したことは一度もありません。激戦の中にあっても、現場に居続けます。

終わる兆しのない紛争によって、子ども時代を奪われる子どもは一世代に留まらない恐れがあります。ユニセフは、一秒たりとも無駄にせず、「紛争が子どもに対してどれだけ悪影響を及ぼしているか」を世界に対し訴え続けています。「戦争しか知らない子ども」を生まないために。

ユニセフは、日本の皆さまのご支援なしには、現場で活動することができません。ご支援に感謝申し上げます。

「未就学の4人に3人が女の子」 ユニセフ・アフガニスタン事務所代表 アデル・ホドル

ユニセフ・アフガニスタン事務所代表のアデル・ホドル

©UNICEF Tokyo/2017/Jue

ユニセフ・アフガニスタン事務所代表のアデル・ホドル

アフガニスタンは、ユニセフが最も古くから活動している国で、活動開始は65年前となります。アフガニスタンでは30年以上内戦が続いていますが、ユニセフはこの国から撤退したことがありません。

アフガニスタンで活動する370人のスタッフのうち70人は国際職員で、自国を離れ、ユニセフとともに非常に困難な状況下のアフガニスタンで働くことを決めた人たちです。2名の日本人職員も含まれています。首都のほか、全国に13の事務所があり、パキスタンとの国境地帯でも活動しています。

アフガニスタンの多くの若者は、「平和」を知らないまま成長しています。毎日学校に通える、蛇口をひねれば水が出る、電気がいつでもあるという状況を知りません。

日本の皆さまのご支援のおかげで、約200万人の子どもが予防接種を受けることができています。日本の皆さまがアフガニスタンの子どもたちの命を救っているということを知っていただきたいと思います。皆さまからのご支援に、感謝申し上げます。

また、日本政府のご支援によって2001年以降3,000の学校を建設し、600万人の子どもが学校に戻ることができました。現在、900万人の子どもが学校で勉強していますが、それでもなお、350万人が学校に通えておらず、そのうち4人に3人が女の子です。

アフガニスタンの女の子たちは、以下のさまざまな理由から学校に通えていません。

  • 女の子が教育を受ける必要がないという親の考え
  • 学校がそもそもなく、別の村に通わせるということを親が許さない。遠くの学校まで通う場合、通学の最中に虐待される可能性がある
  • 女性教師がいない(アフガニスタンの文化では、思春期以降、女子生徒は女性教師から学ばなければならない)
  • 12、3歳で若くして結婚させる場合が多くある
  • 水やトイレが学校になく、尊厳ある形でトイレを使うことができない

私たちが日常生活であたりまえだと思っていることが、アフガニスタンの子どもたちにとってはあたりまえではない状況にあります。いかに子ども時代にチャンスが少ないかということを示しています。ユニセフは、女子教育を社会運動にするべく努めているとともに、女子生徒が学校に戻れるように、女性教師の研修、トイレの建設や水の提供を行っています。また、政府とも、学校教育の義務化実現について話し合っています。

あらためて、皆さまのご支援に感謝申し上げます。

第2部: 質疑応答

参加者からの質問に答えるユニセフ専門家

©UNICEF Tokyo/2017/Jue

参加者からの質問に答えるユニセフ専門家

質疑応答では、ユニセフの専門家3名が登壇し、参加者の方からの質問に答えました。下記はその一部です。
Q.支援の現場の中で感じた、最も印象的なことは?

  • 子どもたちのしなやかな強さ。困難な状況に遭い、過酷な現状を目の当たりにしながらも、皆さまのご支援をもとに、日常を取り戻す手助けをすれば子どもたちは子どもらしさを取り戻します。(カッペラエレ)
  • 専門家であろうが、親であろうが、それほど大きな違いはないといつも思います。親であれば、誰しも子どもに生きて、教育を受けてほしいと考えます。支援の現場で出会う子どもたちを、自分の子どもや甥っ子、姪っ子と重ねて見ています。背景は違っても、多くの共通項があるのです。現場では、常に相手の側に立って考えることを大切にしています。相手の尊厳を守り、不安や恐れの気持ちに寄り添い支援を届けています。(フォンテーン)
  • 色々な高度な技術について考えてしまうけれども、子どもにとって必要なものは非常に明快で、シンプルです(ホドル)

 

Q.人道支援に対して、消極的な姿勢を持つ国々に、どのように働きかけるか?

  • 現場に何が必要か、支援ニーズを把握し、予算を正しく配分する。具体的な使い道を明らかにした上で、効率化を図り、成果を追求しています。また、皆さまと気持ちを一つにし、連帯感を生み出す。共感できるような想いが現場にあるため、それを伝える(フォンテーン)
  • どういう社会に生きたいか。どんな人でも、教育を受け、健康に恵まれる権利を共有すべきであり、恩恵を広げていくことが良い未来をつくるという価値観を広めていく。情けは人の為ならず。(カッペラエレ)

 

シンポジウムに参加された方々からは、下記の感想を頂戴しました。

  • 「ユニセフの声を “直接”聞くことができた」
  • 「ユニセフが現場主義で撤退したことがない、とても心強く思えました」
  • 「教育現場にいる者として教育の大切さを改めて感じました」
  • 「子どもたちのしなやかな強さ、明るい未来が待っている、子どもに最善の投資、いろいろ胸に残りました」

 

* * *

現在ユニセフハウス展示スペースの1階では、関連する以下の企画展示を行っています。

ザータリキャンプSchool1_D4_Grade11(age16)の授業を見学、シリア人の生徒達と交流

©日本ユニセフ協会/2017

ヨルダンのザータリ難民キャンプで、シリアの子どもたちと交流するアグネス大使。

ユニセフ写真展 アグネス大使 シリア周辺国訪問

~シリア難民の子どもたちを「失われた世代」にしないために~

シリアの内戦を逃れても、子どもたちに安全や安心が保障されているわけではありません。 現在、シリアを逃れた子どもの約半数は学校に通っておらず、シリアは、未来を担う世代を失う危機に直面しています。一方で、難民を受け入れている周辺国も、大きな苦境に立たされています。

アグネス・チャン ユニセフ・アジア親善大使は、ヨルダン、レバノン、トルコの地元政府やユニセフによる「失われた世代」を作らないための取り組みを取材しました。 本写真展では、アグネス大使訪問の様子をご紹介しています。9月下旬までの開催予定です。どうぞお越しください。

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