【2019年11月15日 東京発】
本年11月20日に子どもの権利条約が採択から30年を迎えることを記念し、10月21日、参議院議員会館において、「中学生と考える「持続可能な世界」~SDGs達成に向けて~」を開催しました(主催:日本ユニセフ協会・UNICEF東京事務所/協力: 外務省)。
©日本ユニセフ協会/2019 |
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国会議員で、ユニセフの活動を応援するチームを組んでいます。今日は仲間がたくさん来ていますが、代表して一言ご挨拶をさせていただきます。私が子どもの頃は、子どもは周りのおとなの言うことをきくもの、と教わっていました。だから、今日、将来おとなになる備えのためにみなさんがSDGsについて勉強することはすばらしい機会です。なぜ持続可能な取り組みをしなくてはならないか、日本に住む一人の人間として考えてほしいと思います。
私が子どもの頃、この国はそれほど世界で知名度はありませんでした。先輩たちが頑張って、今、先進国の一員として国際社会の中で位置を占めるようになりました。先頭を走るものとして、自分さえよければではなく、力あるものこそ、力なきものに目を配り、手を差し伸べ、みんなでやさしいあたたかいこの地球を作っていく、そういう責任をもつ時代を迎えていると思います。日本は高齢化などの課題を抱えていますが、それは悲観的なことではありません。みなさんの頭の中にあることを思いきりぶつける機会が到来しているとも受け止めてもらいたいと思います。
今日はこの機会に、一人ひとりが、これまで生きてきたことに感謝し、これからしっかり生きていくために、他の人とどう交わり、何を作っていくのか、貴重なひと時を多くの仲間たちと共有することで、何かを得て帰ってもらえたらうれしいと思います。おとなのみなさんもどうぞよろしく。
*お忙しい中駆けつけてくださった次の議員の方々からも、会の中で一言ずついただきました。
©日本ユニセフ協会/2019 |
子どもの権利条約採択30周年お祝い申し上げます。今年は日本とユニセフの協力70周年の記念の年でもあります。ユニセフは日本の外交上、援助政策上の、重要なパートナーです。子どもたちの状況改善と権利の保護のため、日本政府はユニセフと緊密に連携して、人道支援から開発支援に至るまで様々な支援活動を展開しています。
日本は総理を本部長、全閣僚をメンバーとするSDGs推進本部の下、政府一体となって、国際機関、民間企業、地方自治体などと連携して国内外のSDGs実施を推進しています。推進本部で決定している「アクションプラン」の中で、2030年の社会を担う次世代や女性のエンパワーメントも重要な柱の一つに含まれています。先月ニューヨークで開催されたSDGsサミットでは、安倍総理より日本のSDGsの取り組みを紹介し、国内外の取り組みを加速することを表明しました。
ユニセフはSDGs推進の重要なパートナーです。教育、栄養、保健、水と衛生、ジェンダー等幅広い分野をカバーするユニセフとの連携は、今後ますます重要となります。ユニセフと連携した様々な国での協力活動だけでなく、日本国内においても、日本ユニセフ協会と協力し、中学生向けのSDGs学習のための副教材を作成しました。今日ここにおられる中学生は、これを使って学習していただいていることをうれしく思います。来年度以降、改訂された学習指導要領の本格実施により、学校でのSDGs教育が本格化する中、副教材の役割がさらに重要になると期待しています。
最後に、子どもの権利条約採択30周年に際し、我が国は、ユニセフなどが主導する、今後も条約をしっかり履行するための「グローバル・プレッジ」に参加しました。また、2018年2月には、SDGs16.2に記されている子どもに対するあらゆる形態の暴力撲滅の実現を目的とするグローバルパートナーシップに、G7として初めて参加するなど、子どもに対する暴力撲滅への決意を鮮明にしてきました。これからも様々な形でユニセフと連携を強化していきたいと思っています。本日の会が有意義なものとなるよう期待し、SDGsを学んだ若い世代の今後のさらなる活躍を祈念しています。
日本ユニセフ協会が外務省と作成したSDGs副教材「私たちがつくる持続可能な世界~SDGsをナビにして~」を使ってSDGsを学んできた町田市立堺中学校の3年生25人が、特に重要と考えたSDGsの課題について、その現状や提言を発表しました。
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5つの班の発表は、生物多様性、貧困と格差、児童虐待・児童労働・ネットトラブル、学校に通えない子ども、科学の発展の裏側(地球環境問題)と、多岐にわたる内容でした。
また、同じく副教材を使って学んだ以下の中学校の生徒さんのビデオメッセージを紹介しました:
京都府八幡市立男山東中学校、石川県立金沢錦丘中学校、新潟県三条市立第二中学校、中国蘇州日本人学校(順不同)
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意見交換には、町田市立堺中学校から5名と、新潟県三条市立第二中学校から2名の計7名の中学生と、おとなの代表として、各界で活躍する以下の方々が参加してくださいました。
中学生からの質問・要望
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中学生たちからの質問・要望の一つひとつに対して、また、それ以外の点についても、おとなの皆様から、丁寧な説明がありました。
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子どもだからできることには限りがあるという表現があったが、子どもにできることはとても多いと自信をもってほしい。法律が変わり18歳で成人になる。今回学習したこと、今日の対話の中で感じたことを3年間の計画を立てて、アクションにうつしてほしい。みなさんはよいスタートを切ったと思うが、今日の経験をまわりにも発信してほしい(牧島議員)。
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リサイクルを義務づける法律、排ガス規制、汚水規制、不法投棄、絶滅危惧種の指定など、環境問題についていろいろなことをやっている。十分でないこともあるかもしれないけれど、調べたらでてくると思うので調べてみてください(春田さん)。
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一つの班を除いて、発表の中で「企業」が出てこなかったことが残念。企業も次のようないろいろな形で社会課題の解決に貢献できることをぜひ知ってほしい。
ブラジルでは、アマゾン奥地の子どもたちが遠隔教育で学んでいる、日本では、虐待を受けた子どもを一時保護すべきかの判断にAIを活用しているなど、実際に企業の技術が課題の解決に使われている例がある(金田さん)。
また、金田さんからは、「説得力をもってメッセージ伝えるために、客観的なデータを示すことがポイント」等、それぞれの班の発表に対する講評もいただきました。
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今度はおとなからの質問です。
「SDGsを勉強して自分の中で変わったことは?」
「SDGsを学んで将来の目標は?」
「個人的にいちばん関心のある、見過ごせないことは?」
-中学生たちは一人ひとり真剣に答えてくれました。
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発言を受けて、おとなの参加者からも中学生たちに一言。共通していたのは、「現場に行ってほしい」「英語を勉強してほしい」「声を発信してほしい」というメッセージでした。
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異なる5社でSDGs、CSR(企業の社会的責任)に関わって20年になる。継続のモチベーションには、スマトラ地震の被災地での体験がある。会社が寄付を通じて支援したインドネシアの障がい者職業訓練施設を訪れた際、被災者の母親に、「あなたの会社の寄付で、娘がもう一度訓練を受けることができ、収入を得ることができた」と涙ながらに言われたこと。皆さんもできる限り課題の現場に行って、その状況を自分の目で見て、肌で感じて、また次に動いていってほしい(金田さん)。
これからもしっかりSDGsの発信を進めていく。SDGsの「だれ一人取り残さない」は、裏を返せば誰にでもできることはある、ということ。おとなは、おとなの言うこときかないが、子どもの言うことは聞くので、声を発信してほしい。世界に出ていくためには、英語を勉強してほしい。法律や予算は、国民の意見を集約した国会で決める。みなさんの1票を通じていい世論が形成され、それが将来の国のあり方を決めていく。みなさんの力は大きいということをしっかり意識して今後も頑張ってほしい(春田さん)。
現場に行ってほしい、英語を身につけてほしい。日本について、また世界で何がおきていてそこに日本がどう関わっているのか、正しい情報をつかんで、知識を蓄積してほしい。正しい情報かどうか検証する能力も身につけてほしい。日本人として、グローバルに活躍し、苦しんでいる世界の子どもたちに手を差し伸べられるおとなになってほしい、そのために応援したい(牧島議員)。
最後に、大谷美紀子理事が、中学生たちに対し、「今年採択から30年を迎えている子どもの権利条約は、SDGsにも深く関わっているので、条約についてもぜひ勉強してほしい」、「子どもにできることは限られているという発言もあったけれども、子どもたちが声を上げ、真剣におとなに要求し、ストレートな意見を言うことは大きな力になる」とメッセージを伝えました。
また会場に向けて、「これからSDGs実施指針が改訂される時などに、今日出された意見や、これから全国で副教材を使って学ぶ中学生の意見が反映されるよう、子どもからの意見を聴く仕組みを作っていただければありがたい」と述べ、会を締めくくりました。
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