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日本ユニセフ協会
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日本ユニセフ協会からのお知らせ

『ユニセフ日本型子どもにやさしいまちづくり事業』 正式開始イベント
「みんなが幸せになれるまちをつくるために」(2021年6月22日開催)

【2021年7月16日  東京発】

ユニセフ「日本型子どもにやさしいまちづくり事業」自治体向け実施マニュアル

ユニセフ「日本型子どもにやさしいまちづくり事業」自治体向け実施マニュアル

2021年6月22日、日本ユニセフ協会は、『ユニセフ日本型子どもにやさしいまちづくり事業』 正式開始イベント「みんなが幸せになれるまちをつくるために」をオンラインで開催しました。

日本ユニセフ協会は、2016年より「子どもにやさしいまちづくり事業」に取り組んでいます。そして、2018年の10月末より2年間の期間で、ニセコ町、安平町、富谷市、町田市、奈良市の5つの自治体の協力でこの事業の検証作業を行いました。

各自治体はそれぞれ色々な工夫をし、その素晴らしい成果を今年2月開催の「ユニセフ日本型子どもにやさしいまちづくり事業フォーラム」で報告しました。この5自治体での検証作業の結果が当日の正式な開始に繋がりました。本事業の自治体向け実施マニュアルも作成されました。

 

ユニセフ「子どもにやさしいまちづくり事業」とは

ユニセフの「子どもにやさしいまちづくり事業」(Child Friendly Cities and Communities Initiative=CFCI)は、子どもの権利条約の精神を地方自治体で具現化する世界的な取り組みです。その特長は、当該の“まち”の人々がみんなでみんなの“まち”を作っていくこと、とりわけ、子どももまちづくりの主体、当事者として位置付けていることです。「子どもにやさしいまちづくり事業」では、自治体は公的な政策や事業、決定において、子どもたちの声やニーズ、優先事項、あるいは子どもの権利が公共政策やプログラム、決定に重要な役割を果たします。「子どもにやさしいまち」は、子どもに限らず、すべての人にやさしいまちです。

ユニセフ本部よりのビデオメッセージによる祝辞
シャルロッテ・ギルニツカ(ユニセフ事務局次長)

ユニセフ事務局次長のシャルロッテ・ギルニツカ

ユニセフ事務局次長のシャルロッテ・ギルニツカより、祝辞のビデオメッセージが届きました。

ユニセフ事務局次長のシャルロッテ・ギルニツカより、『ユニセフ日本型子どもにやさしいまちづくり事業』 正式開始に伴い、ビデオメッセージにて祝辞が届きました。

「ユニセフは1996年より世界中の自治体やコミュニティが 子どもたちにとってより良い環境になるよう 『子どもにやさしいまちづくり事業』を行ってきました。

これはユニセフのミッションである、子どもの権利条約が訴求することを、子どもにとってもっとも身近な存在である、地方自治体が主体的に展開する取り組みです。今では58カ国の5,600以上の自治体が取り組んでいます。そこに日本の自治体が含まれていることを大変嬉しく思います。

日本では、ニセコ町、安平町、富谷市、町田市、奈良市の5つの自治体が既にこの事業に取り組まれ素晴らしい成果をあげておられます。他の自治体のみなさまにもこの取り組みへの参加をお願いしたいと思います。

日本での「子どもにやさしいまちづくり事業」の成果と今後の発展を大いに期待しています。」

 

概況説明

  • 「ユニセフ日本型CFCIの仕組み」 木下勇氏(大妻女子大学教授/日本ユニセフ協会CFCI委員会委員長)
  • 自治体の取り組み:「町田市のCFCIの取り組み」石阪丈一氏(町田市長)
木下勇氏(大妻女子大学教授/日本ユニセフ協会CFCI委員会委員長)

木下勇氏(大妻女子大学教授)

石阪丈一氏(町田市長)

石阪丈一氏(町田市長)

木下教授は、子どもにやさしいまちづくり事業(CFCI)及び、日本型CFCIの仕組みがどのようになっているかを報告しました。また、石阪丈一町田市長は、自治体がどのようにCFCIを展開しているのかを町田市の取り組みを詳しく説明しました。

木下教授はユニセフ日本型CFCIの特徴・工夫として次のことを挙げました。

  • ユニセフのCFCIガイドラインを日本の自治体での事業化に適するように修正し、参加自治体の自発性を大切にする「自己評価型」を重要な要素とするルーブリック評価を導入した。
  • 縦割り行政ではなく、分野横断的な取り組みを促進し、自治体内の子どもの現状を把握しやすくした。
  • 参加自治体の個性を大切にする。
  • 自治体の自己評価を活かしつつ第3者評価が民主的に機能する方式を採用した。
  • 子どもの参画により子どもと地域とのつながりが出来、愛着が促進される。その結果将来もその“まち”に居住し、“まち”の担い手となり、持続可能なまちづくりが推進されるようにした。

石阪丈一町田市長は、CFCI の実践で町田市が力を入れている「子どもセンター」や「冒険遊び場」の運営等の「子どもの居場所づくりの推進」と市の事業評価に高校生の評価人が参加する取り組み等の「子どもの参画に関する取り組み」を説明しました。

次に2018年からの2年間で実施した、ユニセフ『日本型CFCモデル検証作業』についての3つのステップ(①ユニセフのチェックリストを自治体の職員が分かり易くするための逐条解説を作成②作成したチェックリストの逐条解説を参考に、日本の自治体の実情に即した形でCFC達成度を評価するため、町田市独自の評価基準を作成③作成したチェックリストの逐条解説・独自の評価基準を基に、既存事業を所管課職員とともに評価)を報告しました。

そして、今後の取り組みに関しては、庁内理解の推進を図るため、職員研修を実施する、次に、経営資源を適切に配分するため、CFCIを市の基本計画や実行計画と連動性を持たせる、また、部署横断的かつ複合的な課題に対しては、庁内連携会議を設置すると語りました。

ディスカッション

木下教授の司会のもと、石阪市長と高須幸雄日本ユニセフ協会副会長がパネリストとして登壇したディスカッションの様子。

木下教授の司会で、石阪市長と高須幸雄日本ユニセフ協会副会長がパネリストとして登壇し、「子どもにやさしいまちづくり事業の果たす大きな役割」と題してディスカッション行われました。

高須副会長はCFCIを人間の安全保障そして持続可能な開発目標との関係から話題を提供しました。人間の安全保障というのは、グローバル化や相互依存が深まる今日の世界においては、従来の「国家の安全保障」という考え方から、人間一人ひとりの生存、生活、尊厳を脅かすあらゆる種類の脅威を包括的に捉え、これらに対する取り組みを強化しようとするという新しい考え方として広まってきました。この人間の安全保障の考え方は、「人間中心」「誰一人取り残さない」という包摂性の観点でSDGsにも反映されています。

人間の安全保障やSDGsの考え方を実践する場として、自治体はとても重要です。CFCIは子どもを含めた誰でもが“まちづくり”に関わり、お互いに協働して暮らしやすい場所を維持してゆくというのは、ひとりひとりの「安全」「安心」なくらしを守り、人間同士の「尊厳」を認め合いながら、共感とつながりによる平和を大切にするために行政と市民社会が協力して実践することが肝要だと語りました。

石阪市長は、町田市でも人間の安全保障、SDGsの考え方は意識していて、例えば貧困の問題を考えた場合、CFCIを行政だけで推進することは難しく、民間団体等との協力が大切になると話しました。子どもたちを孤立させず、「仲間がいる、どこかに所属している」という感覚を子どもが持つことができる状態を目指すため、子どもセンターや冒険遊び場の運営等、子どもの居場所づくりを推進していることを説明しました。これには行政だけではなく、NPOなどの民間団体や民間企業とも協働し、子どもにやさしいまちづくり事業を促進することが重要だとしました。

木下教授は、「子どもにやさしいまちづくり事業」はSDGsで謳われている、「誰一人残さない」を、皆が協力して行う取り組みであり、その中心を行政が担う、と指摘しました。そして、日本では「子どもの参画」に取り組んだり、子どもの権利条例を制定して子ども施策を推進したりする自治体がたくさんあり、そうした自治体にCFCIへの参加を求めたいと呼びかけました。

最後にディカッションを以下の3点にまとめました。

  • 自治体が主体的に子どもにやさしいまちづくり事業を推進することが基本です。そして、分野横断的な手法で行うことが大切です。
  • 子どもにやさしいまちづくり事業は市民団体等の民間との協力で進めることが必要です。
  • 子どもにやさしいまちづくり事業はSDGsとの関連を持って進めることが求められます。

 

「子どもにやさしいまちづくり事業」についてのお問い合わせ先

(公財)日本ユニセフ協会  広報・アドボカシー推進室

Tel:  03 -5789–2016

E-mail:  webmaster@unicef.or.jp

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