メニューをスキップ
日本ユニセフ協会

報告会レポート

ユニセフ気候変動フォーラム開催報告
「気候変動は子どもたちの危機」

2024年7月18日東京

近年、世界中で気候変動の影響による災害や危機が頻発し、その影響の緩和と適応に向けての取り組みの重要性がますます高まっています。2007年に「気候変動と子どもたち」と題する報告書を発表し、気候変動により最も影響を受ける子どもたちへの関心と支援を訴え続けてきたユニセフは、今月新たに、広報キャンペーン「Climate Change is Changing Children(気候変動は子どもたちの危機)」を開始し、各国政府や企業、そして市民社会を構成する一人ひとりに、子どもに視点を置いた気候変動問題への取り組みを呼び掛けています。

ユニセフ気候変動フォーラム「気候変動は子どもたちの危機」では、子どもとおとなが対話形式で課題について一緒に考え、それぞれの思いを共有しました。(ユニセフハウス、2024年6月20日撮影)

©日本ユニセフ協会/2024
ユニセフ気候変動フォーラム「気候変動は子どもたちの危機」では、子どもとおとなが対話形式で課題について一緒に考え、それぞれの思いを共有しました。(ユニセフハウス、2024年6月20日撮影)

そのような機運が高まる中、日本ユニセフ協会は6月20日、気候変動に対する関心を日本国内でも高め、子どもを含むさまざまな立場の人が意見交換し、行動するきっかけになることを目指して、ユニセフ気候変動フォーラム「気候変動は子どもたちの危機」を開催しました。

プログラム

開会挨拶 日本ユニセフ協会 専務理事 早水研
来賓挨拶 外務省 国際協力局 地球規模課題総括課長 有馬孝典 氏
基調報告 ユニセフ 事務局次長 キティ・ファン・デル・ハイデン
パネル
ディスカッション
モデレーター・報告:ユニセフ・アジア親善大使 アグネス・チャン

登壇者:
慶應義塾大学大学院教授 蟹江憲史 氏
(株)LIXIL 常務役員 LIXIL Housing Technology サッシ・ドア事業部長 小林智 氏
・ユニセフ 事務局次長  キティ・ファン・デル・ハイデン
NHK Eテレ「あおきいろ」子どもSDGsユニットミドリーズ りりあな さん・あやと さん・べに さん

最後に それぞれの For Every Child ~ すべての子どものために

 

子どもたちを中心に置いた取り組みを」
日本ユニセフ協会 専務理事  早水 研

日本ユニセフ協会 専務理事 早水研

©日本ユニセフ協会/2024
日本ユニセフ協会 専務理事 早水研

ユニセフは、17年前の2007年に「気候変動と子どもたち」という報告書を発表しました。気候変動の要因に関与していないにもかかわらず、その影響を最も強く受けているのが子どもたち、特に途上国の子どもたちです。そして、子どもたちは自らを守る術を持たないのに、その視点が全く無視されているということも、気候変動に関する課題のもう一つの側面です。

昨年、国連子ども権利委員会は気候変動に関する「一般的意見26」を公表しました。その中で、気候変動対策に関する政策決定のあらゆる段階において、子どもたちの意見を聞く仕組み、これを確保するよう各国に求めております。この一般的意見には、1,500を超える日本の子どもたちの意見も反映されております。

それにもかかわらず、今年4月に開催された衆議院の環境委員会では、気候変動問題に取り組んでいる高校生が参考人として発言する可能性が浮上したものの実現しなかった、との報道がありました。こども基本法やこども家庭庁の設立など、国を挙げての「こどもまんなか」を掲げた政策が進んでいるはずなのですが、誠に残念でございます。

「この地球は先祖から譲り受けたものではない。未来の子どもたちから借りているものだ。」

この言葉は、ユニセフハウスにも掲げられているアメリカ先住民の言葉です。かつてユニセフ・ニューヨーク本部のロビーにも掲げられていました。

私たちは一体、どのような地球を未来の子どもたちに残せるのか、返せるのか。本フォーラムが「こどもまんなか」の視点に立った気候変動問題への取り組みが広がり、かつ定着するきっかけになることを願っております。

「気候変動を含む重要な課題について、緊密な連携を深める」
外務省 国際協力局 地球規模課題総括課長   有馬孝典 氏

外務省 国際協力局 地球規模課題総括課長 有馬孝典 氏

©日本ユニセフ協会/2024
外務省 国際協力局 地球規模課題総括課長 有馬孝典 氏

気候変動という非常に重要なテーマにつきまして、このようなフォーラムが開催されるに至りましたことに、心からのお祝いと敬意を表します。

一昨日の6月18日、ファン・デル・ハイデン ユニセフ事務局次長と赤堀外務省地球規模課題審議官との間で政策協議がおこなわれました。この政策協議は今回で第315回目となり、非常に歴史の長いものです。

政策協議では毎回、その時々の最先端の課題について非常に率直な意見交換を行っており、今回もさまざまな分野について非常に意義深い議論がなされましたが、そのうち最も重要なテーマの一つが気候変動の分野での協力の可能性です。

ユニセフ側からは、気候変動が世界中の子どもたちに及ぼしている深刻な影響に対する取り組みについて、広範かつ具体的な経験や知見の共有をいただきました。そうした意見交換を通じて、気候変動と子どもたちの保護という、近年ますます深刻になってきている重要な課題について、今後、日本とユニセフとの間で、あらゆるレベルで緊密な連携をさらに強化をし、深めていくということで、あらためて固く一致しましたことを、ここに報告をさせていただきたいと思います。

ユニセフは、日本の外交および開発援助の分野における極めて重要なパートナーです。今回のフォーラムにおいて、日本とユニセフとのさらなる連帯、連携の可能性について、闊達なディスカッションが行われることを心から楽しみにしております。あらためて、今回のユニセフ気候変動フォーラムの開催につきまして、心からのお祝いを申し上げます。

「気候変動による子どもへの影響とユニセフの3つの要求」
ユニセフ 事務局次長  キティ・ファン・デル・ハイデン

ユニセフ 事務局次長 キティ・ファン・デル・ハイデン

©日本ユニセフ協会/2024
ユニセフ 事務局次長 キティ・ファン・デル・ハイデン

まず初めに、ユニセフ・日本ユニセフ協会と、日本の皆さまと日本政府との素晴らしいパートナーシップに、心からお礼を申し上げます。

現在、世界の子どもの半数、つまり10億人の子どもたちが、気候変動の極端なリスクにさらされている国で暮らしています。そして子どもたちは、単におとなを小さくしただけの “ミニチュア版”ではなく、 特有の脆弱性を持っており、特有の配慮が必要です。

世界中で、気候変動の多様な影響が子どもたちに降りかかっています。熱波によって、早産や低体重で生まれてきています。大人と代謝も異なり汗腺の数も少ないため、体温調節が十分にできず、臓器不全を引き起こすケースも報告されています。大気汚染や山火事の煙によって、成人のおよそ2倍の速さで呼吸する赤ちゃんの肺への影響が表れています。洪水によって、水系感染症にかかっています。干ばつや熱波の増加によって、母乳の量や質が変化し、十分な栄養が取れないことが起きています。

私たちは、気候変動が子どもたちに及ぼす影響から、子どもたちが生き延びられるようにしなければなりません。そして、気候が変動しているこの時代に子どもたちが健やかに成長できるよう、子どもたち自身に力を与えなければなりません。

干ばつや洪水の被害を受け、国内避難民キャンプへ逃れた母親と生後7カ月のファヒアちゃん。重度の急性栄養不良のため、すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)による治療を受けている。(ソマリア、2024年1月撮影)

© UNICEF/UNI534995/Hill
干ばつや洪水の被害を受け、国内避難民キャンプへ逃れた母親と生後7カ月のファヒアちゃん。重度の急性栄養不良のため、すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)による治療を受けている。(ソマリア、2024年1月撮影)

例えば、もし子どもが十分な栄養のある食べ物を得られないと、生涯回復することのない発育阻害(スタンティング)を背負うことを皆さまはご存知でしょうか。温室効果ガスの排出を続け、世界の気候を変えているのは私たち先進国であるにもかかわらず、その原因にほとんど寄与していないアフリカの多くの地域で気温が上昇し、干ばつや熱波、洪水が新たな常態となっており、主食となる作物が減少し、結果としてそこで暮らす子どもたちは生涯にわたって影響を受け続けるのです。

事実として、Climate change is changing children――つまり「気候変動が子どもたちを変えている」のです。これは未来のことを指しているのではなく、今、起きているのです。今も気候変動は子どもたちの心身を変えています。今も彼らの人生を変えています。そして、我々が行動をとらなければならないのも、今です。

ユニセフは国際社会に対し、3つの行動を呼びかけています。まず1つ目は、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑えられるよう、各国が野心的な気候計画を策定すること。2つ目に、教育、保健、栄養、社会的保護、子どもの保護などの分野において、子どもたちのニーズを受け止めた適応策を実施すること。そして3つ目に、子どもたちの能力を引き出し、力を与え、そし今日後ほどパネルディスカッションに参加するミドリーズしかり、自分たちの将来に関わる議論に子どもたち自身が参加できるようにすること。

広く日本の皆さまと協働することによって、私たちはこの3つの呼びかけすべてを実現できると確信しています。

パネルディスカッション~子どもたちのとの対話

©日本ユニセフ協会/2024

基調講演に続いて行われたパネルディスカッションには、慶應義塾大学大学院教授の蟹江憲史氏、(株)LIXIL 常務役員 LIXIL Housing Technology サッシ・ドア事業部長の小林智氏、NHK Eテレ「あおきいろ」子どもSDGsユニット ミドリーズのりりあなさん、あやとさん、べにさん、ファン・デル・ハイデン ユニセフ事務局次長が参加。

モデレーターであるアグネス・チャン ユニセフ・アジア親善大使の進行のもと、気候変動に関する知見や影響を軽減するための取り組みが共有されるとともに、気候変動に対するそれぞれの思いについて、活発な意見交換が行われました。

 「危機に立たされる、キリバスの子どもたち」
ユニセフ・アジア親善大使   アグネス・チャン

ユニセフ・アジア親善大使 アグネス・チャン

©日本ユニセフ協会/2024
ユニセフ・アジア親善大使 アグネス・チャン

気候変動は今に始まった問題ではありません。10年以上も前の2009年に、私は西アフリカにあるブルキナファソという国を訪ねています。当時、そこが地球温暖化の最前線にある国の一つ、と言われていたからです。南の方はまだ木が生えているのですが、北上すると徐々に景色が砂漠化していきました。雨季に雨が降らず、広い地域で干ばつも起きていました。「水」をめぐって争いの火種があちらこちらにある状態では、国内で大きな軍事衝突がいつ起きてもおかしくない、と地元政府の関係者が言っていたのを良く覚えています。そして実際にその後、彼の予想は現実になりました。「水」は、今も世界中で多くの問題や軋轢を生んでいるのです。

今日私が報告するのは、今年の5月に行ったばかりのキリバス共和国、という国についてです。キリバスは今、地球温暖化の最前線にいると言われており、同じく「水」の問題に直面しています。

キリバスは太平洋上に点在する33の環礁からなる国で、広大な排他的経済水域(EEZ)を持っています。今回訪ねたタラワ、という首都がある環礁はひらがなの「く」を左右逆にしたようなかたちをしており、およそ6割の国民がここに住んでいます。島の幅が一番狭いところは25メートルしかなく、住宅が密集しているところもあります。

気候変動の影響はさまざまなかたちで現れています。例えば、海面上昇。タラワは島幅が狭いのでたくさんの家が海岸線に建てられていますが、一番高いところでも海抜は3メートルしかなく、高潮の時は暮らしている場所にまで海水が入ってきてしまいます。人々は水の侵入を防ごうと、サンドバッグを置いたり、柵に溜めたゴミで侵入経路を塞いだりしています。海面が上昇すると井戸水も塩辛くなってしまいます。さらには、あと50年ほど経ったら、温暖化で最大60センチほど海面があがるとの予測もあります。長期化する干ばつも起きており、真水の大切な供給源である雨水が得られない時期も続きました。そして暴風雨のような極端な気象現象は近年、より激しくなっている、と会った人は口々に言いました。時間が限られておりすべてお伝え出来ませんが、詳しくはぜひWEBサイトにある記事と映像をご覧ください。

気持ちを打ち明けてくれたイサベラさん。

©日本ユニセフ協会/Hironobu Nozawa
気持ちを打ち明けてくれたイサベラさん。

全世界における、この国の温室効果ガスの排出量はわずか0.0002%。にもかかわらず、キリバスは温暖化の影響を一番受けている国の一つなのです。

今回の訪問で一番、心に残ったお話をさせてください。気候変動問題に取り組む若者たちと話した際、キリバスの一番良いところは何ですかと尋ねたら、その内の一人だったイサベラさんは「コミュニティ」と答えたのです。でも彼女はこう続けたのです。「勉強すればするほど、この国の未来がどうなるのか分からない。だから、自分は子どもを産んでいいのか、迷っている」、と。一つの大きな家族のようにみんなと一緒に過ごすことが好き、という思いを持ちながら、自分は家族を作る希望がないかもしれない、と教えてくれたのです。これを聞いて、彼女も未来を夢見る権利があるのに、ととても悲しくなりました。

楽園のように美しいキリバスが、そうでなくなってしまうことを私たちは許していいのか。気候変動は、今後一人ひとりが真剣に考えていかなければいけない問題だと考えています。今日はキリバス、明日は私たち、なのです。キリバスで問題が解決できれば、私たちの模範になります。キリバスに未来があれば、私たちも、私たちの子どもも、孫も、そしてその先もずっと、未来があると思います。みんなでぜひ、考えていきましょう。

「危機は未来のものではなく、現実のもの」
慶應義塾大学大学院教授  蟹江憲史 氏

慶應義塾大学大学院教授 蟹江憲史 氏

©日本ユニセフ協会/2024
慶應義塾大学大学院教授 蟹江憲史 氏

気候変動による影響は、現在の状況が続くと、あるいはすでに、かなり深刻な状況です。

まずは仕組みについてですが、太陽の放射というのは光を地球に送り込んでいて、その放射の大部分は地球に吸収され、地球を温めてくれています。そのエネルギーの一部は赤外線として地球から宇宙に再び出ていきますが、すべて出ていくと寒くなり過ぎてしまうので、その一部は地球の大気に反射されて、地球を温めています。

簡単に言うとこれが「温室効果」というもので、地球が生き延びていくためにもともと必要な機能です。この機能のおかげで、地球は平均で15℃ぐらいの気温に保たれています。

けれど、さまざまな影響によって、大気中の二酸化炭素(CO2)を含めた温室効果ガスの濃度が上昇しているため、地球から外に出ていくはずのものが留まってしまい、どんどん暑くなってしまっています。温室効果ガスの主要な発生源は、石炭火力発電、石炭採掘、石油生産、航空・陸上輸送、埋め立て、肥沃化といったものです。私たちが生活していくために欠かせないものではあるけれども、それらが溜まりに溜まって、地球温暖化、気候変動が起きてしまっているという状態です。

一例として、水が入っているお風呂に赤ちゃんを抱いて浸かっている状況をイメージしてみてください。蛇口からバスタブに入ってくる水の量は、人間がつくり出している温室効果ガスの量です。同時に、森や木、海などの自然が温室効果ガスを吸収してくれるので、その吸収される量は、お風呂の底の栓から出ていく水の量というイメージです。

問題は、蛇口から出す水の量(作り出される温室効果ガスの量)が多すぎて、栓から出ていく量(吸収される温室効果ガスの量)とのバランスがとれていないことです。最近よく耳にされると思うのですが、「ネットゼロにしよう」というのは、この出す量と出る量のバランスをとろうということです。蛇口から出す水の量を一定量でおさめる、あるいはできるだけ減らしていくことが必要ですが、現在はそのバランスがとれていません。つまり、お風呂に水が溜まっていくばかりで、溺れてしまう状況になりそうだということなのです。

地球の平均の気温が15℃ぐらいで、今世紀末までにその上昇をプラス1.5℃あるいは2℃に抑えようと言っていますが、例えば今年4月の世界平均気温はすでに1.6℃上昇しているというデータもあり、かなり深刻な状況になっています。危機は未来のものじゃなくて、現実のものとなっているのです。

これからどんなに頑張っても、恐らく今とは違う状況の未来がやってきてしまう...。だからこそ、その変化に対応していくことと、温室効果ガスを減らすことの、両方を考えていかなければなりません。

世界人口も増えていきますし、他にも例えばプラスチックを使いすぎていて、このままでは海の魚の量よりもプラスチックの量が多くなってしまうとも言われています。私たちの生活が、大量生産、大量消費のパターンになっていて、その他にもさまざまな問題があります。だからこそ、私たちの生活や身の回りのことを、大幅に変える必要があると言われています。

人間がしている活動が地球に悪さをしているかについて、これまでは「もしかしたらそうじゃないかもしれない」といった不確実なこととして話されてきましたが、もはや疑う余地がないとところまで来てしまっているのです。

 「住まいを通じて、パートナーやその他企業、ユーザーの皆さまと共に連携して
気候変動に取り組む」
(株)LIXIL 常務役員 LIXIL Housing Technology サッシ・ドア事業部長 小林智 氏

(株)LIXIL 常務役員 LIXIL Housing Technology サッシ・ドア事業部長 小林智 氏

©日本ユニセフ協会/2024
(株)LIXIL 常務役員 LIXIL Housing Technology サッシ・ドア事業部長 小林智 氏

LIXILは、住宅の窓や玄関ドア、トイレ、浴室、洗面化粧台、キッチンなど、皆さまの身近にある住宅の建材や設備を販売をしている会社です。日本の会社ですが海外でも事業を展開しており、「世界中の誰もが願う豊かで快適な住まいの実現」を目指しています。

当社が掲げる「環境ビジョン2050」は、環境課題に対し、当社従業員が目指すべき指標となるもので、主要テーマの一つが「気候変動の対策を通じた緩和と適応」です。現在取り組んでいるその主要テーマの一つが、「気候変動対策を通じた緩和と適応」です。

「緩和」と「適応」という言葉は聞きなれないかもしれません。例えば窓の性能を高めることによって、冬に暖房で暖められた部屋の空気をできるだけ室内に留めることで暖房に使うエネルギーを減らしCO2も減らせるというのが「緩和」です。

一方で「適応」は、気候変動の影響がかなり進行してきますと、例えば太陽光を夏の時期に遮ろうとしたときに、その間を取り持つ商品が必要ですね。ですので、緩和と適応を並行して進めることが非常に重要だと考え、商品を作っています。

昨年、「住まいから未来へつなぐプロジェクト」を立ち上げました。気候変動対策を通じた緩和と適応の取り組みに共感をしていただいたお客様が当社の対象商品を購入いただくと、売上の一部がユニセフを通じて寄付になるというプロジェクトです。昨年は3カ月間の実施で2,000万円の寄付をさせていただくことができて、今年も10月からの3カ月間で同じ枠組みで実施しようと準備を進めています。

プロジェクトによる寄付は自然災害の緊急支援と気候変動対策支援の両方に用いられます。今年の分は今後日本ユニセフ協会と相談をしながら寄付先を決めていきますが、昨年分のうち災害に対する緊急支援については、2022年に発生したパキスタン大規模洪水の復興支援に用いられました。

こうした活動は当社だけで実施できるものではありません。当社の商品を取り扱いいただく、あるいは販売していただくビジネスパートナーの皆さま、そしてもちろんご購入いただく一般のユーザーの皆さま、そうした非常に多くの関係者が協力してこうしたプロジェクトが成り立っています。

さらには、私たちLIXILという会社だけではなくて、非常に多くの企業の皆さまがいらっしゃいますので、「企業としてできること」がたくさんあると感じています。ぜひ各企業の皆さまと連携しながら、この枠組みを広げていくような活動を、当社としても進めていきたいと思います。

子どもたちの声を聞き、立場を越えて協力し合う

NHK Eテレ「あおきいろ」子どもSDGsユニット ミドリーズ りりあな さん(左)・べに さん(中央)・あやと さん(右)

©日本ユニセフ協会/2024
NHK Eテレ「あおきいろ」子どもSDGsユニット ミドリーズ

りりあな さん(左)・べに さん(中央)・あやと さん(右)

ディスカッションでは、気候変動に関する知見や影響を軽減するための取り組みが共有され、対話形式で子どもたちもおとなたちも一緒に考え、それぞれの思いを共有しました。

気候変動が及ぼしている影響や、問題を解決していくためにさまざまな立場のおとなたちが取り組んでいることを、子どもたちはどう感じているのでしょうか? 子どもSDGsユニット ミドリーズのりりあなさん、あやとさん、べにさんは、それぞれの発表や意見を聞いて、感じたことや思ったことを率直に語りました。

あやとさんは、蟹江教授による温暖化の仕組みの解説を聞いて、「温暖化がすごく進んだりするのもちょっと怖いし、本当に誰が何をしなければいけないのかなって思いました」と率直に不安を表しました。それに対してキティ事務局次長は、気候変動は「すべての人が取り組まないといけない課題」だとし、「政府、企業、報道、政治家、そしてここにいるみなさん、私自身を含む、すべての人の問題なのです」と具体的にどういった行動が必要かを訴えました。

また、小林常務が企業としての具体的な取り組みを共有したことに対し、べにさんが「LIXILさんがそんな活動してるなんて知らなくて。だからもっといろんな会社にも取り組んでほしいと思います」語り、会場からも賛同の拍手が寄せられました。

りりあなさんは、「いろんな会社さんが環境のために頑張っているところを、そういうことをしているっていうのを聞いて、私も自分に環境のためにできることを自分で頑張って探してやっていきたいなって思いました。日本だけじゃなくいろんな国の人が健康で、みんな幸せでいられるように、みんなで協力していい未来と世界をつくりたいと思いました」と笑顔で語りました。

For Every Child ~ すべての子どものために

最後に、本フォーラムのテーマである気候変動に関連して、世界中の子どもたちにとって何が大切か、それぞれの思いを「For Every Child」のボードに登壇者のみなさんに書いていただきました。

 

きれいな海がある未来(あやとさん)

温暖化のせいで、海にも大きな被害が出ることがわかりました。この前佐渡島に行って、このきれいな海を守りたいなって思いました。なので、僕はCO2をあまり出さないために、使わない場所の電気はすぐに消すこと、そして、処理にCO2を排出してしまうので、ゴミをあまり出さないこととか、ご飯をあまり残さないこととかの努力をしていきたいです。

 

けんこうにせいちょうできるみ来(べにさん)

気候変動で暑くなってしまうと熱中症になっちゃうし、逆に寒すぎるところが出てくると風邪をひきやすくなるからです。そのために私は私の友達に話して、気候変動の問題を知ってほしいです。

 

緑と青と共に生きる(りりあなさん)

最近の私たちの暮らしのせいで、気候変動がどんどん進んで、私たちの未来や私達が脅かされています。だからみんなできれいな森とか自然の緑色と、きれいな空や海の青色を保ちたいです。そうすれば、人も自然も生き物もみんなが仲良く暮らせて、気候変動や食べ物の争いがへって、みんなが幸せに生きられるんじゃないかなという願いを込めてメッセージを考えました。

 

明るい未来(㈱LIXIL 常務役員 小林智 氏)

私の思いとして、子どもたちに明るい未来を残すということが、企業にとっての使命であり、大人一人ひとりの責任でもあると常々考えて生活をしています。

大人の皆さん、自分たちが子どもの時に親世代、あるいは祖父母世代がしてくれた以上のことをしていただいて、子どもたちに明るい未来をぜひ残していただきたいと思いますし、私もそのために努力していきたいと思ってます。

 

大人と同じチャンス(慶應義塾大学大学院教授  蟹江憲史 氏)

子どもたちに大人と同じチャンスをとは、未来に同じチャンスをという意味もありますが、今このミドリーズさんの話は、本当に私たちに何かはっとさせるようなことを言ってくれていると思います。

だから対等に話しましょう。「可愛いな、何すごいこと言ってるな」ではなくて、本当に彼らが言ってることを実現するためにどうすればいいんだろうっていうのをちゃんと向き合いましょう、という意味で、大人だけがそういうチャンスを持つんじゃなくて、子どもにも世界を変えるチャンスを一緒に与えることが必要じゃないかなというので、ここに書きました。

 

正しい知識(ユニセフ・アジア親善大使 アグネス・チャン)

キリバスを訪ねるまで、私は気候変動がここまで迫っていることを、本当の意味で知りませんでした。海がここまで上がってきていること。家が流されていること。水が飲めなくなっていること。国が大きな危機に立たされていること。でも「今」知らないことが多くても、「これから」身に着ける正しい知識が、私たちの原動力になります。私たちの心を動かすのです。

「正しい知識」を選んだのにはもう一つ理由があり、これがあると共存に繋がるからです。これまで先進国で暮らす人々は、多くの場合知らず知らずに、気候変動の原因を作っていました。でも便利な生活を追い求めたしわ寄せが、発展途上国の子どもたちのところに行ってしまっているのです。私はこれを目の当たりにし、責任を感じ胸が痛くなりました。先進国にいる私たちが知識を持ち行動して、次の世代の子どもたちも教育する。そして発展途上国の子どもたちも正しい知識を持ち、どう自分と自分の国を守るのか、考える。未来に向けて、みんなが良い行動の循環を起こすことが大切だと感じています。

 

Let us work together(ユニセフ 事務局次長 キティ・ファン・デル・ハイデン)

変化を起こすために必要な材料は、実はこの部屋の中にすべてあります。すなわちそれは、老若男女の市民の皆さま、団体や企業、政府関係者の皆さま、そして学校やアカデミアに携わる方々。

人が変化を起こすことができる理由は、私たち一人ひとりが日々の行動の中で、選択を迫られているからです。このまま問題の一部であり続けるのか、それとも解決策の一部となる覚悟を持つのか。もしあなたが気候変動の科学的な説明にも、ビジネス機会があることやアグネス大使の現場報告にまだ納得していなくても、私たちが未来を託す幼い子どもたちの夢に、どうか心を動かしてください。未来は、私たちが社会のあらゆるセクターで協力し合うことによってのみ、すべての子どもに託すことができるのです。そして今は、それを実現できる最後の数年。ですから私たちは皆で協働し、変化を成し遂げなければならないのです。

 

ユニセフ気候変動フォーラム「気候変動は子どもたちの危機」のパネルディスカッションに参加した登壇者のみなさん(ユニセフハウス、2024年6月20日撮影)

©日本ユニセフ協会/2024
ユニセフ気候変動フォーラム「気候変動は子どもたちの危機」のパネルディスカッションに参加した登壇者のみなさん(ユニセフハウス、2024年6月20日撮影)


会場やオンラインで視聴した皆さまより、事後アンケートを通じて頂戴した感想をいくつかご紹介します。

・ ユニセフ、子どもたち、企業、学者……さまざまな立場の人が、対等に語り合っていたことがとても良かったです。

・ 気候変動の問題は、「先進国対開発途上国」「おとな対子ども」「企業対消費者」の問題ではなく、すべての人が一緒に取り組まなければいけない問題だと感じました。

・ 身近に迫る危機的な地球環境をあらためて考える機会を与えてくれました。 他人事ではなく、日々の生活の中で出来ることをすぐに実行しなければ、と思い知らせてくれました。

 

困難な状況にある子どもたちが、生まれ持った権利を守られ、平和に健やかに成長できることを目指して活動するユニセフ。

その活動は皆さまのご支援によって支えられています。

毎月(定額)のご寄付 今回(一回)のご寄付

※最も支援が必要な子どもたちを支え、ユニセフの様々な活動に役立てられています。

関連ページ