【2017年8月24日 東京発】
日本ユニセフ協会は7月24日(月)、ヴェネツィア国際映画祭はじめ各国の映画祭で高い評価を得た『ブランカとギター弾き』の特別試写会をユニセフハウスで開催しました。
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『ブランカとギター弾き』は、親や信頼できるおとな(養育者)を持たない子どもたちの実情を、孤児になってしまった少女の視線を通して描いた作品です。長年、最も貧しい人々が住むフィリピンのスラム街で活動されてきた長谷井宏紀監督が長編映画として製作された最初の作品となる本作は、フィクションではありながら、ユニセフ(国連児童基金)が全世界でその根絶に取り組むストリート・チルドレンや児童労働、人身売買など、子どもたちを脅かし、貧困の連鎖を生み、国の経済発展や社会の安定にも悪影響を及ぼす様々な問題をリアルに伝えています。
試写会では上映後、長谷井監督が舞台に登場。ゲストとしてお迎えしたフォトジャーナリストの安田菜津紀さんとともに、映画やフィリピンへの熱い思いを語ってくださいました。
©日本ユニセフ協会/2017 |
「みんな目が見えなかったら戦争しないのに。」劇中で盲目のピーターがこのように話すシーンについて、安田さんから背景を聞かれると、長谷井監督は「いろいろな映画があっていい。でも人と何かをシェアするという意味で、僕は何か温かいものを作りたいなという想いで今回の作品を作りました。ピーターと時間を共にしていく中で、彼は“感じる”ということを大切にしている人だと思いました。人が感じ合っていれば、戦争なんかなくなるんじゃないか。言葉の先にある“人”というところまで想像できずに、情報を取り込み、自分の中だけで解釈しがちであるということ。それとは対照的に、ピーターはとても“感じている”人。だからこそ、僕はそのセリフを彼に言ってほしいと思いました」と語りました。
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また、作品の中でフィリピンの日常を描いたことについて長谷井監督は、「イマジネーションって人間の素晴らしい力だと思うのですが、そのイマジネーションを働かせられないくらいの情報が飛んでいる。シリア、シリア人っていう言葉で止まっちゃってその先に行かない。男と女があり、家族ができ、家族が集まり街になり、市になり、県になり、国になる。その国が集まってできたのが世界。突きつめると人間社会、人がベースなはずなのに」と語り、世界で取材活動をされている安田さんも「言葉は集団をのっぺらぼうにしてしまう。自分が取材を続けている難民問題も、もともと難民っていう人はいなかったはずなのに」と話し、「それでもこの作品をご覧になった方は、これからフィリピンのニュースを見た時に、ブランカだ、ピーターだって人の顔が浮かぶ。心と心の距離感が全く違ってくると思います」と続けました。
特別試写会に参加された方々からも、多くの声を頂戴しました。
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◇映画『ブランカとギター弾き』一般公開に合わせ、映画の舞台になったフィリピンを例にユニセフの取り組みをご紹介する特設ページをつくりました。
◇ 映画『ブランカとギター弾き』
2017年7月29日よりシネスイッチ銀座他にて全国順次公開
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