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篠原 辰治さん(左)
(公財)日本ユニセフ協会では、日本人の大学院生を対象にUNICEF現地事務所でのインターン研修を行う「海外インターン派遣事業」を実施しています。UNICEFバングラデシュ事務所でインターン中の篠原辰治さんから、ロヒンギャ難民キャンプを訪問した際の現地リポートが届きました!
UNICEFコックスバザール事務所
初めまして、現在、UNICEFバングラデシュ ダッカ事務所でインターンをさせてもらっています、篠原 辰治(しのはら たつじ)と申します。先週約1週間弱コックスバザールに出張に行かせてもらい、ロヒンギャ難民のキャンプ地を訪問してきたリポートをお伝えします。
皆さんもご存知の通り、昨年夏にミャンマーで暴動が起き、約70万人のロヒンギャ難民が隣国バングラデシュのコックスバザールに逃げてきました。そのうち、難民キャンプに到着した子どもは381,000人と推定されています。現在、教育セクター全体で約140,000人に何らかの教育を提供しており、ユニセフはその内124,470人(4~14歳)にノンフォーマル基礎教育を提供しています。
ユニセフ コックスバザール事務所の教育セクションが主に行っていることはロヒンギャ難民・ホストコミュニティ(バングラデシュに住み、ロヒンギャ難民を受け入れている地区の人々)に対する教育支援です。特に、難民キャンプにさらに学習センターを作り、より多くの子どもたちにノンフォーマル基礎教育を提供することが今一番力を注いでいる仕事の一つです。現在、1,110の学習センターが機能しており、ユニセフは年末までに2000弱の教室をパートナーを通じて作る目標を掲げています。とても大きな目標を実現するため、スタッフの方々はとても忙しい毎日を過ごしており、遅くまで仕事をしている印象を受けました。私は資料の作成やデータ分析を手伝わせてもらい、ユニセフが計画の基、どんな動きをしているのかリアルタイムに学ばせてもらいました。
また、学習センターの状態をモニタリングするとのことで、難民キャンプに2日間一緒に同行させてもらいました。難民キャンプは事務所から2時間ほど離れた場所にあります。難民キャンプ地に行く前は劣悪な環境を想像していましたが、実際に行ってみると、ホストコミュニティの方とロヒンギャ難民の区別がなく、共に共存している印象を受けました。しかし、夜になると全く違う状態になるとのことで、15時には難民キャンプを出ると現地スタッフの方から伺いました。ロヒンギャの方々の中でもミャンマーに帰る・帰らないでもめ事があり、今でも殺人などが起きているとのことです。
難民キャンプは全部で35あり、私は5つのキャンプ地を周りました。階段があったり、飲料水があったり、人々が生活をしているのを見て、想像していたよりもキャンプ地として町ができていました。一方、ボロボロのキャンプに住み、川も汚く、異臭がする地域の中で生活している場面も見ました。写真を子どもたちと一緒に撮る時もありましたが、心から笑っている印象は受けませんでした。実際、キャンプ地によって子どもの様子は違いました。あるキャンプではとてもフレンドリーに私に英語で話しかけてくる一方、別のキャンプでは全くそういうことはなく、じーっとこちらを見つめてきました。現地スタッフの方にその違いを話すと「支援者の訪問がよくある地区は外国人慣れしていて、フレンドリー。しかし、外部の人がなかなか来ないキャンプはそういうことはない。」という話をお聞きし、なるほどなと思いました。子どもたちの笑顔から開発現場の実情を感じさせられました。
今後ユニセフはより多くの教室をパートナーズと一緒に作っていきます。教育へのアクセスが増え、より多くの子どもたちが教育を受けられるようになることはとても大切なことです。しかし、同時に教育の質にも力を入れていくことが今後ますます大事になっていきます。教える先生たちの指導力、子どもたちへの能力別の教材作成、コミュニティの教育への巻き込みなど、まだまだ多くの課題が残っています。
たった1週間の滞在でしたが、とても多くのことを学ばせて頂きました。あと少しの間ダッカでインターンをさせてもらえますので、しっかり今回の学びを次につなげられるように頑張りたいと思います。
UNICEFバングラデシュ事務所
インターン
篠原 辰治
海外インターン生・篠原辰治さんの「ロヒンギャ難民キャンプ」訪問リポート(その2)