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東日本大震災復興支援 第218報
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© 日本ユニセフ協会 |
「相馬の子どもが考える東日本大震災」全体発表会。3回目の今年、子どもたちからは、相馬の未来に向けた具体的な提案や、そのために自分たちで始めている取り組みなども発表された。 |
「子どもたち自身が、ふるさと相馬をどうしたいかを考えることが、学校で学ぶことや生きる意味を改めて問うことにつながる」
「子どもたちの発想力や実行力が、震災復興の大きな力になる」
福島県相馬市の教育委員会は、そんな思いから、震災直後、子どもたち自身が震災を振り返りながら相馬の未来を考える「相馬の子どもが考える東日本大震災」を発案。同市の要請を受け、日本ユニセフ協会は、初年度からこの企画を応援してきました。
「相馬の子どもが考える…」には、相馬市内の全小中学校(15校)が参加。「総合的な学習」の時間を使い、震災を経験して感じたことや考えたことを共有。震災後の相馬の姿や地域が直面している課題を学び、未来のふるさとの姿を考えるプロセスを積み重ねてゆきます。このプロセスを通じて学んだ成果は、年に一度、市長はじめ多くの地域の方も参加する全体発表会で披露されます。
今年で3回目となる全体発表会は、11月22日(金)、震災で半壊し今年10月に再建されたばかりの相馬市市民会館で開催。対象学年全30学級、総勢800名あまりの子どもたちが、城下町をイメージさせる瓦葺き切妻屋根の市民会館に集まりました。
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11月22日(金)に開催された全体発表会には、「相馬の子どもが考える東日本大震災」に参加する市内全15の小中学校から、800名あまりの対象全学級の子どもたちが参加した。 |
一昨年、昨年と過去2回の発表会で子どもたちが発した言葉の多くは、仮設住宅の経験、復興の様子を間近でずっと見てきたことから生じる復興への願いや希望の声でした。震災の経験からの不安や気づき、そして感謝の気持ちをまっすぐと表したものでした。
3回目を迎えた今年、子どもたちの発表の内容に少し変化が見られました。これまでの不安や感謝などの思いに加え、復興へ向けた具体的な提案や、自分たちで始めている取り組みが、力強く堂々と発表されたのです。
あるグループは学校や地域の防災設備について学び、災害に強い空間をデザインしました。また、漁協や農協の訪問を通じて学習したことを踏まえ、風評被害への対策として地元の農・海産物が安全であることを消費者へPRすることの重要性とその方法を提案したグループもいました。復興観光ツアーを盛り上げるために、自分たちでつくった観光マップなどを舞台で披露し、試験的な漁で取れた新鮮な魚を観光客に味わってもらう企画を提案したグループ。相馬の特産品を使った商品を試作したグループ。すぐに自分たちができる活動に取り組もうと、仮設住宅でのお年寄りのお手伝いや清掃窓拭きなどを実践したグループ。どの発表も、自由で柔軟な発想の中に、自然豊かなふるさと相馬を思う気持ちと「未来を変えるのは私たち。そのために今頑張らなければならない」という強い決意が感じられました。
今回発表された子どもたちの意見は、「子どもたちの提言」としてまとめられ、相馬市に提出されます。
日本ユニセフ協会は、復興への取り組みに子どもたちの声が積極的に取り入れられるよう、また復興に向けたまちづくりに子どもたちが参画できるよう、こうした取り組みを応援し続けます。
■相馬の子どもが考える東日本大震災発表会 過去の開催報告