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日本ユニセフ協会
 



東日本大震災緊急募金 第169報
ふるさと相馬子ども復興会議全体発表会の開催報告

【2012年11月4日 福島発】

11月4日、震災の福島県相馬市で「ふるさと相馬子ども復興会議」全体発表会が開催されました。昨年11月に開催された「相馬の子どもが考える東日本大震災」発表会に引き続き2回目となります。昨年の発表会は震災からようやく半年が過ぎたところで、子どもたちは震災を通して身を持って経験した生と死や生活の大きな変化に対して、何を思い、考えるのかをありのままに表現しました。あれから1年、一回りも二回りも大きく成長した子どもたちは、前向きに、明るい眼差しで、ふるさとである相馬市の復興の様子や今後の課題、そして未来の相馬の姿について自分の言葉で語りました。

主催者である相馬市教育委員会は、未来を担う子どもたちに震災の教訓を引き継ぐことが重要であると考えると同時に、子どもたちのきらきらした柔軟な発想力、まっすぐな実行力が震災復興の大きな力になるという信念のもと、この度の発表会を開催しました。また、子どもたち自身がふるさとの相馬をどうしたいのかを考える機会を持つことで、学校で学ぶことの意味や生きる意味をあらためて子どもに問いかけ、「生きる力」を育成することにもつながります。

日本ユニセフ協会は、子どもたちがふるさとである相馬市について考え、発表する機会を設けることで、子どもたちをエンパワーメントし、復興計画のなかに子どもたちの声が積極的に取り入れられるよう、そして復興に向けたまちづくりに子どもたちも参画できるよう、相馬市教育委員会主催の発表会を昨年から継続して支援しました。

参加したのは、相馬市内の小学校10校、中学校5校で、各校の代表者が3名のチームとなり、各校でまとめられた内容をパワーポイントや映像資料を用いて発表。前年度の発表内容を活かして校内アンケートの比較分析をする学校もあれば、朝のあいさつキャンペーンやボランティア活動など、この一年で自分たちが実際に行動に移せたことを報告したり、これからの相馬について地域のおとなにインタビューを実施したり、原子力発電に代わる自然(再生可能)エネルギーの活用について調査し、これからの日本で火力、原子力、自然エネルギーをどう現実的に組み合わせていけるのかについて発表する学校もあり、それぞれの個性が光る内容豊かな全体発表会となりました。

なかでも、ふるさとの相馬に届いた世界中からの支援への感謝、自然エネルギー活用への高い関心、「心の扉」であるあいさつの大切さ、「相馬の未来は私たちの手で」という強い決意、そしてそのために今自分たちはどんなに苦しくても勉強して「頭を鍛えなければいけない」、「愛する美しい相馬市の未来を決してあきらめない」という思いはどの学校にも共通していました。また、言葉だけで終わらせずに実践すること、さらにその行動の結果を積極的に外へ発信していくことの重要性が複数の学校から指摘されました。

堀川利夫 相馬市教育委員教育長は、この一年の子どもの成長について次のように話しました。「子どもたちの成長には目覚しいものがあります。多くの子どもたちが自然と『自分たちは生かされている』と口にするようになりました。日本国内そして世界の人々から支援を受けたことで、人は一人で生きているのではなく、生かされているのだと実感したようです。このことがいかに素晴らしいか伝わりますでしょうか」

発表を終えた子どもたちは、発表中に見せた凛々しい表情から一転、ほっとしたような可愛らしい笑顔を見せました。発表に立ち会った先生は、来年は今年の発表成果を踏まえてより具体性を持った内容に発展していきそうだ、と誇らしい様子で語りました。

写真クレジット全て:© 日本ユニセフ協会

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