HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > 東日本大震災緊急募金
日本ユニセフ協会
 



東日本大震災緊急募金 第158報
現場を支える方々

【2012年6月1日 東京発】

「この建物は杉の木をはるか何百年も昔にご先祖様が植えたその思いがいまここによみがえっている、生きている建物です。」あさひ幼稚園新園舎の上棟式で挨拶する建築家の手塚貴晴氏(5月25日 宮城県南三陸町)

岩手、宮城、福島各県自治体の要請を受け進めている、東日本大震災で大きな被害を受けた保育園や幼稚園、福祉施設、児童図書館、保健センター等の大規模修繕や仮設・恒久園舎の建設支援活動。これまでに、11の建物が完成(修繕完了)し、現在、残る8の建物の建設が進められています。

プレハブ仮設園舎支援としては第1号となった、岩手県大槌町の保育園。建設時機は、丁度、仮設住宅の建設が各地で進んでいたため、プレハブ用資材などの入手が容易ではありませんでした。しかし、建設を担当された岩手県遠野市の方々も、子どもたち、そして、大槌町の未来を拓く拠点としての保育園の重要性を理解され、作業を急ピッチで進めてくださり、ちょうど1年前の今日、無事、2階建仮設園舎での保育活動が再開されました。

その後、続々とスタートした建設や修繕。しかし現場は、余震、雪、強風、大雨に晒されてきました。更に、食事をとる場所も寝泊りできる場所も非常に限られ、厳しい環境に置かれています。しかし、全国各地から集まった工事の最前線に立たれている方々は、この支援活動に、“仕事”を超えて取り組んでくださっています。

震災発生直後、一瞬にして町並みが消えてしまった被災地に、多くの建築家の方々が入られました。その中に、被災地の「木」に注目された方々がいらっしゃいました。日本ユニセフ協会の呼びかけにいち早く応えて下さった薩田英男さんや、手塚貴晴さんも、そうした建築家のお二人でした。

津波を被り、多くが、伐採・廃棄などの行く末を運命付けられていた被災地の木々。しかし、「日本では、かつて、大きな自然災害がある度に、こうした木を使って新たな建物をつくってきたんですよ。」「こうした木を、瓦礫と一緒にしてしまうのは・・・。」と語るのは、宮城県南三陸町のあさひ幼稚園などの建築を手掛ける手塚さん。手塚さんは、町内のお寺の参道で被災した樹齢200年の杉の大木を、建物の一部に使うプランを提案。現在、建設作業が急ピッチで進められています。

一方、一足早く建設が始まり、今年4月26日に完成した宮城県気仙沼市の学童保育施設。もう一つの保育園園舎の建設(現在進行中)も手がける薩田さんは、学童保育施設のオープニング式典で、「この建物には、(このあたりで有名な)気仙杉を使っています。天井とか、全部杉で出来ている。自然の杉の匂いとか、天然のオイルで塗っているので、“気仙沼の学童はここにある”っていうような建物を造りました。」「みんなで、建物の中を元気に使ってくれると、おじさんは嬉しいです!」と、自らの思いを、子どもたちに伝えました。

先月、上棟式を迎えた南三陸町のあさひ幼稚園。会場に集まった100名程の南三陸町の方々に、手塚さんは、「この日を迎えられたことを大変うれしく思っています。この建物は杉の木をはるか何百年も昔にご先祖様が植えたその思いがいまここによみがえっている、生きている建物です。」と語りました。

みなさまのご支援によって、日本ユニセフ協会が進めている東日本大震災被災地支援活動。その活動の現場では、多くの方々が、“仕事”を超えたそれぞれの強い思いを持って、支援活動を支えて下さっています。

6月4日(月)放送の『NHKプロフェッショナル 仕事の流儀』は、ご紹介した建築家の手塚貴晴さんご夫妻の活動を紹介。日本ユニセフ協会の支援の現場を支えて下さっている方々の姿や思いの一端を、是非、御覧下さい。

 
新施設のオープニング式典で、子どもたちに語りかける
薩田英男氏
  新施設で遊ぶ子供たち

写真クレジット全て:© 日本ユニセフ協会

プロフェッショナル 仕事の流儀

「ふたりが信じれば、大胆になれる」 建築家・手塚貴晴 手塚由比

NHK 総合  6月4日(月) 午後10:00〜10:48

再放送: NHK総合 6月8日(金) 午前0時50分〜1時38分(木曜深夜)

※放送日時は事前の予告無く変更される場合があります。予めご了承ください。

番組ホームページ:http://www.nhk.or.jp/professional/index.html

pdf緊急・復興支援活動 1年レポート(収支報告)はこちら[5.96MB] »