スタディツアー視察報告モンゴル スタディツアー報告 (2010年7月25日〜8月1日実施)7. 移動式ゲル幼稚園(遊牧民の幼児教育)モンゴル全人口の40%が遠隔地に住んでおり、子どもの人口全体の56%が遊牧民の子どもたちであるため、移動式ゲル幼稚園の必要性は高いといえます。 移動式幼稚園は、2006年から始まり、ユニセフも着目し子どもの給食予算を政府にはたらきかけるなどして、援助を開始した結果、政府も就学前プロジェクトの重要性を認識し始め、ユニセフのゲル幼稚園への支援も軌道にのってきています。2010年現在、全国にゲル幼稚園は72あり、3〜5歳の就学前教育を行っています。教育課程(カリキュラム)は、ユニセフが編纂した72日間分のカリキュラムをもとにして、言語・数・自然科学・歌・図工(絵や折り紙)・身体運動・衛生指導からなります。実施できなかったカリキュラムについては、教員が家庭を訪問して行う場合もあります。また、少数民族であるカザフ族向けのテキストの作成と指導、教育を受ける機会のなかった親のための識字教育、家庭における子どもへの接し方など親への教育も積極的に行っています。 ゲル幼稚園の職員構成は、園長以下保育士1名、助手1名、料理人1名で、園長以外は職員用のゲルに泊まり込んでいます。職員の給料、子どもたちの食事代は国から支払われています。園の食糧は、遠隔地のバガヌール市内より1週間に2回運ばれています。訪問した際、子どもたちは屋外でテーブルに向かい、図工の活動をしていました。ゲルの中では、同じ年齢同士でグループとなり活動が行われ、年少のグループは教具をつかって1から10までの数を数える学習をしていました。地域のつながりを大切にした教育の原点をモンゴルに見たような気がしました。
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