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公益財団法人日本ユニセフ協会

資料・刊行物 プレスリリース

『最初の72時間:イノベーション・チャレンジ』
災害支援の課題解決に約300のプロジェクトが参加
「空飛ぶ通信気球」「水容器にもなる運搬パレット」

【2014年5月27日 ニューヨーク発】

The First 72 Hours Challenge

ユニセフと、チリのSocialab*は、27日、災害発生直後の緊急下で活用できる革新的なアイディアを、世界中から募ったイノベーション・コンテスト、“The First 72 Hours Challenge” (『最初の72時間:イノベーション・チャレンジ』)の優勝者を発表しました。

世界から300ものプロジェクトが参加

『最初の72時間:イノベーション・チャレンジ』は、昨年12月から今年4月までの4カ月間、世界中の個人、学術機関、企業、団体を対象に、災害発生時によりよい緊急対応ができるためのアイディアを募集したもので、特に、災害発生から72時間以内の緊急支援で直面する課題を解決するような、イノベーティブなものを求めていました。コンテストへの参加者は、緊急支援に必要とされる4分野(電力、保健ケア、情報と通信、水と食糧)から一つを選び、プロジェクトを提案しました。

本日発表された今コンテストの優勝は2つのプロジェクト。スウェーデンからのInstanetは、緊急下でもインターネットなどの通信を回復できる、エンジン付きのパラシュート用いたシステム。そして、ニュージーランドからのAguapalletは、通常の2倍の容量の飲み水を運搬できるパレット(品物を運搬・貯蔵するための台)です。何百もの応募から選ばれたこの2つのプロジェクトは、各1万5,000米ドルの開発資金が提供され、7月からチリにあるSocialabで実用化にむけ動き出す予定です。

Socialab の代表であるジュリアン・ウガルテ氏は、「わたしたちは、可能性に満ち溢れるこの2つのプロジェクトの開発に関われることに、とてもワクワクしています。そして、このコンテストの場で、様々なアイディアを共有してくださったすべてのみなさまに、祝辞を述べたいと思います」と話しました。

この “イノベーション・チャレンジ”には、世界5大陸50カ国からおよそ300ものプロジェクトが参加しました。それらのプロジェクトを、緊急支援、イノベーション、民間ビジネス、そして子どもの権利の専門家約30人が評価しました。

空飛ぶ通信気球 「Instanet 」

携帯電話と情報通信装置を載せた気球Instanetは、スウェーデン発のプロジェクトです。災害で失われた通信経路が復旧するまでの間、緊急事態下における通信ネットワークを確保することができます。また、緊急事態下で行方不明になったり、連絡がつかなくなった人々の位置情報を得るために不可欠な、携帯電話の通信情報のトラッキングも行うことができます。

Instanetを発案したクリエーターの一人、ジョアキム・ラルソン氏は、「『最初の72時間:イノベーション・チャレンジ』は、創造力を活用して課題に挑戦する機会を、世の中に提供しました。最も重要なのは、創造力が発揮される“理由”です。クリエーティブなことを考えるのは確かにそれだけで楽しいのですが、それを社会に役立てられる機会に遭遇すれば、人は、自らの創造力を最大限に発揮することができるのです」と語ります。

Instanet:空飛ぶ通信気球

通常の2倍の容量の飲み水を運搬 「Aguapallet 」

Aquapalletは、水容器としても使える運搬に用いるパレットです。それほど多くのスペースを必要とせず、既存の配布システムを用いて、大容量の飲み水を運ぶことができます。

「私たちがこのプロジェクトを開始したのは、人々の生活に良いインパクトを与え、一過性ではなく永久に残っていくようなものを提案したかったからです」と、Aquapallet開発チームのモワラ氏とシャウン・クレイル氏が語ります。「今ある課題を、未来の世代が解決していることについて、私たちは世界の人々によく考えてほしいのです。ニュージーランドの都市クライストチャーチで発生した2011年6月の地震を目の当たりにし、人生にとって何が大切かに気付きました。家族を守るためには、屋根がある居場所、食糧、そして水が必要です」

Aquapallet:水容器にもなる運搬パレット

ユニセフ本部のマック・グロビンスキー氏は、「Aguapalletはテクノロジー主導のアイディアではなく、実際に緊急事態下に身を置かれた人々の気持ちに寄り添い、周囲にある限られた資源でできるもの、として考えられたものです。一方、Instanetは最先端のテクノロジーと真新しい素材を活用したアイディアにより、重要なソリューションを提案しています」と述べ、異なるアプローチによって生み出されたそれぞれのアイディアを評価しました。

* * *

*Socialabは、世界で起きている貧困問題などの解決を目指す社会起業家のためのプラットフォームで、異なる業界、業種で働く人々をつなぎ、ともに社会の問題を解決するために行動を起こすことを促進しています。米州開発銀行(IDB)の多数国間投資基金(MIF)、モビスター・チリ(Movistar Chile)などの共同創設機関からの支援をうけています。

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