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ユニセフのスタッフ、『TIME』誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出【2013年4月18日 ニューヨーク発】 ユニセフの支援の取り組みには、日々、新たに生み出された技術や戦略が取り入れられています。ユニセフが直面している最も困難な課題を克服するために、革新的な解決方法を編み出してくれる人々がいるのです。 雑誌『タイム』は、ニューヨーク時間の18日、今年の「世界で最も影響力のある100人」を発表。その中に、ユニセフ本部のイノベーションユニット(技術開発班)で働くクリストファー・ファビアンと古知エリカの二人がいました。この「100人」には、毎年、社会に変化をもたらした指導者や、メディアや文化界の重要人物、すなわち、“世界を形作っている人々”が選ばれています。 「私たちのチームの仕事が、世界に影響を与えるものとして認められたのは、とても光栄なことです。ユニセフが各国の現場で展開する日々の活動を強化し、さらに、国際社会による開発支援のあり方を変えていくための技術開発やデザイン、そしてイノベーションといった私たちの仕事の成果が認められたということです。また、今回私たちの仕事がこのようにして社会的に認めていただいたことは、ユニセフが、引き続き、世界中で最も弱い立場に置かれた子どもたちが直面する問題の解決のために、多くの支援団体が共有しまた大規模に展開することができる施策の開発に取り組み続けることを後押ししてくれました」(古知) リアル(正確)な結果をリアルタイムに
ファビアンと古知が携ったプロジェクトは、RapidSMSと呼ばれる革新的なシステムの開発でした。誰でも利用できる携帯電話のメッセージ機能をベースにしたこの技術を使えば、国中の情報を収集し、また検索することができます。例えばマラウイでは、(地方の農村部の)保健スタッフが現場で集めたデータを、携帯電話のメッセージ機能を使って入力。現地のRapidSMS番号に送ります。こうして集まったデータは、専門の訓練を受けたスタッフが地図やグラフに起こし、すぐに利用できる情報に加工。すぐに使えるデータとして、リアルタイムで中央政府に送られます。 「例えば、ある特定の地域のコミュニティワーカーたちが、短期間に集中して経口補水塩の作り方をメッセージで問い合わせてきたとしたら、何かが起こっていることが容易に推測することができますから、詳細な状況を確認するための調査団を送ることも可能になるのです」「紙のデータや、オフィスに届くまでに1年も2年もかかるような方法でやりとりしていたら、こんなことは不可能です」とファビアンは説明します。 「(この技術が導入されて)突然、私たちは、私たちがサービスを提供している人たちと会話できるようになったんです」「誰に支援の手が届いていないのか?誰が必要なサービスを利用していないのか?なぜこれが問題なのか?そして、私たちに何が出来るのか?—そういったことがリアルタイムで分かるようになったのです。今、私たちが抱えている課題というのは、何かが起きた後にあるものではなく、今何が起きていて、何ができるかを知るということなのです」(古知) 世界中で起きている革新
ユニセフのイノベーションユニットは、何百万もの人々の生活を変えています。ルワンダでは、RapidSMSを使い、約6300万張の蚊帳の配布の記録を追い、何千人もの妊婦さんが出産前ケアを受ける手助けをしました。ウガンダでは、19万人以上の若者たちが、インターネットを通じて政府との政策協議に参加できる仕組みが作られました。 「このふたりのスタッフは、アイディアを試し、実行し、生み出した技術が多くの場所で使われるように、世界中のパートナーとともに東奔西走してきました」とユニセフのアンソニー・レーク事務局長は話します。「彼らの仕事のおかげで、私たちは、最も手の届きにくいところにいる子どもたちにも、命を守り、人生を変える手段を届けることができるのです」 ユニセフは、学術機関や大学、そして様々な民間企業などのパートナーとも様々な協力関係を作っています。「私たちの世代が直面している課題は、どこか一つの国が動いて解決できるものではありません。多くの国が持つ膨大な技術が必要とされるのです」「そして、これらの課題は、人々が共に手を取り合い、技術そのものではなく、課題の背後にあるものの重要性に気づくことができたときに解決されるのです」(ファビアン) 「(ユニセフ本部がある)ここニューヨークでハリケーン・サンディが発生した時、アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁のイノベーションユニットが私たちに言ったのです。“あなたたちがブルンジや南スーダン、西アフリカで仕事をした時に使った技術を使って、私たちを助けてくれませんか”と。私にとって、それは“目から鱗が落ちる”経験でした。ニューヨークの人々が直面していたのは、電力やコミュニケーションの不足、交通手段のアクセスの欠如といった、まさに南スーダンで私たちが直面しているものと同じ課題だったのです。ですから、全く同じ課題に直面している(南スーダンの首都の)ジュバにいる私たちのチームは、アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁に、こうした緊急事態を乗り越える対応策を提供する事ができたのです」(ファビアン) 失敗の日々
ファビアンと古知が、ユニセフで仕事をするようになって6年。日々困難な問題に直面している世界各地の現場のスタッフのために、常に新たなアイディアや技術を紹介し、またそうした技術を運用しています。そんな彼らにも、多くの失敗がありました。しかし、その失敗に立ち向かう方法も知っていました—全ての失敗を“歓迎”するのです。 「私たちは、毎週のように失敗しています」「たくさん失敗します。RapidSMSも、運用を始める前に50回は失敗しました。私たちはすぐに失敗しますが、その失敗を共有します。これまでの経験で私たちが学んだことは、それを実際に使う人々と共にプログラムを作り出すべきだと言うことです。誰にでも使ってもらえるものを作らなくてはならないのです。必ず、現地の人々が支持してくれるものを作り出すようにしなくてはなりません」(ファビアン) ユニセフのイノベーションユニットにとって、アイディアそのものを前面に押し出すことは、あまり重要なことではありません。直面する課題を考えるコミュニティを作り出すことこそが、本当の解決策につながるのです。 |