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ユニセフ協会からのお知らせ

ユニセフ 『世界子供白書2013』発表 
2013年のテーマは「障がいのある子どもたち」
目を向けるべきは “障がい”ではなく“子ども”

【2013年5月30日 ベトナム・ダナン発】

ユニセフは5月30日、ベトナム中部の都市ダナンで『世界子供白書』を発表。『世界子供白書』は、ユニセフが、子どもたちに影響を与えている世界の傾向を包括的に分析し毎年発行している基幹出版物のひとつで、今回は、1980年の第1号発行以来はじめて、「障がいのある子どもたち」をテーマにまとめられました。

世界子供白書2013「障がいのある子どもたち」 英語版はこちら[4.10MB]  »

世界子供白書2013「障がいのある子どもたち」 日本語要約版はこちら[813KB]  »
※6月20日、用語用法等、専門家による監修を受けた要約版を更新しました。

『世界子供白書2013』全文(日本語版)は、本年8月の発表を予定しています。

世界子供白書2013
「障がいのある子どもたち」

世界で最も多くの国が批准している「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」で謳われる子どもの権利は、生まれた場所や国籍、性別はもちろん、障がいの有無に関わらず、全ての子どもたちに等しく与えられています。しかし、世界中で、多くの子どもたちが障がいを理由に社会から疎外され、“見えない”状態に置かれています。『世界子供白書2013』は、障がいのある子どもたちのみならず、そうした子どもたちが住む社会も恩恵を受けるため、全ての人が平等に受け入れられる格差のない社会、すなわち「インクルーシブ(inclusive)な社会=誰もが受け入れられる社会」をどのように実現できるのか、検証し、提言します。

© UNICEF/AFGA2007-00420/SHEHZAD NOORAN

『世界子供白書2013』は、社会が、障がいのある子どもたちが“できないこと”ではなく“できること”に注目すれば、障がいのある子どもたちだけでなく、社会全体にとっても良い状況が生まれると伝えます。
「子ども(その人物)ではなく、“障がい”に目を向けることは、その子どもに対して不当であり、その子どもが社会に貢献できる全ての可能性も奪う行為なのです。子どもたちがそうした可能性を失うことは、社会も、その可能性を失うことなのです。子どもたちが何かを出来るようになれば、社会そのものが、何かをできるようになるのです」と、ユニセフのアンソニー・レーク事務局長は訴えます。
障がいのある子どもたちがあらゆる面で参加できる社会は、全ての人にやさしい社会です。例えば、障がいのある子どもを受け入れる教育は、一義的には、その子どもたち自身の夢をかなえるための機会を提供する場ではありますが、同時に、障がいのある子どもたちと共に学ぶ環境を作ることによって、障がいのない子どもたちの視野も広げることになります。 こうした、障がいのある子どもたちを社会に受け入れるための取り組みが広がれば、障がいのある子どもたちを社会から疎外する差別との闘いにも、大きな進展が見られることになるはずです。

障がいのある子どもたちの現状

© UNICEF/ZIMA2011-00006GIACOMO PIROZZI

障がいのある子どもたちの多くは、「出生届け」が出されず、生まれて直ぐ社会から疎外されます。このため、公的には“存在しない子”となり、生きるため、そして一人の人間として成長するために欠かせない保健・医療や教育などの社会サービスや、法的な保護の網から切り離されてしまうのです。そして、差別が疎外を更に助長するのです。 レーク事務局長は「障がいのある子どもたちは、生まれた時はもちろん、学校やあらゆる生活の場面において、一人の人間としてその“存在”を認識されなければならないのです」と語ります。
白書は、障がいのある子どもたちは、様々な社会的背景を持つ子どもたちの中で保健・医療サービスや教育を受けられない傾向にあると指摘。また、特に家庭の中で、他人の目から隠されるような状況に置かれたり、施設などに預けられている場合、暴力や虐待、搾取、育児放棄などについても、同様の傾向が見られたりすると指摘します。社会的不名誉や養育費が嵩むなどの理由から、障がいのある子どもの多くが、そのような環境に置かれている現状があります。 こうした要因が重なり、障がいのある多くの子どもたちは、世界中で社会から疎外されている存在です。貧困の中で生きる子どもたちの中には、学校や病院に行けない子どもたちが少なくありませんが、貧困の中で生きる障がいのある子どもたちの場合、それがさらに難しくなります。
性別も、事を大きく左右します。障がいのある女の子の方が、男の子よりも適切な食事やサポート・支援を受けられない傾向にあります。
白書は、障がいのある子どもたちの可能性を様々な形態で剥奪している状況が、社会からの疎外に拍車を掛けている現状を説明しながら、「障がいを理由にした差別は、抑圧以外の何ものでもない」と指摘しています。

社会に求める取り組み

© UNICEF/VIETNAM2012/EHRIN MACKSEY

現在、障がいのある子どもたちがどれほど存在するのか、どのような障がいがあるのか、障がいが生活にどのような影響を及ぼしているのかを示す正確なデータは存在しません。このため、多くの国々で、障がいのある子どもたちとその家族を支援するための資源を配分するための有効な手立てを打つことができない状況です。
「障害者の権利に関する条約」を批准している国は、世界の約3分の2に過ぎません。『世界子供白書 2013』は、全ての国の政府に、自国で最も排除され弱い立場にある子どもたちを含め、自国の国民全員に権利を等しく保障するという約束を守るよう訴えています。
明るいニュースもあります。障がいのある子どもたちを受け入れる社会の実現に向けた取り組みは、一部ではありますが、着実に進展を見せているのも事実です。白書は、今後、国際社会が取るべき行動の方向性を、次のように挙げています。

  • 各国政府が、「障害者の権利に関する条約」を批准し、同条約と「子どもの権利条約」の内容を具体化すること。それらを通じ、障がいのある子どもを持つ事によって高額となる生活費が負担とならないよう、家族・家庭をサポートすること。
  • 広く一般の間だけでなく、政策決定者や教育や保健・医療などの、子どもたちの命や成長に不可欠な社会サービスの提供者の中に存在する、障がいのある子どもたちに対する差別を排除する施策を展開すること。
  • 国際機関は、「障害者の権利に関する条約」と「子どもの権利条約」の内容に順じ、各国政府に対して助言や支援を提供すること。また、障がいのある子どもたちへの支援に社会資源を適切に配分できるよう、障がいのある人々に関するデータの収集や研究を目的とする国際的な研究の実施を呼びかけ、計画を策定すること。

白書は、障がいのある子どもや若者を対象にした様々な施策やサービスを策定する際には、当事者である彼ら自身の話を聞き、彼らにもその策定プロセスに参加してもらうことの重要性も強調しています。
また、社会が提供する様々なサービスを全ての人が利用できるようにすることや、ユニバーサルデザインを可能な限り取り入れた環境を整備することなどを通じてインクルージブな社会が作られれば、その恩恵は、全ての人にもたらされると訴えています。
レーク事務局長は、ベトナム・ダナンにて『世界子供白書2013』の発表によせて、「私たちの前に続く道のりは、決して容易なものではありません。しかし、障がいのある子どもたちにも、私たち自身にも“不必要な制限”を課すべきではありません」と、述べました。

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