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財団法人日本ユニセフ協会
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子どものHIV感染に関する最新レポートを発表 - HIV感染の子ども13万人減少

【2013年6月28日 ジュネーブ発】

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© UNICEF/NYHQ2002-0570/GIACOMO PIROZZI
お母さんの腕の中で眠る生まれたばかりの赤ちゃん(ガーナ)

「2015年までに子どものHIV感染を根絶し母親が共に生きるための世界計画(仮訳、英語:A progress report on the Global Plan towards the elimination of new HIV infections among children by 2015 and keeping their mothers alive)」による最新レポートが発表され、本世界計画で優先的な取り組み対象となっているアフリカの国々で、子どもへの新たなHIVウイルス感染が減少していることが明らかになりました。

■子どものHIV感染は13万人減少

レポートでは、サハラ砂漠より南にあるボツワナ、エチオピア、ガーナ、マラウイ、ナミビア、南アフリカ、ザンビアの7カ国では、2009年以降、子どもたちの新たなHIVウイルス感染は50%削減され、タンザニアとジンバブエでも、一定の成果が出ているとしています。また、優先的な取り組み対象となっているアフリカの21の国々で、HIVに新たに感染する子どもたちの数は、13万人減少し、2009年以降、38%減ったことが強調されました。

国連合同エイズ計画(UNAIDS)のミシェル・シディベ事務局長は「多くの国々での進展は、すべての子どもがHIVに感染せずに生まれてこられるよう集中的に取り組んできた確固たる証です。しかし、依然として、予防可能にもかかわらず、HIVに感染して生まれてくる子どもが多くいる国もあります。新たなHIV感染を防ぐ取り組みの拡大を阻む要因を突き止め、取り除かなければなりません」と述べました。

ガーナでは子どもの新たなHIV感染は2009年から69%減少し、南アフリカでも2009年と比べ、2012年に感染した子どもは2万4千人も減り、63%削減しました。しかし、アンゴラでは、新たに感染する子どもが増加。ナイジェリアは、新たに感染する子どもが世界で最も多く、2012年にHIVに感染した子どもは約6万人、2009年以降の進展は見られません。ナイジェリアで緊急対策が採られなければ、2015年までとの目標は、達成が困難とみられています。

■授乳期の母子への治療が必要

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© UNICEF/SRLA2010-0434/OLIVIER ASSELIN
妊婦さんにHIV検査を行う保健師(シエラレオネ)

HIVに感染しており、母子感染予防と自身のために、抗ウイルス薬の治療薬を服用している妊婦は、2009年よりも増えており、多くの国々で75%以上となっています。これに伴い、多くの国でHIV母子感染が減少しており、ボツワナと南アフリカでは、母子感染率は5%以下となりました。

米世界エイズコーディネータのエリック・グスビー大使は「世界計画の目標達成に必要なツールはあります。最新のデータで、我々が想定していたよりも目標達成の実現可能性が高いことがわかりました。今月、ジョン・ケリー米アメリカ国務長官が発表したとおり、200万人の新生児が、PEPFAR(正式名称:The U.S. President's Emergency Plan for AIDS Relief、仮訳:米大統領エイズ支援緊急計画)の支援により、HIVに感染せず誕生しました。 すべての赤ちゃんがHIVに感染しないで誕生できるように、我々はこの取り組みを続けなければなりません。実現可能なのです。」と述べました。

しかし、レポートでは、HIVウイルス陽性で母乳のみの育児をしている母親の半数かその子どもたちは、HIV母子感染予防に必要な抗レトロウイルス薬を服用していないことがわかりました。乳児の発育に母乳は極めて重要ですが、授乳期に抗レトロウイルス薬による治療を提供する必要が緊急にあることが強調されています。

■子どもへの感染予防のため、早期の診断と治療を

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© UNICEF/NYHQ2011-0262/CHRISTINE NESBITT
HIV陽性の両親から生まれたラクソン君(1歳9ヶ月)治療の甲斐あって、ラクソン君はHIV/エイズウィルスには感染せずに生まれてきた(ザンビア)

南アフリカとスワジランドでは、治療を必要とする子どもたちの半数以上が、治療を受けています。チャド、エチオピア、ガーナ、ケニア、マラウイ、ナイジェリア、南アフリカ、タンザニア、ジンバブエでは、治療を受けられるようになった子どもは、2009年と比べ、2012年には倍になりました。レポートでは、HIVに感染する子どもが減少するのに伴い、HIVの治療を受ける子どもの数は減っていくと想定されると述べる一方で、子どもたちが早い段階でHIV感染を確認する診断を受け、感染していた場合には、ただちに抗レトロウイルス薬による服薬を始められるように、早急に改善策をとる必要があると指摘しています。

HIVに感染しており、母子感染予防と自身のために、抗ウイルス薬の治療薬を服用している妊婦は、2009年より増加しており、ボツワナ、ガーナ、マラウイ、ナミビア、南アフリカ、スワジランド、ザンビアでは75%以上、ケニア、レソト、タンザニア、ジンバブエでは50%以上となっています。こうした女性たちが適切な治療を受けられることは重要です。

■世界計画の目的とレポート原文

「2015年までに子どものHIV感染を根絶し母親が共に生きるための世界計画」イニシアティブは、2011年6月の2011年の国連HIV/エイズハイレベル会合で発表され、国連合同エイズ計画、PEPFARが中心となって進められています。イニシアティブでは、2015年に向けて①新たにHIVに感染する子どもの数を90%削減すること、②エイズに関連する母親の死を50%削減することを、主な目標に掲げ、世界で子どもたちのHIVの新規感染の90%以上を占める22カ国に焦点をあてています。

今回2回目の発行となるレポートでは、サハラ以南のアフリカ21カ国での取り組みの成果と今後の課題を取り上げています。レポート原文(英語・表紙などを含め24ページ)は右記よりご覧いただけます。

※アンゴラ、ボツワナ、ブルンジ、カメルーン、チャド、コートジボワール、コンゴ民主共和国、エチオピア、ガーナ、インド、ケニア、レソト、マラウイ、モザンビーク、ナミビア、ナイジェリア、南アフリカ、ウガンダ、タンザニア、スワジランド、ザンビア、ジンバブエ※本信は6月25日にユニセフ、PEPFAR,国連合同エイズ計画が発表したプレスリリースを基にしたものです

※原文(英語)は http://www.unicef.org/media/media_69727.html でご覧いただけます

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