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「ゴミ箱」という名の町〜
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アフリカ最大の人口を擁するナイジェリアの商都ラゴス。ユニセフの現地スタッフが国内の多様な民族のみならず、国境を接する隣国の人々も集まる”西アフリカのニューヨーク”と称するこの巨大都市の人口は、現在1600万人。新たに移り住む人の数は一日平均約1万人にも達し、2015年までの僅か3年で、2500万人に膨れ上がると言われています。実際、2010年には既に2000万人を超えたとする説もあり、ユニセフ現地事務所は、2011年冬に実施されたポリオ予防接種キャンペーンで実際にワクチンが投与された5歳未満の子どもの数は、この推計値をほぼ裏付ける値(430万人)だったと報告しています。
現地時間4月9日(火)に到着したアグネス・チャン大使と同行報道陣一行は、取材の諸手続きや国連の安全管理担当官、ユニセフ現地事務所所長のブリーフィングを受けた後、翌10日(水)午後、急速に膨張し続けているこの巨大都市の中で、最も支援が届きにくい地域や社会状況に置かれている子どもたちに対する様々な支援活動の現場の訪問・取材活動をスタートしました。
ラゴス市内に100箇所ほどある市民の7割が住むスラム。11日、アグネスさんは、『ダストビン・エステート』(ゴミ箱居住区)という名のスラムを訪問。踏み固められたゴミでできた”地面”の上に、粗末なつくりの家や共用トイレ、学校が立ち並ぶその光景は、アグネスさんもかつて訪れたことのあるフィリピンの『スモーキーマウンテン』を彷彿とさせました。「ゴミ箱居住区」は、まさに”ゴミ捨て場”の上に造られた”町”だったのです。
この町に住む子どもたちをサポートしているユニセフのパートナー団体の一つが、「LOTS」(ロッツ)。『ゴミ箱居住区』の一角に建つ事務所を兼ねたリソースセンターには、読み書きを中心とした補習授業を受けに学校を終えた子どもたちが集まってきました。
「私自身、ちゃんと学校に通っていたのに、10歳になるまでちゃんとした読み書きはできませんでした。一般的に授業内容が良いと言われている私立学校に通っていたのにですよ」と語るのは、このマスコミ関係を専攻していた大学生の時にこの活動を始めたトルローペ・サンゴサンヤさんです。彼女は、「だから、こうして、年齢ではなく子どもたち一人一人の発達レベルに合わせる必要があるんです」と訴えます。
サンゴサンヤさんのNGOは、教育のほかに、保健サービスや子どもたちの”遊び”の機会や場所なども提供しています。「様々な方々のご支援で、かつてゴミ捨て場だったこの一角にリソースセンターを建てることができました。一人1000ナイラ(約640円)でもいい。でも、何千人もの人が出してくれれば、ここ(ゴミの町)をちゃんとした町に出来るはず」 サンゴサンヤさんはアグネスさんに熱く語りました。
林立する高層ビルや高級ホテルの間を縫うように走る高速道路。高級新型車がズラリと並ぶ欧米や日本、韓国の自動車ディーラー。日本や欧米と品揃えも価格も変わらない大型ショッピングモール。『ゴミ箱』に代表される”現実”とこうした世界が隣り合わせに存在するラゴスの厳しい格差を解消するために、ユニセフとして何が必要と考えるか、とのアグネスさんの問いに、ラゴスのユニセフ現地事務所サラ・ベイソロ・ニャンティ所長は、次のように答えました。
「教育の機会を広げることが鍵ではないでしょうか?教育は、私たちの人生の様々な機会も広げてくれます。そうした機会が広がれば、この国の資源も、より公平に再分配されるようになると信じています」
写真クレジット全て:© 日本ユニセフ協会
[番組情報]
アグネス大使が、ナイジェリアから国際電話で、現地の子どもたちの様子を報告
2013年4月14日(日)午後6時40分頃〜
NHK『ちきゅうラジオ』(NHKラジオ第1)
[報告会開催のお知らせ]
この視察の様子は、4月22日(月)ユニセフハウスで行われる「アグネス・チャン日本ユニセフ協会大使 ナイジェリア視察報告会」で報告いたします。参加お申込みはこちらから »
アグネス大使のこれまでの視察については、アグネス大使の海外視察アルバムをご覧ください。