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ユニセフ協会からのお知らせ

ユニセフ・シアター 映画『スタンリーのお弁当箱』
試写会 ・ トークショーを開催しました

【2013年6月27日 東京発】

日本ユニセフ協会は、第42回ジフォーニ映画祭アクションエイド賞・第59回ナショナルフィルムアワード最優秀子役賞受賞作品『スタンリーのお弁当箱』一般公開に先立ち、試写会を開催しました。本作はインドの児童労働、貧富の格差や法整備の遅れなど、子どもたちの健全な未来に影を落とす存在を描きながらも、子どもらしさや、子どもが持つ前向きな力、可能性を感じさせてくれる作品です。

「子どもの権利を守ってこそ、子どもの未来が開かれる」

© FOX STAR STUDIOS INDIA PRIVATE LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED

試写会に先立ち、アモール・グプテ監督をゲストにお迎えし、トークショーを行いました。聞き手として日本ユニセフ協会広報室室長の中井裕真が登壇。監督は「インドは近年、メディア業界も急速な発展をとげているが、法の整備が遅れている。リアリティショーなどで子どもが出演する中、子どもの夜間出演を規制する法律がない。こういった状況では、“児童労働”が発生していることになってしまう。この映画は“theater cinema workshop”という、休日にのみ、学業に支障のない範囲で、ワークショップ形式で行った」と、この映画の取り組みの意義を語りました。

6月12日は児童労働世界反対デーと制定されています。児童労働の中でも、今年は“家事労働”が論点にあがりました。国際労働機関(ILO)によれば、家事労働に従事させられている、5歳から14歳までの労働人口は740万人に上ります。他人の家で従事する家事労働は、外からわかりづらく、暴力や人身取引などの温床にもなりかねません。中井室長は「絶対に、いかなる労働もしてはならない、という意味ではない。たとえば映画業界で経験するのも、子どものポテンシャルを引き出す大切な機会のひとつ」だと語り、「子どもたちの権利が侵害されないよう、大人たちが注視していくべき」と続けました。

「子どもの可能性を守ることは、子どもの目線まで自分を“高める”ということ」

© 日本ユニセフ協会
登壇くださったアモール・グプテ監督(左)

監督は「全ての子どもが、ユニークな、独特の力や可能性を持っている。子ども固有の力は絶大だし、大人たちが彼らの力を信じてあげれば信じるほどに、彼らの可能性は大きくなる」と、力強く語りました。また、「子どもたちの可能性を大人が決め付けたり、選んだりすることはできない。私たちは子どもに信頼をよせて、子どもと同じ目線で接する、つまり子どもの目線まで自分をもっていく=『子どもの視点まで大人の目線をあげる』ことで、初めて彼らの世界を理解し、学ぶことができる」と続けました。子どもの目線にあわせる、という概念は私たちも常に心がけていますが、『子どもの視点まで大人の目線をあげる』という表現には登壇した中井室長をはじめ、ご来協くださった多くの方から驚きの声があがりました。

「世界中の人がよりよい、住みやすい社会になりますように」

© 日本ユニセフ協会
トークショーの最後には、主演のパルソーくん(右)も登壇しました。

トークショーの最後には、監督の息子さんで『スタンリーのお弁当箱』では主役を務めたパルソーくんが登壇。「インドには2つの顔があると思います。1つは、きらびやかで美しく、何もかもが素晴らしい、完璧なインド。そしてもうひとつは、多くをもたない人たちがたくさんいるインドです。家族を1つの家だと考えると、子どもたちも家を支える屋台骨のひとつ。1つ柱がなくなると、とたんに家は崩壊してしまう。子どもたちにも重圧はのしかかり、働くのをやめれば家族が路頭に迷うことになる。残念ながら、インドでは児童労働は珍しいことではありません。規制する法律もあるし、政府も自助努力を続けている。ただ、この問題には、社会全体で取り組む必要があると思います。インドだけに限らず、世界中がみんなにとって住みやすい、よりよい社会になってほしい。そう願って、僕たちは映画というメディアを使ってメッセージを伝えにきました。」と挨拶くださいました。

© 日本ユニセフ協会
当日は、多くの方にご来場いただきました

ユニセフ・シアターに参加くださった皆様からは「今回この映画を診て、笑いもありつつ児童労働問題や貧困について考えさせられた。たったひとつのお弁当箱が、一人の子をこんなにも変えるのだな、と思うと私たちがこうして生活していることも当たり前ではないのだと、と改めて思った。」「常に子どもの目線に立って接していますが、子どもの目線に『あげる』という表現の意味がわかった気がします。大変心に残る映画でしたし、この目線をあげるという言葉をこれからも忘れずにいたい」「教育も先生の指導によって子どもの個性を生かすことも、閉ざしてしまうこともある、ということが見てとれました。児童労働を、ひとつの子どもたちのポテンシャル発揮の場である、と仰っていた監督のお話が印象的でした。」といった声をいただきました。

今回の試写会が皆様にとって新しい世界の扉を開くきっかけになれば幸いです。多くの皆様のご参加、ありがとうございました。

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今後も日本ユニセフ協会ではイベントを開催予定です。詳細は随時ホームページ・Facebook等でお知らせいたします。

◇ 映画『スタンリーのお弁当箱』は6月29日(土)よりシネスイッチ銀座、他にて公開。
公式ホームページはこちら

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