|
|
HOME > 協会からのお知らせ2013年 |
ユニセフシンポジウム2013 熊本で開催
|
© 日本ユニセフ協会 |
熊本市立藤園中学校を訪れたレーク事務局長、アグネス大使、アフリカからの留学生ら。 |
横浜で開催された「第5回アフリカ開発会議」(TICAD V)出席のため来日していたアンソニー・レーク事務局長は、TICAD最終日の6月3日に熊本県入り。翌4日に、アグネス大使とともに、熊本市立藤園中学校を訪問。日本ユニセフ協会と熊本県ユニセフ協会が熊本県立劇場で開催した「ユニセフシンポジウム2013」にも参加し、ユニセフが最も重視する大陸であるアフリカの子どもたちへの“投資”を訴えるとともに、日本の若者に期待のメッセージを伝えました。
熊本県は、県ユニセフ協会が、第1回目のTICADが開催された1993年から20年間にわたり、毎年、日本の子どもたちとアフリカの留学生らが交流し、共に地球市民として未来を考え発信するイベント、『「アフリカの子どもの日」 in Kumamoto』を開催している場所。当初、1日限りの小規模イベントとして始まった「アフリカの子どもの日」ですが、20回目の昨年は3日間で1300人を超える方々が参加するという規模に成長。アグネス大使とレーク事務局長が訪問した市立藤園中学校も、このイベントの開催に協力してくださっている数ある地元の学校の一つです。
こうした熊本の“熱気”を反映するように、今回のシンポジウムの会場となった1800人を収容する県立劇場の客席も、熊本市内の学校に通う高校生約1400名や大学生、アフリカ12カ国からの留学生、そしてユニセフ・マンスリーサポーターの皆さまはじめ日頃から地元でユニセフ活動をご支援くださっている方々で、開場直後に埋まってしまいました。
TICADは20年前の第一回から、貧困の撲滅のための国際社会の支援の在り方などの議論の場となってきました。5回目の開催となった今回のTICADでは、近年の目覚しい経済成長などを背景に、参加するアフリカ諸国からは、既に支援よりも投資を求める声が上がり、日本国内でも、“最後に残された巨大市場”としてのアフリカへの関心が高まりました。死亡率や就学率などの様々な社会指標の“平均値”の向上にも資してきたアフリカの経済成長。しかし、その恩恵に浴することができない人々、特に子どもたちの問題が大きく、複雑な形で残されたままです。
「アフリカは高い経済成長で世界の注目を集めています。その陰には、日本政府の一貫した支援と、日本の人々の普遍的な寛大さがいつもあります。日本の支援のおかげで数え切れないほどのアフリカの子どもたちの命を守り、生活を改善してきました。しかし遠隔地や内戦が起こっている地域では格差が広がり、守られるはずの多くの子どもの命が失われています」と、レーク事務局長は言います。
「近年、携帯電話や太陽光発電技術の活用など、アフリカの子どもたちが抱える問題が革新的な技術の開発により解決されている事例が出てきています。世界から技術的な協力を求めています。皆さんのような日本の若い世代が、ぜひ先頭に立ち、アフリカの子どもたちの命や健康を守り、良質な教育を提供する方法を考えていってほしい」レーク事務局長は、基調講演を通じ、ともすれば“投資”先や“市場”としてのアフリカを巡る議論に埋没してしまいかねない子どもたちの問題と支援の必要性を、特に会場に集まった若者たちに期待を込めて訴えました。
レーク事務局長の基調講演に先立ち、アグネス・チャン日本ユニセフ協会大使は、今年4月に訪問したナイジェリアの商都ラゴスに広がる格差の問題と、ユニセフなどの取り組みを報告。豊富な石油資源を背景とする目覚しい経済成長の影で深刻化する格差問題に直面する子どもたちの様子とともに、そうした現状を変えようとするユニセフの新たな取り組みを紹介しました。
「通信や郵便、交通事情が悪いナイジェリアでなかなか普及しなかった制度があります。それは出生登録です。でもユニセフが開発した携帯電話のショートメール・サービス“SMS”を使ったシステムが導入され、状況は一変しました。役所から遠い場所でも、これを使うと簡単に出生登録ができ、お金も、時間もかかりません。このおかげで、出生登録の件数が大幅に増え、今では出産全体の70%ほどが登録されているのではないかと言われています」「出生登録がされないと様々なサービスを受けられず、学校にも行けなくなる可能性があります。SMSを通して全国から集められたデータは、コンピュータを通して、州ごとの出生者の数が瞬時に分かるようになっています」 日本では当たり前の話に、高校生らが真剣に耳を傾けていました。
アグネス大使の報告とレーク事務局長の基調講演に続き繰り広げられたパネルディスカッションでは、タンザニア出身で東京大学大学院に留学中のサングワァさん、高校時代に『「アフリカの子どもの日」 in Kumamoto』実行委員会として活躍して以来、それまで抱いていたアフリカに対するイメージが急変したという、アフリカについて学ぶ地元出身の九州大学学生の内尾晶子さん、ルワンダ出身で「ルワンダの教育を考える会」理事長のカンベンガ・マリールイズさん、熊本日日新聞社編集委員の井芹道一さんがパネリストとして参加。熊本大学長・熊本県ユニセフ協会会長谷口功氏のコーディネートの下、「『アフリカの子どもの日』 in Kumamoto』〜20年の歩みから見えてきたもの」をテーマに、日本とアフリカの“これまでの20年”と“これからの20年”を議論しました。
動画再生 »
開会挨拶・幸山政史熊本市長挨拶・アグネス大使ナイジェリア視察報告 |
動画再生 »
アンソニー・レーク事務局長基調講演「みんなでつくる子どもの未来〜ミレニアム開発目標とユニセフの取り組み〜」 |
動画再生 »
パネルディスカッション「『アフリカの子どもの日』in Kumamoto 20年の歩みから見えてきたもの」 |
※シンポジウム中のインターネット中継の実施にあたっては、NTT西日本ならびにGoogleのご協力をいただきました。