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8月1日〜7日は「世界母乳育児週間」
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© UNICEF/NYHQ2011-1136/Holt |
病院で赤ちゃんをあやす母親。(ルーマニア)。 |
8月1日〜7日の「世界母乳育児週間(World Breastfeeding Week)にあたり、ユニセフ事務局長のアンソニー・レークによる発信です。
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母乳を与えることで、すべての子どもたちが人生を最良の方法でスタートできます。母乳育児は、子どもたちの健康を支え、家族の絆を強くし、そして安定的な成長を助ける、最も簡単かつスマートで、費用対効果が高いものです。
8月1日から7日までの世界母乳週間では、子どもたちの人生における母乳の重要な役割と、母乳育児の価値を世界、国、地域のレベルで促進する重要性を強く訴えます。今年の世界母乳育児週間のテーマは「母乳育児:命の勝利のゴール」。母乳育児と国連ミレニアム開発目標(MDG)の達成における重要な関係性を強調します。
特にMDG4に掲げられる乳幼児死亡率の削減を達成する上で、母乳育児とMDGの関係性は明確です。1990年以降、予防できる原因で死亡する5歳未満の子どもは47%も削減されましたが、今なお、700万人近い5歳未満の子どもが毎年死亡しており、その40%以上を新生児が占めています。
生後1時間以内に母乳を与えられると、幼くして死亡する子どもの命5人にひとりを守ることができます。1年間で50万人以上、1日で数えれば、1,500人以上の命を救えるのです。母乳育児は、子どもの発育を支えるだけではありません。子どもたちのその後の人生全体にもよい影響を与えます。適切な栄養の基礎となり、乳幼児期における栄養不良のリスクを削減し、のちの人生で肥満になるリスクも軽減します。母乳育児は、子どもの栄養を助け、母子の関係を強化し、さらに脳の適切な発育も促します。また、発育阻害(慢性栄養不良)も予防します。発育阻害に陥る子どもは世界で数百万人、世界的な悲劇と言えます。発育阻害は、子どもの身体ならびに認知の発達だけでなく、子どもたちの暮らす地域社会の未来をも蝕むものです。
© UNICEF/NYHQ2011-1258/Lemma |
赤ちゃんに母乳をあげる母親と見守る父親。(エチオピア)。 |
母乳育児に関わるこうした事実を踏まえると、世界の新生児の半数以下しか母乳育児が行われていないことは信じがたく、残念なことです。生後6カ月間を完全母乳育児で育てられる子どもの割合は、さらに少なくなります。こうした傾向を変えるには、社会的慣習を変える必要があり、地域社会や家庭と共に、より多くの母親たちに母乳育児を進める取り組みを行う必要があります。そして、母乳育児を促進するために、栄養や妊産婦、新生児と子どもの保健、幼児期の成長、成長のための広報活動といった分野を越えて、分野を組み合わせたアプローチを生み出し、効率的に支援する必要があります。
母乳育児への支援に対する世界的な動きは、予防可能な子どもの死亡を削減する「あの約束を再び(A Promise Renewed)」や、発育阻害を削減する「スケーリング・アップ・ニュートリション・ムーブメント(Scaling Up Nutrition Movement: SUN)」といった主要な国際的な啓発活動を通じて広がっています。また、最近の動きとして、世界新生児行動計画(Global Newborn Action Plan)では母乳育児相談と地域での妊産婦と新生児ケアプログラムが含まれています。
サッカー・ワールドカップでは、スポーツの精神のもと、何百万人もの人がひとつになりました。ワールドカップに続く、今年の世界母乳育児週間では、子どもたちのための進展と成果の精神に立ち返り、世界で母乳育児が広まるよう、共に取り組みましょう。母乳育児が広まれば、世界中の子どもたちが人生で最良のスタートを切れる助けとなります。
■参考情報:母乳育児に関する統計
(出典:ユニセフ『世界子供白書2014 統計編』)
© UNICEF/NYHQ2012-0260/Asselin |
保健員から母乳育児の方法を教わる母親。(ブルキナファソ)。 |
●母乳育児の早期開始(%):生後1時間以内に母乳を与えられる新生児の割合
世界43%、後発開発途上国53%、東部・南部アフリカ60%、西部・中部アフリカ35%、南アジア41%、東アジアと太平洋諸国41%、ラテンアメリカとカリブ海諸国49%
最も高い国:マラウイ95%、最も低い国:セルビア8% ※データなしの国も多数あり
●完全母乳育児(生後6カ月未満):
調査前24時間以内に、母乳のみを与えられた生後0〜5カ月の子どもの割合
世界38%、後発開発途上国48%、東部・南部アフリカ52%、西部・中部アフリカ25%、南アジア49%、東アジアと太平洋諸国30%、ラテンアメリカとカリブ海諸国39%
最も高い国:ルワンダ85%、最も低い国:スリナム3% ※データなしの国も多数あり
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