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公益財団法人日本ユニセフ協会

南スーダン
ユニセフ・WFP遠隔地支援
25回の合同支援で50万人以上に支援

【2014年9月30日 ジュバ(南スーダン)発】

上ナイル州のKiech Kuonに届けられた、すぐに口にできる栄養補助食をヘリコプターから運び出すスタッフ。(南スーダン)
© UNICEF/NYHQ2014-1288/Pflanz
上ナイル州のKiech Kuonに届けられた、すぐに口にできる栄養補助食をヘリコプターから運び出すスタッフ。

ユニセフとWFP国連世界食料計画(以下、WFPと記載)は、南スーダン国内の紛争下にある遠隔地へ、25回目となる合同緊急支援を終えました。

遠隔地への合同緊急支援

ユニセフ・WFP合同チームは飛行機やヘリコプターを使って支援を届け、これまでに5歳未満の子ども10万人を含む50万人以上に支援を行ってきました。25回目となる今回の支援は、東部のジョングレイ州のパサイ(Pathai)で、支援の登録をしていた子どもとおとな、約3万人に実施されました。

合同支援は物資の空中投下と空輸を組み合わせて行っています。WFPは食糧と栄養補助食品の支援を行い、ユニセフは栄養、子どもへのポリオとはしかの予防接種を含む基本的な保健、水と衛生用品や学用品の提供などの支援を担っています。両機関は栄養調査と治療も実施し、栄養に関する情報なども提供しています。また、家族とはぐれた子どもたちや親を伴わない子どもを登録し、家族と再会できるように支援を行っています。
※補足:南スーダン国内は道路網が十分に発達していません。雨季を迎えている現在、地面はぬかるみ泥沼のようになっている場所が多く、治安の問題から通行できない道路もあります。このため、空路での支援を行っています。

ユニセフ・南スーダン事務所代表のジョナサン・ヴェイチは「遠隔地への合同支援によって、命からがら自宅を離れ、避難している方たちを支援できます。こうした方たちは、すべてを失うか残したまま家を離れており、ようやく支援が受けられたことに対する住民の安堵は明らかです」と述べました。

上ナイル州のKiech Kuonで、赤ちゃんを寝かせたバスケットを頭に乗せ、 即応チームによる食糧の空中投下を見守る女性。(南スーダン)
© UNICEF Africa/2014/Pflanz
上ナイル州のKiech Kuonで、赤ちゃんを寝かせたバスケットを頭に乗せ、 即応チームによる食糧の空中投下を見守る女性。

WFP南スーダン事務所のジョイス・ルマ代表は「南スーダンのWFPスタッフは厳しく時に危険な状況下で、重大な決意をもって、南スーダンの人々のために食糧と栄養支援を行っています」と述べました。

住民の命綱

複数機関合同による即応チームは、食糧、保健、栄養、子どもの保護、水と衛生、教育の専門家によって構成されています。物流と通信の専門家の支援を受け、即応チームは最も激しい戦闘が起きている東部のジョングレイ州、北部の上ナイル州、ユニティー州で、極めて厳しい状況におかれているコミュニティに、まさに命綱となる支援を提供しています。チームのメンバーは自身の滞在に必要な食料や水、テントを携えて支援先に8日〜11日間滞在します。支援先の住民のニーズ調査に基づき、必要な支援を無線で連絡し、空路で支援物資を取り寄せます。1回の現地訪問支援で、最大5万人までの支援が可能です。

天候が悪ければフライトに影響が出て滑走路は水浸しになるため、遅れが生じます。また、治安が常に障害となっています。しかし、即応チームによる現地支援が実現し、人道支援を行うことができれば、その後はパートナー団体のNGOが支援を担い、継続して支援を提供できるようになります。

即応チームでの支援

即応チームが派遣された上ナイル州のKiech Konで、予防接種を受ける子ども。(南スーダン)
© UNICEF/NYHQ2014-1351/Pflanz
即応チームが派遣された上ナイル州のKiech Konで、予防接種を受ける子ども。

南スーダンでは紛争によって180万人以上が自宅を離れており、140万人が国内で避難生活を送っています。多くの人は到達が難しい遠隔地に避難しており、その半数は子どもたちです。

ユニセフとWFP、パートナー団体がこれまでに行った支援は以下の通りです。

  • 50万人以上への食糧支援
  • 5歳未満の子ども6万4,000人に栄養不良の検査を実施
  • 重度急性栄養不良の子ども2,600人以上への治療
  • 子ども10万人にはしか、子ども8万3,000人にポリオの予防接種を実施
  • 6万2,000人以上に安全な水を提供し、2万3,000人に衛生用品を提供
  • 家族とはぐれている子どもたち6,000人以上のうち、3分の1は即応ミッションによって発見。こうした子どもたちを支援し、家族のもとへ帰れるようにするための手続きを実施。

25回の合同ミッションに加え、WFPは空輸や空中投下、ボートや荷船を使って、遠隔地へ即応食糧支援を20回近く実施。3月以降、WFPは空路での食糧調達を2,000回以上実施しています。

乾季の訪れが近づき、戦闘の増加が懸念され、紛争地域にいる住民には新たなリスクが生じることが予想されています。ユニセフとWFPは、さらなる支援を予定しています。支援を必要としているコミュニティへ支援を届け、すでに支援を行った地域にも継続して支援が行えるよう、準備を進めています。

参考情報

  • 2012年(紛争前)の南スーダンでの子どもの死亡者数:3万9,515人、このうち45%に栄養不良が関係
  • 紛争の影響
    自宅を離れ、避難生活を送る人140万人(総人口:1,083万8,000人)
    避難生活を送る子ども74万8,647人
    紛争によって、多くの家庭が生計手段を失い、また、作付け期に農業が行えず
  • 5歳未満の子どもへの影響:重度急性栄養不良になる子ども
    紛争前の2014年の見込み10万8,000人
    紛争後23万5,000人
    うち、5万人が治療を受けなければ死亡の恐れ
    ※重度・中度の栄養不良にある子ども 84万人

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