メニューをスキップ
公益財団法人日本ユニセフ協会

イエメン:
戦闘の影響を受ける学校や子どもたち
不発弾や危険から身を守るための訓練を実施

【2015年1月28日 サナア(イエメン)発】

本年1月29日、ユニセフは『子どもたちのための人道支援報告書−2015年』を発表。最も困難な状況下で暮らす女性や子どもたちの状況を明らかにしました。子どもたちの命が守られ、健康に育つことができるよう、ユニセフは2015年、イエメンを含む71の国で暮らす子ども6,000万人以上への支援を行うため、国際社会に31億米ドル(約3,642億円※)の資金を要請しています。※1米ドル=117.5円で換算

イエメンでは、紛争が子どもたちにもたらす影響に懸念が高まっています。13歳の少女の姿から、子どもたちを紛争から守るための支援の重要性や課題が見えてきます。

* * *

ユニセフが配布した、心のケアと地雷の危険性に関するチラシを友達に見せるリハムちゃん(13歳)。
© UNICEF Yemen/2015/Al-Asaadi
ユニセフが配布した、心のケアと地雷の危険性に関するチラシを友達に見せるリハムちゃん(13歳)。

13歳のリハムちゃんは、幸せと希望でいっぱいの朝を迎えました。町で激しい戦闘が勃発した数日前とは、まるで別人のようです。政府軍と武装グループとの激しい戦いに学校が巻き込まれ、リハムちゃんは戦闘の様子をすぐ近くで目にしていました。

被害を受ける学校や生徒たち

「機関銃の音が聞こえていましたが、大きな爆発で学校全体が揺れるまで、怖いとは思いませんでした。試験を受けるため、教室の机に座っている時でした。泣いている友達もいました。だれも、試験を終えることはできませんでした」

「もし私が偉い人だったら、私の国を壊そうとしたり、子どもたちを恐怖に陥れようとする人たちを全員追い出します」と、リハムちゃんは、戦闘による被害状況や影響を迅速評価するために訪れたユニセフのスタッフに話しました。

武力衝突の発生直後、首都サナアでは何百人もの生徒が教室から避難しなくてはなりませんでした。リハムちゃんの通う学校の屋根には流れ弾が着弾しましたが、幸い、怪我を負った生徒は一人もいませんでした。

銃声が聞こえるとすぐに、リハムちゃんは友達とともに慎重に行動しました。室内に留まり、不審物には決して触らないよう、他の生徒たちにも伝えました。

定期的な訓練を実施

数カ月前に勃発した戦闘後、生徒たちは危険な状況下での行動について訓練を受けていました。この訓練は、子どもや親、地域の住民の間で地雷や不発弾の危険性についての認識を高めるため、ユニセフとパートナー団体によって定期的に実施されています。

また、ユニセフは紛争の影響を受ける子どもたちに心のケアも行っています。

不発弾や爆発性残存物は、突然爆発する危険性があります。それによって、死亡したり重傷を負ったりと、紛争下での生活を強いられる人々にとって、大きな脅威となっています。

また、不発弾などの危険に対する理解が乏しい子どもたちが、その被害者となることが多くなっています。ユニセフはパートナー団体と協力し、テレビやラジオの公共CMを通じて地雷の危険性を伝えています。また、不発弾と疑われるものを発見した場合、イエメン地雷対策センターのホットラインや最寄りの警察に連絡をするように促すチラシも配布しています。

悲しみに包まれ

2014年12月、武力紛争で少なくとも83人の子どもが殺害または重傷を負ったと報道され、イエメン中が悲しみに包まれました。また、2014年9月、首都サナアを巡って武装グループによる暴力が勃発し、多くの学校が武装勢力や武装グループに占領されました。この暴力による直接的または間接的な影響を受けた学校は51校にも上ると報告されており、多くの子どもたちが勉強の中断を余儀なくされました。

ユニセフはすべての紛争関係者に、特に学校や病院、住宅地に対する攻撃を止めるように求めています。また、国際法や国際人権法に従い、いかなる場合であれ、武装勢力への徴用や使用、子どもの権利の侵害から子どもたちを守ることを、すべての紛争関係者に強く訴えています。

安全で安心な環境を

リハムさんたちは試験を受けることができなかっただけでなく、2月の第2週まで学校に戻ることができませんでした。子どもたちは紛争が終わり、銃撃や爆発を恐れることなく友達と出かけ、遊ぶことができる日を待ちわびています。

ユニセフ・イエメン事務所のジュリエン・ハーネイスは、「学校の再開にあたり、子どもたちが安全に勉強を続けられるように支援をしなければなりません。ユニセフはすべての学校から不発弾や爆弾の残骸を撤去し、整備を行うようにイエメン政府に求めています。子どもたちが政治や安全に対する不安を抱くことなく勉強を続けることができるよう、学校は常に安全で安心できる場所でなくてはなりません」と語りました。

トップページへ先頭に戻る