|
|
HOME > ニュースバックナンバー2015年 > |
子ども兵士の徴用・使用廃止を
|
© UNICEF/NYHQ2015-0201/Rich |
武装勢力から解放され、銃を置く子どもたち(南スーダン)。 |
世界中で起きている紛争が、より残忍に激しく広範囲に及んでおり、武装勢力に徴用され紛争に使われる子どもの脆弱性が高まっています。ユニセフ(国際連合児童基金)と国連事務総長特別代表 子どもと武力紛争担当は、「武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約選択議定書」が発効された日にあたる本日、子どもを兵士とすることへの反対の声をあげるよう国際社会に訴えました。
「軍隊には子どもの居場所など存在しないことを世界中の政府が認識し、取り組みを進めている一方で、特に武装グループの兵士として子どもが徴用されていることは未だに大きな問題です。国連安全保障理事会が確認した59の武装勢力のうち、57の武装勢力が子どもを兵士として徴用・使用しています」と、国連事務総長特別代表 子どもと武力紛争担当のレイラ・ゼルーギ氏は述べています。
ユニセフ及び、子どもと武力紛争担当 国連事務総長特別代表室は、このような武装勢力による子どもの徴用・使用は、子どもの権利の侵害であり、直ちに止めるよう要求しました。武装勢力は国際法に従わなければなりません。
ユニセフ事務局次長のヨーカ・ブラントは「武装勢力は、一刻も早く、すべての子どもを解放すべきです。戦争下で捕えられた子どもたちを助け出すのに、平和が訪れるのを待っている猶予はありません。教育や経済支援という方法で、子どもたちを前線から遠ざけることは、子どもの未来だけでなく、社会全体の未来にも極めて重要です」と述べています。
© UNICEF/NYHQ2011-0351/Asselin |
元子ども兵士がトランジット・センターで英語の授業を受ける様子(コンゴ民主共和国)。 |
世界では20カ国以上で何万もの子どもたちが、紛争下で武装勢力に関与させられています。多くは、言葉に絶するほど残忍な行為の犠牲者であり、また目撃者であり、そして加担することを強いられています。
アフガニスタンでは、国の軍隊による子どもの徴用や使用の廃止に向けた取り組みが前進しています。しかし、それにも関わらず、武装勢力による子どもの徴用は今もなお続けられています。その最たるは、自爆テロ犯として子どもを使用したり、武器の製造や爆発物の運搬に子どもを徴用・使用しているケースです。
中央アフリカ共和国では、民族間や宗教間の争いを起こしている武装勢力すべてが、男の子や女の子を徴用・使用しており、なかには8歳の若さの子どもも含まれています。
コンゴ民主共和国では、国内の東部地域で活動する複数の武装勢力による子どもの徴用の新たなケースが、国連により報告されました。戦闘員、あるいは運搬人や調理人として子どもが徴用・使用されており、なかには10歳の子どもも含まれています。伝えられるところによれば、女の子は何らかの形の性的暴力の被害を受けているとみられています。
イラクやシリアでは、複数の武装勢力の勢力拡大により、子どもたちが徴用されるリスクが、さらに高まっています。12歳以上の子どもたちが、軍事訓練を受け、情報提供者(密告者)にさせられたり、見回りやチェックポイント、重要な地域を守るための要員として使用されています。自爆テロ犯や処刑執行者に子どもが徴用・使用させられているケースもみられます。
ユニセフとパートナー団体は、武装勢力から解放された元子どもの兵士を支援しています。子どもたちが家族のもとに戻り社会に受け入れられるよう、保健や心のケア、必要な物資の提供のほか、教育や研修プログラムを支援しています。
先日、南スーダンにおいて子ども兵士約3,000人の解放が始まりました。500人以上の子どもたちがこの2週間で解放され、市民生活に戻るための支援を受けています。来月以降、さらに多くの子どもたちの解放が予定されています。
* * *
■参考情報
国連事務総長特別代表 子どもと武力紛争担当は、武力紛争の影響を受ける子どもたちの権利を促進・擁護し、彼ら/彼女らの声を国連の最高機関に届ける主導的提唱者の役割を担っています。1999年以来、国連安全保障理事会による組織的な関与により、同特別代表や国連の制度が紛争当事者らに対し、子どもへの重大な権利侵害を行うことを非難する強力な枠組みが築かれています。
【関連ページ】