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公益財団法人日本ユニセフ協会

南スーダン:
子どもの連れ去り多発、戦闘の最前線へ送られる恐れ
ユニセフ、即座の解放を求める

【2015年2月28日 ジュバ(南スーダン)/ナイロビ(ケニア)発】

元子ども兵士 の少年(13歳)。
©  UNICEF/NYHQ2015-0102/Porter
元子ども兵士 の少年(13歳)。

2週間前の2月15日と16日、南スーダン北部の村から武装グループによって子ども数十人が連れ去られました。居場所の特定と解放への懸命な努力にもかかわらず、連れ去られた子どもたちは今なお、子ども兵士として強制的に徴用され続けています。

1週間前の2月21日、ユニセフは、試験中の89人の子どもたちが新たに拉致され、子ども兵士として強制的に徴用されたとして声明を発表しましたが、こうした子どもたちの数は、今や数百人に達していると考えられます。また、2月15日・16日に起きた襲撃では、子どもだけでなく、おとなの男性も強制的に兵士として徴用されました。

ユニセフと国連の監視・報告機関に持ち込まれた情報から、ユニセフは、子どもたちを連れ去った武装グループはジョンソン・オロニ(Johnson Oloni)が支配するシルク族(Shilluk)民兵だったと考えています。このシルク民兵は、政府のSPLA軍と提携関係にあります。

ユニセフとMRMパートナーは、連れ去りが起きたジュバと上ナイル州で懸命な情報収集にあたっており、襲撃の前後の出来事に関する情報をつなぎ合わせ、子どもたちの居場所を特定する努力を続けています。子どもの権利の重大な違反に関する、正式な国連調査報告書も用意されています。情報や証拠の収集を妨げている問題の一つは、ワウ・シルク(Wau Shilluk)に今も留まっている民兵の存在です。そのため、現地での直接的な情報を入手することが不可能となっています。

しかし、これまでに入手した報告によれば、子どもたちが単一グループとして一緒に行動していないことが明らかになってきています。学齢期の子どもを含む一部の子どもたちは、自分の村に帰り、両親と一緒に食事をすることを許されたり、学校に行くことを許された子どももいるということです。けれども、夜になると子どもたちはまた連れて行かれました。

メルート(Melut)でのSPLAとの話し合いの結果、子どもたちに対する強制的な徴用、及び、連れ去られた子どもたちの多くがメルートに送られていた事実が確認されました。また、多くの子どもたちがワウ・シルク近郊とメルートにある訓練キャンプで目撃されています。なかには12歳ほどの幼い子どもたちも含まれており、制服は着用していないものの、銃を持っていたということです。SPLAは、ジョンソン・オロニ(Johnson Oloni)は、SPLAの支配下にはないと述べています。

ユニセフ南スーダン現地事務所のジョナサン・ヴェイチ代表は、この子どもたちはメルートから北にボートで45分ほどの場所にあるカカ(Kaka)での戦闘の為に、派遣される可能性があることが、これらの目撃情報から明らかになった、と述べています。

「私たちは、子どもたちが教室から戦闘の最前線に連れて行かれることを恐れています。これらの子どもたちが学校に戻って家族と一緒に過ごせるように、ユニセフは、即座の行動をジョンソン・オロニに求めています」(ヴェイチ代表)

また、ユニセフは南スーダン政府に対し、子どもたちの解放に向け、どんな形であれその影響力を行使するよう促しています。

■参考情報: 

  • 南スーダンに関する基本統計 
    出典: ユニセフ『世界子供白書2015』2013年統計
    総人口   1,129万6,000人、5歳未満児死亡率出生1000人当たり99人(世界で13番目の高さ)
  • 紛争の影響  
    出典: ユニセフ情勢レポート(2015年1月29日 ジュバ発)
    国内避難民: 150万人(OCHA 2015年1月15日発表)
    国内避難民の18歳未満の子ども: 80万2,122人
    国外に避難した人: 49万1,289人(OCHA  2015年1月8日発表)

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