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公益財団法人日本ユニセフ協会

6月13日は「国際アルビニズム(白皮症)啓発デー」
アルビニズムの人々を狙った暴力
差別や偏見をなくし、理解を高める日

【2015年6月13日東京/タンザニア/コンゴ民主共和国発】

2014年11月18日、国連総会は6月13日を「国際アルビニズム(白皮症)啓発デー」としました。この国際デーは、アルビニズムの人々に対する差別や偏見をなくし、白皮症への理解を高めることを目的に設けられました。

迷信によって、危険に晒される命

世界の多くの地域で、アルビニズム(アルビノ)の人々を狙った暴力が報告されています。

アルビニズムの人々は、先天性白皮症により、体毛や皮膚が白いなどの身体的特徴を持ち、そのことで、誤った信仰や神話の対象にされ続けてきました。例えば、アフリカの一部の国々では、“アルビニズムの人々の内臓や身体の一部には魔術が宿っている”という迷信を信じる人々によって、儀式で用いるためにアルビニズムの人々の身体の一部が奪われたり、殺害される事態も確認されています。

アルビニズムの人々に関する迷信は今なお、世界各地で人々の文化的意識や行動に根強く残っているのです。そのため、アルビニズムの人々はさまざまな形態の差別を受けているだけでなく、安全な暮らしや命を絶え間ない危険に晒され続けています。

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アルビニズムの親子

アルビニズムの赤ちゃん
© Patricia Willocq
毛布の上ですやすやと眠るバスンガちゃんと従兄弟。

アフリカ中部に位置するコンゴ民主共和国。 “白い漆黒(White ebony)”と名付けられたフォトレポートの中にある1枚の写真に、毛布の上ですやすやと眠るバスンガちゃんと従兄弟が写っています。撮影した写真家のパトリシア・ウィルロックさんが、この写真への思いや背景を語っています。

「ある朝、早起きをしてメルベイユさんと息子のバスンガちゃんの家を訪れました。数日前に路上で偶然出会ったメルベイユさんは、まだ小さなバスンガちゃんを誇らしげに見せてくれました。そして、家族写真を撮ってほしいと頼まれたのです。『私たちはこの国で唯一の、アルビニズムの親子なの。他のアルビニズムの女性たちの子どもはみんな、アルビニズムではなく、黒い肌ですから』と、メルベイユさんが話します。

誇らしげに熱意をもって話すメルベイユさんの姿に、私も笑顔になりました。そして1週間後の今日、セロンバオの丘の中腹にある、メルベイユさんの土壁でできた家を訪れたのです。

家の中に入ると、バスンガちゃんのおばあさんが眠っていました。私たちはバスンガちゃんの将来など、いろいろなことを語りながら午後を過ごしました。『バスンガが学校に通う年齢になる頃には、学校に通わせられるだけの十分なお金があればいいのですが。アルビニズムの子どもたちは、とても頭がいいんですよ!視力がよくない分を、記憶でまかなうのですから。学校の成績がとてもいいのです』と、バスンガちゃんのおばあさんが話してくれました。バスンガちゃんに目をやると、従兄弟と一緒に毛布の上ですやすやと眠っていました。私はとっさにカメラを手にし、シャッターを押しました。

純粋や融合、寛容を感じ取ることができるこの写真は、私にとっても大切な一枚となりました」(パトリシア・ウィルロックさん)

この写真が撮影された2013年、国連がアルビニズムの人々を保護するための初めての決議を採択しています。

“誰もが受け入れられる社会”へ

アルビニズムの人々に関する迷信は世界各地で今なお根強く残る一方で、コンゴ民主共和国のように、アルビニズムの人々への理解が広がり、よい変化が起こっている国もあります。テレビやラジオで啓発活動キャンペーンを行い、アルビニズムの人々は魔術ではなく、遺伝子的な要因であるということを広めるために尽力した人々やNGO団体の努力が身を結んでいるのです。

また、差別や偏見の他にも、依然として多くの課題は残されています。アルビニズムの人々の多くは視力が弱く、教育への公平なアクセスが課題となっています。また、がん、特に皮膚がんが、アルビニズムの人々の最大の死因となっています。

ユニセフは誰もが受け入れられる社会(ソーシャル・インクルージョン)を推し進めるために取り組んでいます。民族やジェンダー、障がい、その他さまざまな要因で起こる個人への差別に対処するだけではなく、構造的な差別をなくすための取り組みが、さまざまな省庁や議会、人権団体、地域当局、民間部門、市民社会との協力の下、世界各地で進められています。

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