【2015年10月16日 東京発】
10月17日は、「貧困撲滅のための国際デー」です。ユニセフは、子どもの貧困問題に優先的に取り組むよう、パートナー団体とともに共同ステートメントを発表しました。
©UNICEF/BANA2014-01664/Mawa |
世界のほぼすべての国において、子どもはおとなより貧困に陥りやすく、貧困は、子どもの身体的・精神的・社会的発達に、生涯にわたる影響を及ぼす可能性があります。
緊急の課題であるにもかかわらず、これまで貧困対策において、子どもに対してあまり大きな注意がはらわれてきませんでした。しかし、新たに国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」において、子どもの貧困の削減は、明確に、国際社会共通の課題と位置づけられました。
子どもにとって貧困とは、経済面だけでなく、栄養、健康、水、教育、保護、住居といった、生活に直結した様々な面での欠乏を意味しています。先進国においては、絶対的貧困状態にはないとしても、子どもたちの様々な機会や自己肯定感を奪う相対的貧困が大きな問題です。子どもの貧困は、経済面だけでない多面的な問題として考える必要があります。
子どもの貧困は、おとなの貧困とは異なります。成長過程にある子どもたちにとって、貧困は心身の成長に特に深刻な影響を及ぼし、その影響は生涯にわたって続く可能性があります。貧困に加えて、他にも困難な状況におかれている子どもたち-少数民族の子ども、女の子、障がいのある子どもなど-にとって、生涯に及ぶ影響はさらに深刻です。子どもの貧困が次の世代にも連鎖することは、これまでの調査によって明らかになっていて、その影響はさらに社会全体に及びます。子どもを貧困から守らないことは、その後の教育や健康、雇用への影響を通して、“社会にとって最も代償の大きな過ち”であることが、これまでの経験からわかっているのです。
©UNICEF/NYHQ2007-0632/Pirozzi |
1990年から2012年までの間に、世界で絶対的貧困状態にある人の数は、10億人以上減少しました。絶対的貧困の削減についてのミレニアム開発目標(MDGs)は、期限の5年前(2010年)に達成されました。しかし、このようなグローバルな進展の陰に、最も貧しい子どもたちが取り残されています。子どもは、世界の人口のおよそ3分の1を占めていますが、1日1.25ドル未満で暮らす絶対的貧困状態にある人のうち、子どもの割合は47%に上ります。子どもがより貧困に陥りやすい傾向は先進国においても同様で、OECDの推計によれば、近年、子どもの貧困率は上昇しており、子どもは貧困状態にある人のうち最も大きな割合を占めています。ユニセフが先進41ヵ国について行った調査によれば、それら先進国で7,500万人以上の子どもが貧困状態で暮らしています。
子どもの貧困は緊急の課題です。しかし、効果的に対応できる課題でもあります。これまでの経験から、以下のような対策が有効であることがわかっています。
*ユニセフなどが発表した共同ステートメントの原文(英語)はこちら
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© UNICEF/NYHQ2011-1697/Pirozzi |
ユニセフのイノチェンティ研究所は、先進国における子どもの状況をモニターし比較することを目的として、2000年から、『レポートカード』シリーズの報告書を公表しています。特にレポートカード11『先進国における子どもの幸福度−日本との比較 特別編集版』(2013年)、レポートカード12『不況の中の子どもたち:先進諸国における経済危機が子どもの幸福度に及ぼす影響』(2014年)は、国際比較の観点から、日本の子どもの貧困の状況を明らかにしています。詳しくはこちら(子どもの貧困問題)をご覧ください。
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