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日本ユニセフ協会
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世界の子どもたち

ベナン
暴力や性的虐待を受けた女の子
支援センターで手にした新しい人生

【2015年2月5日  コトヌー(ベナン)発】

ユニセフが支援する暴力や搾取の被害を受けた子どもたちのためのプログラムで、長い間虐待を受けていた少女の長く苦しい時間が終わりを迎えました。

* * *

唯一の大切な人

性的虐待を受けていた15歳の少女、ソランジュさん。職業訓練を受けているソランジュさんは、将来美容師になって店を開きたいと語る。

© UNICEF Benin/2015/Bonnaud

性的虐待を受けていた15歳の少女、ソランジュさん。職業訓練を受けているソランジュさんは、将来美容師になって店を開きたいと語る。

「私は生まれてすぐに両親に捨てられ、それからずっと、祖母と暮らしてきました。祖母は私にとって、唯一の大切な人です」と、15歳のソランジュさんが話します。ソランジュさんは現在、ベナンのコトヌーにある施設で暮らしています。この施設はユニセフの支援のもと、パートナー団体によって運営されています。

「ギニアで生まれましたが、小学校2年生、8歳のときにベナンにやって来ました。祖母が病気になり、コトヌーにいる母親のもとで暮らすことになったのです」と、ソランジュさんが語ります。

喪失

ソランジュさんは祖母のもとを離れ、義理の父親と2人の義理の兄弟、そしてほとんど面識もなかった母親と一緒に、新しい国で生活を始めたのです。ソランジュさんは途方に暮れ、学校も退学してしまいました。

「『あなたは私の母親じゃない』とよく言いました。幼い頃に育児放棄されたので、反抗的な態度を取っていたのです。すると、激しく叩かれました」

2カ月後、ソランジュさんはおばさんの家に連れていかれました。昼間は学校に通うことができましたが、夕方からは路上でお米を売らなくてはいけませんでした。そして夜遅くまで、料理をしたり食べ物を売ったりしていました。ソランジュさんが言うことを聞かないと、おばさんはよく怒りました。

「学校が終わると、毎晩叩かれていました。ひざまずくように言われ、電気コードで叩かれるのです。グラスを割るなどの失敗をしたときにはいつも、電気コードで叩かれました」

12歳のとき、ソランジュさんはおばさんの夫から性的虐待を受けました。「母親に打ち明けましたが、みんな私が嘘をついていると言って、耳を貸してくれませんでした」

その後すぐ、ソランジュさんの妊娠が発覚しました。家族から中絶を強いられたソランジュさんは、再び母親の家へ戻されました。しかし、義理の父親も、ソランジュさんをレイプしていたのです。このときやっと、家族はソランジュさんの話に耳を傾け、この問題を深刻にとらえ始めました。正式に訴状を提出するため、ソランジュさんを警察に連れて行ったのです。しかし、家族はソランジュさんを警察所に置き去りにし、迎えに来ることはありませんでした。ソランジュさんはまた、一人きりになってしまったのです。

数日後、ソランジュさんは虐待や搾取、人身売買などの被害に遭った女の子たちのトランジット・センター(一時受け入れ所)を運営するユニセフのパートナー団体のもとにやって来ました。

幸せを感じられるように

ユニセフのパートナー団体は、虐待の被害に遭った少女たちが安全な環境に身を置き、裁縫の授業などの職業訓練を実施。

© UNICEF Benin/2015/Bonnaud

ユニセフのパートナー団体は、虐待の被害に遭った少女たちが安全な環境に身を置き、裁縫の授業などの職業訓練を実施。

この支援センターのプロジェクト・コーディネーターのイベット・ダエ・ラレエさんは、「このセンターでは、すべての子どもたちが保健ケアや心理社会的支援を受けることができます。教育や職業訓練を受け、美容師や仕立屋になることもできます」と語ります。

「このセンターにやって来る女の子たちの話に、とても心が痛みます」とラレエさんが続けます。「他の子どもたちのように幸せを感じられるよう、希望を持つことができる支援を行っています。しかしこれは、大海の一滴にすぎません。もっと多くの支援が必要です」

安全な場所

家族捜索の結果を待っている約40人の女の子たちが、それぞれ1日~3カ月間、このセンターに身を置いています。「子どもたちがきちんと安全な環境に身を置けるよう、注意しています。里親が見つからない女の子たちは3~4年、このセンターで過ごすこともあります。1年間に約500人の女の子を支援しています」とラレエさんが話します。

ソランジュさんの夢は美容師になり、自分の店を開くことです。そして、コンピュータを買い、友達と連絡を取り合いたいといいます。「誰にもいじめられないので、このセンターが好きです」と、ソランジュさんが笑顔で語ります。

そしていつも前向きなソランジュさんが、「いつか、生まれ故郷のギニアに帰りたいです」と話しました。

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