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日本ユニセフ協会
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シリア危機
包囲網解除と制限ない人道支援を
深刻化する子どもたちの栄養状態
感染症や長期的な発育不全の懸念も

【2016年1月14日  アンマン(ヨルダン)/カイロ(エジプト)発】

シリア国内の包囲地域への人道支援物資輸送に関し、ユニセフ(国連児童基金)中東・北アフリカ地域事務所代表ピーター・サラマとWHO(世界保健機関)東地中海地域事務所代表アル・アラワンは、共同で声明を発表しました。

* * *

共同声明を発表

1月14日、マダヤに入る最後の検問所で待機する人道支援物資を届ける車両。

© UNICEF/UN07489/Omar

1月14日、マダヤに入る最後の検問所で待機する人道支援物資を届ける車両。

今週、包囲されている町マダヤ、フア、ケフラヤに緊急人道支援物資を届けることができた*のは、甚大なニーズを抱える住民にとって、歓迎すべき一歩です。

マダヤへの物資輸送において、私たち支援チームは困窮し飢えた多くの子どもたちに出会いました。彼らの中には、深刻な栄養不良状態の子どももおり、おとなたちもまた同様の状況でした。町の4万人の人口を診ているのはたった2人の医師で、市民の命を救える体制ではありません。予防接種を含む保健、医療サービスは崩壊しています。マダヤの幼い子どもたちは、10カ月近くにわたってポリオやはしかなど、感染症の予防接種を受けることができていません。

包囲される町で暮らす子どもたち

マダヤだけが特殊な状況なのではありません。シリア全土で、紛争を行っているさまざまなグループによって包囲されている市街地は、15カ所**に上ります。およそ40万人の人々がこうした地域に閉じ込められ、食糧や安全な水、保健などの基礎サービスを得るのが極めて難しい状況下で暮らし、時にはそれが断続的に数年に及んでいる場所もあります。こうした状況の結果、特に子どもや高齢者が命を落としています。

シリア国内のあちこちで、アクセスの難しい地域の400万人以上の人々が、不定期に得られる人道支援物資を頼みに生きています。国際人道法に反して、包囲と市民への人道支援の遮断が、闘いの駆け引きとして使われ続けているのです。

栄養不良は、包囲された地域の子どもたちや慢性疾患を抱えた人々をより病気にかかりやすくし、長期的に発達に支障をきたす重大な脅威です。同時に、栄養不良の母親の子どもは栄養不良状態に陥る可能性が高くなります。

ダマスカス郊外の町マダヤで、包囲されている町から出る許可を待つ子どもたち。

© UNICEF/UN07227/Al Saleh, WFP

ダマスカス郊外の町マダヤで、包囲されている町から出る許可を待つ子どもたち。(1月11日撮影)

ユニセフ・シリア事務所 代表のハナア・シンガー(中央)が、住んでいた町が包囲された際に両親と離れ離れになってしまった10歳の男の子と話している。

© UNICEF Syrian Arab Republic/2016/Sanadiki

町が包囲された際に両親と離れ離れになった男の子と話す、ユニセフ・シリア事務所のシンガー代表(中央)。

迅速かつ制限のない人道支援を

マダヤへ支援物資が輸送される様子を見守る女性。

© UNICEF Syrian Arab Republic/2016/Sanadiki

マダヤへ支援物資が輸送される様子を見守る女性。

シリアの全ての包囲地域やアクセス困難な地域に、迅速かつ定期的な人道支援を届けなければ、栄養不良の状況は悪化し、多くの命が失われてしまいます。

限られた人道支援物資の輸送では、十分ではありません。ただちに包囲網を解き、保健やその他の分野のニーズ調査、現場での医療、栄養治療の実施、負傷者や病人の避難を行うことが求められています。

ユニセフとWHOは、紛争当事者全てに対し、国際人道法のもと、シリア全土での迅速かつ制限のない人道支援を認める義務を順守するよう求めています。

注釈:

*1月11日(月)、他機関合同の人道支援物資輸送の一部として、ユニセフとWHOの支援物資が、ニーズの高いマダヤ、フア、ケフラヤに届けられました。ユニセフが届けたのは、微量栄養素や高カロリービスケット、栄養治療食、中・重度の栄養不良治療のための医薬品などを含む栄養支援物資です。

**出典:安全保障理事会決議2139(2014年)、2165(2014年)、2191(2014年)の履行に関する国連事務総長報告書/2015年12月

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