【2016年2月2日 アンマン発】
シリアを荒廃させている残虐な紛争への対応で中心的な役割を果たしている支援機関は、今週ロンドンで開かれる支援国会合において、シリアの子どもたちが教育を取り戻すために必要な財源が最優先されなければ、子どもたちや若者たちの未来は危機に晒されると述べました。
© UNICEF/UN07762/Al-Issa |
危機に陥って5年近くが経過し、シリアの子どもたちとシリア難民を受け入れている周辺国の子どもたち、合計およそ400万人の5歳から17歳までの子どもや若者が、教育支援を必要としています。この中には、シリア国内の210万人、トルコ、レバノン、ヨルダン、イラク、エジプトの70万人の学校に行けない子どもたちが含まれています。
昨年、各国政府や国際機関・団体の協力により、シリア国内の100万人以上の子どもたちや若者が、公式または非公式の学習機会を得ることができました。しかし、ここ数十年のなかで最悪の紛争に対して政治的解決の糸口が見えないなか、教育の機会を逃している子どもの数は増え続けています。
© UNICEF/UNI180459/Romenzi |
英国とドイツ、クウェート、ノルウェー、国連による共催で木曜日にロンドンで開催される会合では、この地域の教育危機に焦点が当てられます。危機の影響を受けた人々の緊急の、そして長期的なニーズに対応できるよう、新たな資金の調達を目指して、30カ国以上のリーダーたちがその会合に出席する予定です。
支援国会合に先立って、「失われた世代にしないために(No Lost Generation)」イニシアティブを構成する支援グループと国連機関は、シリア国内や周辺国の約400万人の子どもたちや若者たちが公式もしくは非公式の教育機会を得られるよう、14億米ドルの支援を呼びかけています。
「子どもたちの危機は拡大し続けています。シリアはいま、失われた世代を生みだそうとしているのです」と、このイニシアティブの調整を担うユニセフ中東・北アフリカ地域事務所代表 ピーター・サラマは述べました。
© UNICEF/UNI198148/Soulieman |
「これまでの支援や活動の結果、現在子どもたちの教育や保護は最優先で取り組まれつつあります。しかし、ロンドンの会合では、すべての子どもたちが再び学ぶ機会を取り戻し、中途退学の恐れがある子どもを支援し、安全で誰もが参加できる学習環境を普及させ、さらに多くの先生を雇用・育成し、教育の質を高め、若者のために技術的・職業的なスキルやライフスキルの向上を支援するために、大幅な変革を起こさなくてはなりません」(サラマ代表)
また、ロンドンの会合で各国政府は、学校などの教育施設に対する攻撃を止めせるため、国際人道法に則って、シリアの紛争の当事者とその支援者に対する圧力をさらに強めることも求められるでしょう。
シリアでは、生徒や先生に対する殺人、誘拐、拘束が日常化しています。学校に対する無差別の攻撃も同様です。約4分の1の学校が、損壊したり破壊されたり、国内避難民や軍用のシェルターとして使われているため、使用できなくなっています。
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「失われた世代にしないために」イニシアティブは、シリア危機による子どもの学習と心の健康への影響を軽減し、シリアと周辺国の子どもたちと若者世代への潜在的で長期に及ぶ影響に取り組むための国際組織、非政府組織、政府によるイニシアティブです。2013年10月に発足し、教育へのアクセスと心のケアの拡大、子どもの保護の強化、社会的結合の支援、平和構築の促進を通じて、シリアの子どもたちが自身、家族、コミュニティの未来をよりよいものとすることを目指しています。
2015年末までに、
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