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日本ユニセフ協会
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シリア危機
繰り返される保健・医療施設への攻撃
数日前に、ユニセフ支援施設の医師も犠牲に
病院は3分の1しか機能せず

【2016年4月29日  ジュネーブ/ニューヨーク発】

シリアのアレッポで起きた攻撃によって、医師2人、救急隊員3人、そして子どもを含む多くの患者が犠牲になったことに対し、ユニセフ(国連児童基金)事務局長アンソニー・レークとWHO(世界保健機関)事務局長マーガレット・チャンは共同で声明を発表し、強い憤りを表明しました。亡くなった2人の医師のうちのひとりは、この街に残る数少ない小児科医でした。

繰り返される攻撃

上腕部の測定を行い、栄養状態の検査を受ける子ども。※本文との内容に直接的な関係はありません。

© UNICEF/UNI168966/Rashidi

上腕部の測定を行い、栄養状態の検査を受ける子ども。※本文との内容に直接的な関係はありません。

この数日前には、同じくアレッポで、ユニセフが支援する診療所の婦人科医が、負傷した市民の診察を終えて帰る途中で追撃砲により命を落としています。

両機関は、シリアでのこうした保健・医療関係者や施設への度重なる攻撃を強く非難しています。これらの攻撃は、特にシリア北部地域で暴力が激化していく中、行われています。そして、シリアで活動する保健・医療従事者が日々直面している大きな困難と危険といった実状を、私たちに突きつけます。彼らはもっと称賛され、守られるべき人々です。

保健・医療関係者や施設への攻撃、また保健サービスや医療機器、医療物資の支援に対する妨害は、国際人道法の重大な侵害であるだけでなく、不可欠な保健ケアを最も必要としている人々から取り上げる行為です。

ユニセフとWHOは、すべての紛争当事者に対し、保健・医療施設、スタッフ、救急車などへのあらゆる攻撃を止め、支援を必要とする罪なき市民への保健・医療サービスを可能にすることを強く求めています。多くの人々の命が、危機に瀕しているのです。

* * *

シリア危機 最新数値

シリアの女の子。

© UNICEF/UN02853/Sanadiki

シリアの女の子。

既に丸5年が経過したシリア紛争によって、子どもの3人にひとりに相当する370万人は紛争開始以降に生まれ、紛争しか知らない子どもたちです。そのうち30万6,000人以上が、難民として生まれています。シリア危機5年に際してユニセフが発表した数値は以下の通りです。

概要

  • シリアの子ども人口:1,000万人近く
  • 5歳未満の子ども人口:370万人以上
  • シリア国内の5歳未満の子どもの数:290万人
  • 周辺国へ逃れた5歳未満の子どもの数:81万926人
    • トルコ(45万8,380人)、レバノン(19万494人)、ヨルダン(10万8,956人)、イラク(3万7,902人)
  • シリア国内で支援を必要とする子どもの数:600万人
  • シリアおよび周辺国で支援を必要とする子どもの数:840万人
  • シリアから周辺国(ヨルダン、レバノン、イラク、トルコ、エジプト)へ逃れた難民の子どもの数:240万人近く

子どもの保護

  • シリア国内で、包囲された地域や、アクセスが困難な地域内にいて、人道支援を受けていない子どもの数: 200万人以上*(内、包囲地域内で暮らす子どもは少なくとも20万人)

*アクセス困難な地域で暮らす人々:460万人(内、包囲地域内で暮らす人々は48万6,700人)

  • 保護者を伴わず、または保護者と離れ離れの状態で、シリアの国境を越えた子どもの数:1万5,257人
  • 子どもに対する暴力(2015年に確認された件数):1,500件
  • 子どもの死傷者(2015年)
    • 900人(死亡427人、負傷473人)
    • 内、150人以上が学校内や登下校中に殺害

 保健・栄養

  • 当地域の8カ国でポリオの予防接種を受けた子どもの数:2,500万人
  • シリアで機能している病院の割合:全病院の3分の1

教育

ユニセフの支援物資である学生鞄を背負って学校から自宅に戻る子どもたち。

© UNICEF/UN06848/Al Halabi

ユニセフの支援物資である学生鞄を背負って学校から自宅に戻る子どもたち。

  • 学校に通えていない子どもの数:280万人(シリア国内210万人、周辺国70万人)
  • 使用不可になった学校の数:6,000校
  • 教育関連施設および人員に対する襲撃件数(2015年): 47件(内、40件がの学校内における襲撃)

貧困と開発

  • シリア国内で700万人近くの子どもが、貧困下で暮らしている
  • 家族を支えるため、3歳という幼い年齢の子どもも働き、あるいは物乞いをしている
  • シリアの開発は40年前の水準に後退

水と衛生

  • 安全な水にアクセスできない人口の割合:70パーセント
  • シリアの下水で処理されるのはわずか1パーセント

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