【2016年7月5日 アンマン(ヨルダン)/ダマスカス(シリア)発】
7月3日に発生したシリアの難民キャンプへの爆弾攻撃に対し、ユニセフ(国連児童基金)と国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は共同で声明を発表しました。
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©UNICEF/UNI2055/Brooks |
パレスチナ難民やシリアの国内避難民が身を寄せる、Khan Eishieh難民キャンプへの攻撃は、シリア紛争における非人道的な命の軽視、特に子どもの命や子どもたちの拠りどころとなる施設を無視する行為の、最も新しい事例となってしまいました。
非人道的で命を軽視した攻撃が繰り返されるなかで、7月3日の夜に爆弾が難民キャンプを直撃し、市民が犠牲となり、家屋や「子どもにやさしい空間」までもが破壊されたと報告されています。9,000人のパレスチナ難民が暮らすKhan Eishieh難民キャンプは、ダマスカス南部の農村地域の暴力が激化している地域にあり、この数週間の間にも、暴力行為の急増によって少なくとも9人のパレスチナ難民が亡くなっています。
破壊された「子どもにやさしい空間」は、1,000人以上の子どもたちにとって安らぎの場で、子どもたちは教育や心理社会的支援、レクリエーションのために日々通ってきていました。
この難民キャンプで唯一の「子どもにやさしい空間」であり、子どもたちにとっては、自分たちの生活を左右する暴力や紛争の恐怖から離れ、ひと時の日常を取り戻せる場所でした。
2013年以来、Khan Eishieh難民キャンプへの人道的アクセスが制限されているため、支援活動は妨げられています。支援を受けるため、パレスチナ難民たちは多大な危険を冒してキャンプの外に出て、サナヤやKhan Dunoun にある配給センターまで行かなければならないのです。
2012年以降、難民キャンプ周辺の田畑や農場は戦場と化しました。重火器が配備され、無差別に攻撃が行われることも頻繁にありました。キャンプ内で暮らす75名のUNRWA職員は、3つの学校と、それぞれ1カ所の保健センターとコミュニティセンターで行う限られたサービスを通じて、懸命にパレスチナ難民への支援を続けています。
シリア全土で、ユニセフ、UNRWA、そのパートナー団体は、「子どもにやさしい空間」の運営をはじめ、子どもたちが暴力の影響に向き合えるよう支える支援を続けています。
子どもたち、そして子どもたちが頼りとする民間施設への攻撃は、決して正当化することはできません。しかし残念なことに、こうした攻撃がシリア紛争において一般的になってしまっているのです。
ユニセフとUNRWAは、この攻撃を強く非難し、紛争当事者に対しシリアの一般市民や民間施設を危険に晒す行為を止めるよう、要請します。こうした攻撃は、国際人道法で禁じられています。
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