【2016年8月11日 サンサルバドル(エルサルバドル)発】
蚊が媒介する感染症「ジカ熱」が中南米地域全体に広がっている状況の中、ユニセフ・エルサルバドル事務所は、日本政府による中南米地域への緊急無償資金協力を受けて、ジカ熱感染を防ぐためのキャンペーンを展開しています。ユニセフ・エルサルバドル事務所の廣田怜央・社会政策担当官からの報告です。
© UNICEF El Salvador/2016 |
ユニセフ・エルサルバドル事務所は、中南米地域で感染が拡大しているジカ熱への対応の一環として、ベクター・コントロール(媒介蚊の制御)に重点を置いた全国規模のキャンペーンを展開します。従来から取り組んできたジカ熱の認知向上活動の成果をふまえ、今回のフェーズは蚊の発生源の除去に向けた清掃活動など、子どもたちにジカ熱の予防に向けたより具体的なアクションを促すことを目的としています。ユニセフによる一連の取り組みは、日本政府による中南米地域への緊急無償資金協力により、可能になりました。
中米諸国のなかで最も高い人口密度を有するエルサルバドルでは、2016年に入ってから計7,179件、2015年からの累計で1万1,000件以上の、ジカ熱の感染が疑われる事例が報告されています。妊娠中の女性の感染例も見られ、ジカ熱との関連性が指摘されている新生児の小頭症も1件確認されています。
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このような事態を受け、エルサルバドル事務所は政府機関やパートナー団体と連携し、ソーシャルメディアを活用した情報提供に加え、複数のコミュニティ、乳幼児教育センター、青少年の更生施設などを対象として、啓発活動を展開してきました。この活動を通し、ジカ熱、デング熱、チクングニア熱に関する情報をわかりやすく記したポスターを5万枚、ちらしを3万枚、ノートを1,000冊作成し、特に脆弱な状況にある子どもたちやその家族に配布しています。
今回のフェーズでは、25か所の乳幼児教育センター、および4か所の更生施設を対象として、清掃用具の提供、日々の清掃習慣の定着、遊びを通した知識の向上を通し、予防効果をさらに高めていきます。特に、定期的な清掃活動の促進により、運動場の水たまりなど蚊の発生源となる箇所を効果的に除去することが期待されます。
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本日、首都サンサルバドル市内の乳幼児教育センターで行われたセレモニーには、本フェーズの開始にあたって日本国大使館、ユニセフ、政府機関、パートナー団体の代表者が出席し、同センターに対してゴミ箱、蚊帳、ほうき、消毒剤などの清掃キットが贈呈されました。式典に臨んだエルサルバドル事務所ベゴニャ・アレジャノ副代表は、「ユニセフにとって日本の皆様のご支援はとても貴重なものです。今回のような緊急事態に対して、子どもたちの認知向上と行動変容を促すことにより、根本的な問題解決を進めることができます」と述べました。
エルサルバドル事務所では、日本・エルサルバドル両政府との協働により、引き続きジカ熱の感染拡大防止に向けた活動を強化していきます。
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廣田さんは、平成27年度JPO試験に合格し、2016年4月からユニセフ・エルサルバドル事務所に着任しました。着任に先立ち、2016年1月から約4カ月間、日本ユニセフ協会広報室でインターンとして勤務し、ジカ熱関連の情報発信や子どもの貧困に関する報告書の翻訳・制作など、様々な広報・アドボカシー業務に携わりました。
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