【2016年10月27日 ローマ/ランペドゥーサ発】
ユニセフ(国連児童基金)は、今年イタリアに到着した少なくとも2万人という記録的な数のおとなの同伴者のいない、もしくは親と離ればなれになってしまった子どもたちに対して、支援と保護を強化する歴史的な法案を可及的速やかに採択するようイタリア議会に求めています。毎日のように移民が地中海で溺死する報告がされるなか、命をかけてイタリアの海岸に辿り着こうとしている子どもたちにとって、この法案は待ち望まれているものです。
© UNICEF/UN019996/Gilbertson VII Photo |
EU-トルコ間の協定によって、地中海東部を経由するヨーロッパへの難民・移民の流れは激減した一方で、北アフリカから地中海中部を渡る経路が、紛争や迫害、絶望から逃れてくる人たちにとって最も長く、危険な主要経路となりました。
海上で救助された人たちが最初に下船するイタリアの小さな島のランペドゥーサ島で、最近、3歳の男の子が到着直後に窒息死し、若い女性がボートの燃料をかぶり重度のやけどから死亡し、分娩が始まった妊娠9カ月の妊婦がヘリコプターでシシリア島のパレルモに搬送され、それぞれ別の事件に巻き込まれ銃弾による傷を負っていた十代の女の子1人と男の子2人と重度のやけど(Ⅲ度熱傷)を負った4人の若者が、緊急治療のために島外に搬送されるという出来事が、すべて24時間のうちに起こったものでした。
彼らは、10月25日から26日にかけてイタリア沿岸警備隊によって救助された4,300人の難民・移民のほんの一部です。その中にはボート上で死亡が確認された17人も含まれます。
現在、イタリア上院議員に提出されている法案C.1658 または「ザンパ提案(‘Proposta Zampa’)」は、おとなの同伴者のいない子どもたちの受け入れおよび保護に関する初めての包括的な法律です。ユニセフは、これまで3年間にわたり、他機関と共にこの法案の制定を支援してきました。
この法案の基本原則は、ユニセフが避難民・難民・移民の子どもたちを保護するために奨励している行動と完全に一致しています。下記はその一例です。
イタリア政府は、移民や難民の受け入れの負担を追っている地方自治体に対して6億ユーロを割り当てました。この資金は、移民や難民のための受け入れセンターの運営や支援活動を推進している人々やグループ、組織が長い間待ち望んでいたものです。イタリアユニセフ協会は、イタリアのNGOフォーラムのメンバーとして、イタリア政府に対して、こうした若者に対する施策を含む「資金安定法("Legge di stabilità")」の2017年の制定を求めるキャンペーンを行ってきました。
ユニセフは、ランペドゥーサにおいて、妊娠の可能性があったり、身体的・精神的なケアが必要なおとなの同伴者のいない子どもや若い女性の治療のためにイタリア政府が提供している保健・衛生サービスを支える婦人科医や文化的仲介者*の動員を支援してきました。ユニセフは地域の病院内に子どもにやさしい空間も設置しました。
*注記:「文化的仲介者」は文化的ニーズや実践に関する通訳を行う
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