【2016年11月14日 ニューヨーク/東京発】
子どもの権利を広め守るために活動を続けているユニセフ(国連児童基金)の創立70周年という節目の今年、小説家、劇作家や詩人を含む200名以上の世界の著名な作家が世界規模の文学的なキャンペーンに参加し、「Tiny Stories(ちいさなお話)」を発表しました。「Tiny Stories」とは、7文、という長さと、「すべての子どものために、私が望むこと(What I want for every child)」というテーマの2点以外は、構成や形式などすべて作家個人にゆだねられた「ちいさなお話」です。これらのお話は最も貧しくまた最も厳しい状況におかれた世界の子どもたちが今も直面する不公平さについて、広く世の中に「気付き」を与えるため、11月20日の「世界子どもの日」を含む11月末まで順次発表され続ける予定です。
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自身が詩人でもあるフィンランドのイェンニ・ハウキオ大統領夫人によって提案されたこのキャンペーンは世界的な広がりを見せており、アジア、アフリカ、南アメリカ、ヨーロッパ、中東やオーストラリアから世界的に著名な作家がソーシャルメディアやユニセフのホームページを通じて参加しています。
ここ日本からは、ユニセフと同じ1946年に誕生し地球上の様々な問題をテーマに創作活動をしている、世界的な絵本作家・画家・詩人である葉 祥明氏が本キャンペーンに参加しています。
「作家である私たちは、物語を書く、という活動によって何かを提言することができます。この価値があり必要があるキャンペーンによって、私たちは世界中の大切な子どもたちの権利を守ることを主張します」と、参加する作家の一人である、ナイジェリアのチママンダ・アディーチェ氏は語りました。
様々な国籍、性別、年齢、ジャンルの作家たちの中には、世界で本が出版された最年少の作家の一人である南アフリカの7歳、ミシェル・ンカマンケン(Michelle Nkamankeng)さんもいます。
10以上の言語、そして様々な形式で執筆された物語のすべてが、多くの子どもの権利が未だなおざりにされている事実に警鐘を鳴らします。
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子どもの権利がますます危ういものとなっている今、このキャンペーンが行われる意義があります。紛争、貧困や気候変動によってふるさとを奪われた子どもたちが存在し、他にも何百万の子どもたちが地域内で言葉にできないような暴力に直面しています。また、昨年には600万人近い5歳未満の子どもが、主に適切な対処で防ぐことのできた病気で亡くなりました。
「多くの子どもの人生が、紛争、不公平さ、貧困や差別によって未だに大きく影響を受けている事実に衝撃を覚えます。人生と未来が危機に瀕している子どもたちへの約束を守り続けなければいけない、とこの『Tiny Stories』が世界へ再度『気付き』を与えることを願っています」とユニセフ広報部長のパロマ・エスクデロは述べました。
葉祥明氏や各国の作家のTiny Storiesは、特設ホームページ をご覧ください。
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■ 葉祥明氏について
葉 祥明【本名:葉山 祥明】(絵本作家・画家・詩人)
1946年熊本市に生まれる。創作絵本『ぼくのべんちにしろいとり』でデビュー。1990年創作絵本『かぜとひょう』でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞受賞。1991年、鎌倉市に「北鎌倉葉祥明美術館」、2002年に「葉祥明阿蘇高原絵本美術館」を開館。『地雷ではなく花をください』『心に響く声』などをはじめ、人間の心を含めた地球上の様々な問題をテーマに創作活動を続けている。近著にことば集『幸せな日常のために』(日本標準)、絵本『星の王子さま』(Jリサーチ出版)がある。
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