【2017年2月3日 ニューヨーク/ジュネーブ/ブリュッセル発】
地中海において、過去3カ月間、推定190人の子ども(*)を含む、記録的な人数の難民・移民が死亡していることから、ユニセフ(国連児童基金)はマルタ共和国で一堂に会しているEU加盟国の首脳たちに対し、緊急の要請を出しました。
© UNICEF/UN020033/Gilbertson VII Photo |
2016年11月から2017年1月末にかけて、少なくとも1,354人の難民・移民が溺死しました。死亡事故の大半は、1,191人の死亡(**)が報告されている、リビアとイタリアを繋ぐ地中海中央ルートで起きています。この数は、2015年から2016年の同期間に同ルートで報告された死亡者数の13倍に上ります。ヨーロッパの多くの地域で厳しい冬が続く中、この地中海中央ルートや、エジプトなど他の場所を出発点とするルートは、今後数週間にかけて危険性が増す可能性もあります。
マルタ共和国のバレッタで本日開催される、28カ国のEU加盟国首脳会議において、この難民・移民問題は焦点の議題となります。
「海で命を落とす子どもの数が増加していることは、北アフリカからイタリアへ向かう移動行程の重大な危険性だけでなく、地中海の両側に位置する国々の政府は子どもたちの安全を確保するために、早急にさらなる行動を起こす必要があることを、浮き彫りにしています」とユニセフ事務局次長、ジャスティン ・フォーサイスは述べました。「首脳会議で出される決断は、リビアを通過している、あるいは取り残されている何千人もの子どもの、まさに生死の境目となるかもしれません。各国政府は今すぐに行動を起こす必要があります」
© UNICEF/UNI197512/Gilbertson VII Photo |
ユニセフはEUとその加盟国に対して、故郷を追われた子どもたちを守るために、以下の行動に最大限の努力を投じるよう呼びかけています:
ユニセフは、難民・移民の子どもやその家族に対して、子どもの保護、水と衛生、教育、保健分野における支援を提供するため、リビアを含めた難民・移民の移動ルート上の各地で活動しています。
1日夜、ユニセフとパートナー団体は、地中海中部の海で、同伴者のいない子ども148人を含む754人の救出活動に関わりました。ここ数日間で、ユニセフとパートナー団体の支援を受けたイタリア沿岸警備隊は、285人の子どもを救出しました。
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*2016年に難民・移民として欧州に向けて移動していた子どもの多くはおとなの同伴なく行動しており、記録や報告がなされなかったため、死亡した子どもの実数は不明である
**UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)とIOM(国際移住機関)によるデータ
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ユニセフは、本日、かつての子どもの難民、そして、現在の子どもの難民が、それぞれに起こった恐ろしい体験を語る動画を公開しました。
第二次世界大戦で難民となったハリーさん(92歳、ドイツ・ベルリン出身)と、シリア危機で難民となったアームドくん(12歳、シリア・ダマスカス出身)。世代は違っても、子どもの難民となって恐ろしい経験をした2人の体験談には、類似する点があります。
ユニセフが昨年9月に発表した「移民・難民危機レポート」によると、世界では、5,000万人近くの子どもたちがふるさとを奪われてきたことが、明らかになっています。そのうち2,800万人が紛争によって自宅を追われ、さらに何百万人もが、より良く、より安全な生活への希望をもって移民となっています。
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