【2017年2月14日 ジュネーブ発】
国連ジュネーブ事務所の定例記者ブリーフィングで報告された、ユニセフ(国連児童基金)ヨーロッパ事務所広報官によるシリア・アレッポの最新状況を抜粋してお伝えします。
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© UNICEF/UN046892/Al-Issa |
ほぼ1カ月の間、アレッポ市内とその周辺地域に住む180万人(市内130万人と周辺地域50万人)は、公共の水道網から意図的に切り離されていました。いちばん最近の断水は、1月14日にアレッポ東部に位置するアル・カフセ(Al-Khafse)ポンプ場 が運転停止したことにより始まりました。公共の水道網の修復が進んだため、少しずつですが、水の供給が回復しつつあります。しかし全ての地域に水が届けられるためにはまだ少なくとも10日を要すると思われます。
この断水の影響を最も受けたのは子どもたちです。彼らは水に起因する感染症に最も罹りやすく、また水汲みの役を負わされてました。現在のところ、感染症の流行は確認されていませんが、リスクはまだあります。子どもたちは、時に砲撃が続く中で、井戸や給水場に何時間も並ぶことを余儀なくされており、こうしたことは、子どもたちの健康に悪影響を与え、命も危険に晒し、学び・遊ぶべき時間を奪っているのです。
この6年近くの間、シリア紛争に関わるすべての当事者が、水を「戦争の武器」として利用してきました。時に水源を汚染し、水道の設備やパイプを壊し、水ポンプへの電力を停止しました。ユニセフは、井戸の修理や緊急的処置として給水トラックを使い、毎日1,000万リットルの水を最も弱い立場にある家族と子どもたちに届けています。そして子どもたちが学習を続けられるように144校の学校にも水を届けてきました。ユニセフはまた、浄水用資材や井戸やポンプ場を運転するための燃料も提供しています。アレッポ西部では、120カ所の井戸の修復を支援し、水質の検査も完了しました。しかし、アレッポ東部の最近ようやく支援を届けられるようになった地域では、いまだ給水トラックに頼らざるを得ない状況です。
アレッポ東部では、ユニセフの支援により34校の学校が再開し、1万5,500人の子どもたちが公式教育を受けられるようになりました。開校していた学校が23校で生徒数が6,500人だった2月はじめと比較すると、2週間もしない間に生徒数は倍増しました。
戦闘によって残された不発弾も、地域全体の子どもたち、特にアレッポ東部に住む子どもたちの命を危険に晒し続けています。昨年12月には、危険と知らずに不発弾で遊んでいた子ども6人が命を落とし、多くの負傷者が出ました。昨年11月以降、ユニセフは8万人のアレッポの子どもたちに対して、不発弾や地雷の危険性を伝える取り組みを行ってきました。
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