【2017年6月15日 フィレンツェ/ニューヨーク/東京発】
ユニセフ(国連児童基金)が本日発表した報告書によれば、先進国では、子どもの5人にひとりが相対的貧困状態にあり、平均で8人にひとりが食料の確保が不安定な状況にあることがわかりました。
ユニセフ・イノチェンティ研究所の『レポートカード14 未来を築く:先進国の子どもたちと持続可能な開発目標(SDGs)』は、国連で2015年に採択されたSDGsのうち、子どもに最も関連が深いと考えられる10の目標に焦点をあて、先進国の子どもたちの状況を比較、分析した初めての報告書です。
「『レポートカード14』は、先進国においてさえ、進歩はすべての子どもに恩恵を与えているのではない、ということに警鐘を鳴らしているのです」とイノチェンティ研究所のサラ・クック所長は言います。「高い所得が自動的にすべての子どもにとって良い結果をもたらすわけではなく、格差を助長することさえあるのです。すべての国の政府は、格差が縮小され、子どもに関するSDGsが達成されるよう、行動をおこす必要があります」
『レポートカード14』に日本についてのデータを提供した、首都大学東京の阿部彩教授は、「順位に一喜一憂することはない」としつつも、「日本については、特に底辺に属する子どもたちの状況が厳しいことがわかりました。また、今回成績がよかった栄養等の分野についても、若干異なる指標によれば成績が低いのではと懸念される分野もあります」と述べています。
日本についての結果の一部(『レポートカード14』より):
『レポートカード14』日本語版発表(2017年7月20日プレスリリース)はこちら
その他『レポートカード14』の主な内容:
© UNICEF/UN040565/Cybermedia |
41カ国の順位を見ると、北欧諸国、ドイツ、スイスといった、同様の比較で頻繁に上位に登場する国々が上位にあり、先進国の中では所得が低い方であるルーマニア、ブルガリア、チリといった国々は下位に見受けられます。しかし、より詳しく見ると、すべての国について、二つ以上、順位が中位か下位に入っている分野があり、何らかの改善の余地があることがわかります。国の所得では、各国間の差異を説明することができません。例えばスロベニアは、多くの指標について、所得のより高い国々より、はるかによい結果を示した一方、米国は、総合順位で41カ国中37位でした。
所得格差、精神的健康や肥満については、ほとんどの国で懸念すべき結果となりました。比較可能なデータのある国のうち3分の2では、底辺に置かれた子どもたちの世帯所得は、2008年時点と比べて、平均的な子どもたちをさらに大きく下回っています。肥満児の割合や、精神の不調を訴える若者の割合は、ほとんどの国で増加傾向にあります。
分析結果に基づき、『レポートカード14』は、以下を提言しています。
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6/16(金) 『レポートカード14: SDGsで見る日本の子どもの課題 』記者発表会
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