【2017年11月8日 ヤコ(ブルキナファソ)発】
ブルキナファソの母親たちは、子どもたちが健康に生きられるよう懸命な努力を続けています。そうした努力で、地域の人の考え方にも変化が生まれてきました。
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© UNICEF Burkina Faso/ 2017 |
ブルキナファソ北部の街ヤコ。アワさんは双子の子どもを前後に抱え、ゆっくり女性たちに近づいていきます。
集会に参加するのを楽しみにしていたアワさん。一度に2人の子どもの母親になり、必要なものを与えてあげられるか不安になることもありましたが、他の女性たちに助けられてきました。
WHO(世界保健機関)によると、ブルキナファソ北部では、5歳未満の子どもの発育阻害が拡大しています。特に人生の「はじめの1000日」に発育阻害に陥ることは、認知発達障害、知能低下、免疫機能の低下の一因となり、後の人生においても糖尿病や癌などの病気に罹る高いリスクがあるなど、長期にわたって深刻な影響を与えます。
アワさんの参加する母親同士の支援グループは、発育阻害を予防するサポートをしています。ユニセフのパートナーである地元NGOによって運営されており、アワさんは妊娠3カ月のときから参加しています。
双子を出産したアワさんは、地域保健員からバランスのとれた栄養価の高い食事を与える重要性について教わりました。グループは毎月集まって、栄養に関するテーマに取り組んでいます。今日のテーマは補完食についてです。
アワさんは真剣に話を聞き、保健員の質問に答えていきます。集会に参加する母親たちは、子どもたちに出来る限りの栄養を与え、衛生環境を整えることで、子どもが人生における最善のスタートを切れるよう取り組んでいるのです。
© UNICEF Burkina Faso/ 2017 |
グループを通して学んだことを実際の育児に取り入れることは、簡単なことではありませんでした。20歳で結婚し一夫多妻の家族の一員になったアワさんは、新しい家族から育児についてのプレッシャーを受けました。
「義理の母は、子どもに植物を煎じた液と水を与えるよう主張しました」とアワさんは話します。「でも、地域保健員から生後6カ月まで母乳のみで育てるよう言われていたのです」
アワさんは、グループで学んだように母乳育児を実践しようと出来る限りの努力をしましたが、自分の力ではどうにもならないこともありました。子どもたちが、あまり母乳を飲んでくれなかったのです。家族からのプレッシャーも、母乳育児をさらに難しくしたとアワさんは話します。子どもに母乳を与えるとき、義理の母に冷やかされました。「あなたは水で育ったのよ。今も生きていて、結婚して子どももいるじゃないの」
© UNICEF Burkina Faso/ 2017 |
集会が終わった後、暑く乾燥した植物の育たない土地を車で運転し、アワさんの家を訪ねました。玄関の前に、孫たちに囲まれた義理の母親が座っていました。アワさんは彼女に挨拶して体調を尋ね、話に耳を傾けました。
アワさんが参加する母親のグループは、年配の女性にも影響を与えたようでした。「私が子育てをしていたときは、子どもにとって何が良いのか分からないことも多かったのです。子どもが生まれると、身体を清め植物を煎じて飲ませることが普通でした。今は、アワが地域保健員から正しい育児を学んでいることを嬉しく思っています」と話してくれました。
教育は、アワさんのような母親たちに、悪い伝統習慣を断ち切る力と手段を与え、次の世代の子どもたちにより良い未来をもたらします。母親たちは、一人ずつ確実に、子どもたちの健やかな成長を助けているのです。
慢性栄養不良を防ぎ、女性と子どもたちの健康をコミュニティレベルで向上させるため、ユニセフとパートナー団体は、3,490人の保健員の研修を支援しました。研修を受けた保健員が、生後6カ月までの完全母乳育児を推進し、母体の栄養や正しい衛生習慣について注意喚起を行い、子どもの発育観察や料理の実演をおこないます。母親同士の支援グループを通して、7万642人の妊婦と16万6,116人の授乳育児中の女性に支援を届けました。
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