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日本ユニセフ協会
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世界の子どもたち

カンボジア
地域に根差す水キオスク
子どもたちと家族に安全な水を届ける

【2018年3月27日  カンボジア発】

世界のどこに住んでいても、安全な飲み水は、子どもたちや家族が健康に生きるために欠かせません。でも水道がない地域で、どのように安全な飲み水がつくられるのか、考えたことはありますか? カンボジアの農村部で、地域に根付く水支援の例を、ユニセフ・カンボジア事務所の師岡イマン 広報チーフが紹介します。

安全な飲み水を、地域に供給する

水キオスクで、浄水と水容器詰め、地域への販売や配達を行っているソカーさん

© UNICEF Cambodia/2018/Iman Morooka

水キオスクで、浄水と水容器詰め、地域への販売や配達を行っているソカーさん

カンボジア北西部・バンテイメンチェイ州、オーベイチョワン・コミューンにある水キオスクで、浄水と水容器詰め、地域への販売や配達を行っているソカーさんに出会いました。

この水キオスクは、カンボジアの水課題に取り組むNGO「Teuk Saat 1001」とユニセフの支援によって建てられたものです。

水不足は、この地域に住む人々が直面している大きな課題です。この地域の水源は、雨期に降る雨水を溜めておく自然のため池であるため、天候に左右されることが大きく、特に乾季の間の供給量が不安定でした。しかし、ユニセフの支援によって、ため池には水を保持するための特別な素材が敷き詰められました。ため池に溜まっている地表水は、450メートルにおよぶ水道管を通り、ソカーさんが水の処理と容器詰めを行う水キオスクまで届きます。

水キヨスクの水源であるため池。ユニセフの支援によって、池の底には水を保持するための特別な素材が敷き詰められている。

© UNICEF Cambodia/2018/Iman Morooka

水キヨスクの水源であるため池。ユニセフの支援によって、池の底には水を保持するための特別な素材が敷き詰められている。

 

水が、連続する複数のタンクを通過することで、徐々に不純物などが取り除かれていく。

© UNICEF Cambodia/2018/Iman Morooka

水が、連続する複数のタンクを通過することで、徐々に不純物などが取り除かれていく。

湖の水はまず、水キヨスク内の浄水施設にある大きな円筒状のタンクに汲み上げられます。水中にある泥の粒子や浮遊物を取り除くために必要な工程として、ソカーさんは水に適量のポリ塩化アルミニウム(PAC)を加えます。15分ほどかき混ぜた後、そのまま数時間放置することで、水中の粒子がタンクの底に沈みます。

一定時間を経て、ソカーさんは、大きなタンクと小さなタンクをつなぐパイプの栓を開けます。大きなタンクに入っていた水が、連続する複数の小さなタンクに流れ込むことで、砂や活性炭のろ過器を通過する仕組みです。

複数のタンクでろ過された水は、さらに精密なフィルターと太陽光紫外線ライトを備えた機械を通過します。これによって、水中に残っていた有害微生物やわずかな微粒子も取り除かれます。

 

水が通過する機械の中には、精密なフィルターと太陽光紫外線ライトを備えられている、と説明するソカーさん。

© UNICEF Cambodia/2018/Iman Morooka

水が通過する機械の中には、精密なフィルターと太陽光紫外線ライトを備えられている、と説明するソカーさん。

こうした過程を経て、ようやく安全な水の出来上がりです!水はその後、水容器に詰められます。円筒状のタンクに水をくみ上げ、浄水し、水容器に詰めるという工程は、毎朝7時から始められ、平均1日2~3回、水の需要が多い時には夜遅くまで行われます。

定期的な検査で品質を守る

水質の定期検査に訪れた、NGO「Teuk Saat 1001」職員のサム・チャンターさん。

© UNICEF Cambodia/2018/Iman Morooka

水質の定期検査に訪れた、NGO「Teuk Saat 1001」職員のサム・チャンターさん。

ソカーさんは、この水キオスクで浄水された水の水質は、一定の基準を満たした安全なものであると確信しています。

水キオスクで働くソカーさんも、水質検査のための研修をうけており、1カ月に2度の簡易水質検査をおこなっています。2か月に1度はNGO「Teuk Saat 1001」の職員も水質の定期検査を行います。この日、当NGO団体のサム・チャンターさんがキオスクを訪れ、水質の検査と評価シートの記入を行っていました。

また、水キオスクの水は、殺菌消毒された再利用可能な容器に詰められます。容器には大きさが2種類あり、20リットル大は家庭用、10リットル大は学校用として利用されています。

容器に詰められる水。

© UNICEF Cambodia/2018/Iman Morooka

容器に詰められる水。

ソカーさんは、これらの水容器について、雨期は1日あたり60~70個、乾季には1日あたり100~110個を生産します。これらは、市場平均価格よりも安価な値段で近隣の家庭に売られていますが、それでもこのシステムを持続可能にするために十分な収入を得ることができています。また、近隣の学校には無償でこの水が提供されています。2012年に建てられたこの水キオスクは、コミュニティに良い影響をもたらし続けているのです。

そしてほら、安全な水をオーベイチョワン・コミューンの人々に届けるための荷車もあるんですよ!

水を積んだ荷車。地域の人々に、安全な水を届けます!

© UNICEF Cambodia/2018/Iman Morooka

水を積んだ荷車。地域の人々に、安全な水を届けます!

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