【2018年6月6日 ボゴタ(コロンビア)発】
旅行・観光における子どもの性的虐待と搾取を撲滅するための行動について協議するため、6月6日と7日の2日間、世界25カ国以上から、政府、観光業者、法執行機関、国連機関、市民社会団体の代表がボゴダに集まります。
「旅行・観光における子どもの保護に関する世界サミット(International Summit on Child Protection in Travel and Tourism)」は、コロンビア政府主催で開催され、ユニセフ(国連児童基金)、国連薬物・犯罪事務所(UNODC)、世界旅行ツーリズム協議会(WTTC) 、国際ECPAT等が協力します。サミットでは、子どもの性的搾取に関する意識啓発、子どもの人身取引への対応強化、行動倫理規範の遵守、子どものいる施設への「ボランツーリズム」の規制、人身売買や性的搾取に関する従業員・職員への研修等について、話し合われます。
参加者は、「持続可能な開発目標(SDGs)」および「旅行・観光における子どもの性的搾取に関するグローバル・スタディー(原題:Global Study on the Sexual Exploitation of Children in Travel and Tourism)」の提案に沿って作成された行動計画に合意する予定です。サミットは、各国政府、民間企業、法執行機関、国連機関、市民社会団体に対して、子どもたちを、人身売買や子どもを性的に搾取する旅行者からより確実に保護することを求めます。また特に、多様なステークホルダー間のさらなる連携を求めます。
近年、旅行・観光業は著しい成長を見せています。世界のGDPの10.4%を占め、10人に1人を雇用し、今後10年間で年間平均成長率4%が見込まれています。国連世界観光機関(UNWTO)の予測では、2030年には18億人が旅行者となります。すべての旅行者がより広範により簡単に旅行できるようになることで、子どもを保護するためのより強力な措置が必要となります。
子どもを性的に搾取する旅行者は、旅行先の貧困、社会的疎外、また脆弱な法整備による不処罰の文化を悪用しており、多くの国では彼らの行動を抑止する十分な法律がありません。近年の旅行・観光業のイノベーションにより、リスクはさらに高まっています。インターネットを通じて旅行のオプションが増えたことも、子どもを性的に虐待する旅行者が子どもを搾取する危険を高めています。
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■ユニセフの活動
ユニセフが開催に関わった3回の「子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」(1996年ストックホルム、2001年横浜、2008年リオデジャネイロ)は、子どもの性的搾取や虐待の問題を、国際社会および各国政府に取組むべき課題としてつきつけました。今では世界各国の政府が、問題を認識しその対策を取っています。
ユニセフは2012年に国連グローバル・コンパクト等とともに「子どもの権利とビジネス原則」を発表。この原則は、子どもの人権に焦点をあて、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を補完するもので、民間企業に対して、あらゆる事業活動や取引関係において子どもの権利を守り推進することを求めています。
今回のサミットの基となった、2016年の調査報告書「旅行・観光における子どもの性的搾取に関するグローバル・スタディー」の作成にも協力しています。
2017年末時点で、ユニセフは93カ国において、政府や市民社会と協力して、子どもの性的虐待・搾取を予防し対応するため包括的戦略の実施に取組んでいます。また、この数十年間に、25カ国以上で、政府観光省や旅行・観光業界の積極的な取り組みを促してきました。
■「旅行・観光における子どもの性的搾取に関するグローバル・スタディー(原題:Global Study on the Sexual Exploitation of Children in Travel and Tourism)」
旅行・観光における子どもの性的搾取の世界的な状況とその規模を理解するために、67のパートナー団体が共同で制作した初めての調査報告書(2016年)。報告書は、国連、各国政府、NGO、警察、および観光業界による一致した行動を求める提案を行っています。今回のサミットは、この提案の実施を促進するための方法について合意するために開催されます。「グローバル・スタディー」や関連の情報はこちらからご覧いただけます。
■持続可能な開発目標(SDGs)
持続可能な観光業に関するターゲット(8.9、12.b)および、子どもに対するあらゆる形態の暴力の撲滅に関するターゲット(16.2)が定められています。今回のサミットでは、これらのターゲットを2030年までに達成するためのロードマップ(行程表)を作成する予定です。
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