【2018年4月24日 ラオス発】
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デン・シャヤソンさんが、険しい道を徒歩やバイクで進み、ラオスの田舎の村に住む子どもたちにワクチンを届け続けて、15年間になります。仕事は大変ですが、デンさんは、子どもたちを守るこの仕事をやり抜くと、確固たる決意を持っています。
「私たちには手を差し伸べるべき子どもたちがいます。どれほどの時間がかかったとしても、すべての子どもたちにワクチンを届けるまで、この仕事を続けます」とデンさんは言います。この日、彼女のチームは、ラオスの首都から北に4時間行った場所にあるNam Poung村に、ポリオワクチンを届けに向かいました。
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2015年、子どもを含めた計11人がポリオ・ウイルスに感染し、2人の子どもが亡くなりました。モン族が暮らすこの村のように、都市から遠く離れ、貧しく、伝統的な生活を営むコミュニティでは、病気や感染症の影響を大きく受けてしまいます。危険なウイルス感染が広がった場合、その拡大を食い止め、保健ケアサービスを最も必要としている人々のために、保健医療チームがその地域に赴くことが重要です。
「私たちが仕事をする時間は、時期によって異なります」とデンさんは言います。「今は稲の収穫時期です。この村の人々はみな農民なので、家から遠い農地まで働きに出かけてしまいます。だから、私たちはコミュニティのニーズに合わせて活動しています。もし彼らが3時だと言ったら、わたしたちはその時間に来ますし、夜だと言ったら、私たちはその時間に合わせます」
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村を訪れた保健チームは、まず始めに、村の中心部に予防接種の拠点を構えます。村長が拡声器を用いて、子どもたちをワクチン接種に連れてくるよう現地語で伝えると、数分後、親が小さな子どもを抱え、その後を兄弟が追ってやって来ます。
「15年間にわたって、私はこのような予防接種キャンペーンに携わっています」と、デンさんは言います。「今日私のチームは、ポリオの予防接種を行うために来ました。誰も取り残さず、すべての子どもが予防接種を受けられるように、この後、家々をまわる予定です」
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拠点での活動が終わると、チームは歩いて移動し、予防接種に来なかった子どもを探すために各家庭を訪れます。1つのコミュニティで予防接種を受けた人の数があまりにも少ないと、感染が拡大する危険性は高まります。実際に2年前、近隣の村でその悲劇は起こりました。
「もう二度と、ポリオの発生が起こってほしくありません。だから、私たちはすべての子どもたちに、ワクチンを届けなければならないのです」とデンさんは言います「Nam Poung村のような都市から遠く離れたコミュニティで予防接種を行うことは、すべての命を守るために優先すべきことなのです」
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ユニセフは、世界保健機関(WHO)とともに、50万人以上の5歳未満児に命を守るワクチンを届けるため、ラオス政府に対して支援を行っています。7,200人以上のボランティア、そしてデンさんのように保健員として働く1,400人以上の人々が、経口ポリオワクチンやその他のワクチンを届けるために、活動を続けています。
「この仕事ができることがとても幸せです。コミュニティのために力を尽くすこの仕事を、私は誇りに思っています」(デンさん)
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