【2018年7月5日 ベルリン 発】
本日開催された会合で、専門家たちは、長期化する紛争が子どもや若者の精神保健に与える破壊的な影響に対処するためのより多くの行動が必要であると訴えました。
ドイツ連邦経済協力・開発省がユニセフとの協力のもとで主催し、各国政府、国連機関、人道支援・市民団体の代表が参加した国際会合「人生を立て直す(Rebuilding Lives)」は、精神保健・心理社会的支援を提供するプログラムへのより多くの協力を要請しました。
「武力紛争下で成長する子どもたちの、心の奥深くにある傷は見過ごされがちです」とユニセフ事務局長ヘンリエッタ・フォアはベルリンで述べました。「子どもたちは暴力、恐怖や将来の見通しのない状況に長期間晒されることで、何年にもわたり学習能力、行動、情緒・社会性の発達に致命的な影響を受けることがあります。放置された場合、衝撃的な出来事を目撃あるいは経験したことによる有害なストレスは、おねしょ、自傷、攻撃的あるいは内向的な行動、うつ状態、薬物乱用の発生を増加させ、最悪の場合は自殺に至らしめることもあります」
世界の約2億5,000万人の子どもが暴力的な紛争の影響を受ける国に暮らし、紛争により避難生活を余儀なくされた人の数は6,800万人と推定され、その半数は子どもです。中東とアフリカで危機に瀕した国々では、暴力の影響は、子どもたちと若者の世代全体に重い負担を課しています。そして、もともと精神的疾患のある人、老人、あるいは障害を持つ人々など弱い立場にある人々を周辺化する結果に繋がっています。
紛争、避難生活、性的・ジェンダーに基づく暴力などのその他の衝撃的な出来事を経験した子どもたちの中には、それらと向き合い立ち直るために特別なケアを必要としています。
深刻な衝撃的な出来事を経験した家族や養育者も見過ごしてはなりません。彼らの中には、子どもたちが必要とするケアを与え続ける前に、特別な配慮を必要としている人がいます。
会議参加者は、政策決定者、人道・開発支援機関、学識者が共同して、子ども、若者そして弱い立場にある人々に対する精神保健と心理社会的健康を支えるために、実証に基づいた持続可能なサービスを改善し拡充することを求めました。
参加者は、両親、教員、保健・社会サービス従事者、宗教的指導者を含む、既存のコミュニティ支援ネットワークが重要な役割を果たすことができると述べました。
ユニセフは今年、イラク、ヨルダン、レバノン、シリア、ソマリア、南スーダンなど危機的状況下にある子どもと若者390万人に対して心理社会的ケアの提供を計画しています。スポーツ、芸術、および遊びなどのコミュニティを基盤とした精神保健と心理社会的ケアの活動は、子どもたちの回復、心理社会的健康、そして保護に必要な安全で養育に適した環境を促進します。
さらにユニセフは、不安定でより専門的な精神保健ケアを必要とする子ども、若者、家族に対する、専門医(施設)の紹介制度を構築し、ケアの連携を確実にしています。
「過去に類のない数の複雑化し長期化する人道危機と紛争に直面する私たちは、子どもたちと若者が必要としている心理社会的ケアを優先するためにより多くのことが出来得るし、またしなければならないのです」(フォア)
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