【2018年10月10日 東京発】
2015年9月に国連で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals, SDGs)」。2030年の社会を担う子どもたちの学びをサポートするため、日本ユニセフ協会と外務省が約1年半にわたって制作を進めてきた中学生向けの副教材『私たちがつくる持続可能な世界~SDGsをナビにして~』がこの度完成し、現在、全国約1万校の中学校のすべての3年生に向け発送作業が進んでいます。
10月9日(火)、本年1月に就任したヘンリエッタ・フォア事務局長の初来日の機会を捉え、板橋区教育委員会ならびに同区立赤塚第二中学校のご協力で、同中学校3年生が参加する本副教材を用いた第1回目の授業を、報道公開の形で実施しました。
© 日本ユニセフ協会 |
授業の冒頭、教壇に立ったフォア事務局長は、「世界中すべての子ども・若者を取り残さないために」「ここにいるみなさんが、その(国際社会の取り組みの)主役です。」と、子ども・若者の役割の重要性を強調。授業は、参加した3年5組の生徒さんたちが、17あるSDGsゴールの中で、自分自身が優先的に取り組んでいきたいと思う目標は何かを考える事から始まりました。
授業を担当された中野英水先生は、次に、『不平等をなくす!』『暴力や差別をなくそう!』『地球環境を守ろう!』の3つのテーマで構成された副教材の内容を紹介。「この副教材には入りきらない情報がまだまだ沢山あるから」と先生の指示を受けた生徒たちは、各席に配られたノート型コンピューターを使って、副教材と連動した日本ユニセフ協会のポータルサイトを検索しました。生徒たちはその後、グループワークを通じて、お互いが選んだ目標やその理由、持続可能な社会をつくるために、解決方法を考えてみたいと思う課題等について意見を交換。ともすると地球環境問題に偏りがちなSDGsですが、生徒さんたちは、栄養や国内外の格差、紛争等の様々な国際課題や、企業の取り組みにも関心を寄せていました。
授業に参加した生徒さん方からは、「(SDGsの)知識を広めてゆきたい」(小林優太さん)「(学んだ事を)世界に伝えていきたい」(成田彩楽さん)「日本と世界の生活の差が無くなり、みんなが安心して生活できる世の中になってゆけば」(武内陽菜さん)と言った感想が寄せられています。
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SDGsが国連で採択された翌年、日本ユニセフ協会は、『SDGsを伝える先生のためのガイド』を制作し、全国の学校に配布しました。この資料をきっかけに、2016年12月に決定された政府の「SDGs実施指針」に盛り込まれた学校におけるSDGs学習推進のための新たな教材づくりをとの提案が、同指針の調整を担う外務省から寄せられ、2017年5月、本副教材『私たちがつくる持続可能な世界』の制作が始まりました。
今年5月までの約1年間、日本ユニセフ協会は外務省とともに、学識経験者、教育関係者、子どもの権利の専門家、文部科学省担当者等で構成する「持続可能な開発目標(SDGs)に関する副教材作成のための協力者会議」を開催。教材の方向性、内容、構成などについて議論を重ね、中学校で社会科を担当されている先生方にご参加いただいた「SDGsに関する副教材作成のための作業部会」において、学校現場で使っていただきやすい教材づくりを念頭に制作を進めました。
この作業部会のメンバーで今回授業を担当された赤塚第二中学校の中野英水先生は、中学校3年生の最後の時期に使われることを想定したこの副教材について、「中学校を離れ、さらに社会に出てゆく時に、こうした(自分と日本や世界で起きている事の関係や、そうした課題に自分は何ができるのかという)意識を持って、中学校の社会での学びを活かして社会で活躍して欲しいという思い」を持って制作に参加し、授業に取り組んでいると語ります。
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『私たちがつくる持続可能な世界~SDGsをナビにして~』は、主に中学校3年生の社会科(公民的分野)において活用していただくことを想定し、子どもにわかりやすい視点で、SDGs達成に向けた、世界の、また日本の課題を、ユニセフなどのデータを交えて簡潔に説明しています。また、政府、企業、国際機関や子どもたち自身による、SDGs達成への取り組みも紹介。この教材を通じて、子どもたち一人ひとりが、世界の課題を自分事としてとらえ、関心のあるテーマ、将来にわたり取り組みたい課題を見つけ、持続可能な世界の創り手として成長していくきっかけとなることを目指しています。
ポータルサイトでは、副教材をダウンロードいただけるほか、子どもたちの調べ学習の参考となる情報や、関連資料、映像等も掲載しています。
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本副教材の制作および全国の中学校への送付にあたり、
りそなグループ「全国版CSR私募債~日本万博・SDGs応援ファンド~」を通じて
お寄せいただいたご寄付を活用させていただきました。
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