【2018年10月24日 東京発】
10月24日は「世界ポリオデー」。
生涯にわたり麻痺を引き起こす可能性がある感染症―ポリオ。世界は、およそ30年にわたりポリオ根絶に向けて大きく前進してきました。ユニセフもその一員である「世界ポリオ根絶推進活動」(GPEI:Global Polio Eradication Initiative)が立ち上がった1988年当時と比べ、ポリオ症例は99%減少。2017年、野生株によるポリオの症例が確認されたのは世界でわずか2カ国、年間22件まで減少したものの、2018年も症例が確認されており、ポリオ根絶の達成まで予断は許されません。
©日本ユニセフ協会/2018 |
日本ユニセフ協会は8月30日(木)、第42回トロント国際映画祭でワールドプレミアが行われ、2017年の世界ポリオデーでも紹介された作品『ブレス しあわせの呼吸(原題:BREATHE)』の特別試写会をユニセフハウスで開催しました。
本作品の主人公、ロビンは、28歳でポリオに感染し、首から下の麻痺によって人工呼吸器なしでは生きられない身となります。ロビンがポリオに感染した1959年、この頃日本でもポリオが流行していました。日本国内では、1961年に経口ポリオ生ワクチンを緊急輸入し、いっせいに投与することで流行は収束していきました。
本作品が描いた時代はもちろん、世界でもわずか30年前まで、年間35万人以上の子どもがポリオによって麻痺を発症したり、命を落としたりしていました。ユニセフは、このような悲劇を世界からなくすため、1988年、世界保健機関(WHO)や国際ロータリーなどとともに「世界ポリオ根絶推進活動」を立ち上げ、ポリオ根絶に向けて取り組んできました。世界の25億人の子どもたちにワクチンを届けた結果、99%ポリオの症例を減らすことに成功。2017年に報告された発症例はわずか22件(野生株によるもの)でした。
ユニセフは、ワクチンを劣化させないためのコールドチェーン(低温流通システム)を維持しながら、ポリオワクチンを調達し、供給しています。さらに、紛争地域や遠隔地などで予防接種を拒否する人々にもポリオワクチンの効用を説明し、彼らが望んで接種を受けるよう認識向上に努めています。現地では、ユニセフの支援を受けた地域活動員が、難民・移民の子どもを含むすべての子どもを特定・訪問し、保健従事者とも協力しながらワクチンを届けています。
©2017 Breathe Films Limited, British Broadcasting Corporation and British Film Institute. All Rights Reserved |
本作品では、どのような境遇に置かれても好奇心を失わず、生きる喜びを感じようとするロビンのエネルギーが、同じ境遇に置かれている周囲の人々の人生をも次第に変えていきます。「ただ生きながらえているのではなく、自分の人生を生きたい」その想いを胸に、ロビンは社会をも巻き込んでいくのです。
障がいの有無にかかわらず、誰もが社会の構成員であること。その人自身ではなく障がいに目を向けることは、その人のすべての可能性も奪いうる行為であること。 本作品のメッセージは、「誰ひとり取り残さない」というユニセフの公平性の原則にも合致しています。
© UNICEF/UN0473/Zaidi |
世界では、歩くことができないから遊べないと言い聞かされている子どもがいます。目が見えないから学べない、と言い聞かされている子どもがいます。この子どもたちには、遊んだり、学んだりする機会が提供されるべきであり、子どもたちが社会に貢献することができたならば、私たち全員がその恩恵を受けることができるようになります。ユニセフは、そうしたすべての子どもたちが持つ権利や願望、可能性を尊重し、子どもたち自身が日常生活の意思決定に積極的に参加するなど、子どもの権利の実現に向けて活動しています。
本作品を通じ、ひとりでも多くの方が、こうした状況に置かれている子どもたちの存在に目を向け、子どもたちを守るための国際社会の取り組みに参加していただければと願っております。
特別試写会に参加された方々からも、多くの声を頂戴しました。
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◇ 『ブレス しあわせの呼吸』
©2017 Breathe Films Limited, British Broadcasting Corporation and British Film Institute. All Rights Reserved |
角川シネマ有楽町他にて全国上映中
監督:アンディ・サーキス
製作:ジョナサン・カヴェンディッシュ
出演:アンドリュー・ガーフィールド、クレア・フォイ、トム・ホランダー、ヒュー・ボネヴィル
◇映画『ブレス しあわせの呼吸』一般公開に合わせ、ユニセフの取り組みをご紹介する特設ページをつくりました。
日本ユニセフ協会では、世界の子どもたちを取り巻く状況や問題、人道支援などに関する映画の上映会をユニセフハウスにて実施しております。関連する作品がございましたら、ぜひご紹介ください。
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