【2018年12月7日 ジュネーブ/マラケシュ(モロッコ)発】
14歳から24歳までの移民・難民約4,000人を対象としたユニセフの聞き取り調査の結果、回答者の3分の2が国を出ることを強いられ、約半数が単独で国を出たことが分かりました。
報告書『聞いてもらえる権利:移民・難民の子どもや若者の声を聞く(原題:A Right to be Heard: Listening to children and young people on the move)』は、若い難民・移民が安全でより良い暮らしを求めて移動する中で直面する課題や搾取などにおける、憂慮すべき実態を明らかにしています。
本報告書は、過去3カ月以上にわたって実施した、身元確認済みの移民・難民の若者約4,000人を対象にしたオンライン調査で収集した情報分析の下作成されました。調査結果では、移民・難民の若者が利用できるサポートやサービスには大きな格差があることを指摘しています。
「政治家たちが移民に関して対立をしている一方で、4,000人の移民・難民の子どもや若者は、もっと支援が必要であることを私たちに訴えています」と、ユニセフ統計・調査・政策局長 ローレンス・ シャンディ(Laurence Chandy)は述べました。「運命に翻弄される子どもや若者の声をさらに聞き、より深くかかわらなければなりません。調査が示している通り、私たちが聞く耳を持ちさえすれば、移民・難民の子どもたちは彼らのニーズや脆弱性について多くのことを教えてくれるのです」
本調査では、アフリカ、アジアおよびヨーロッパにいる回答者がおよそ9割を占めています。移民・難民の出身国であるシリアやウクライナ、あるいは、受入国であるドイツ、トルコやウガンダから回答しています。すべての移民・難民の若者の経験を代表するものではないものの、そのような状況に置かれている子どもや若者の声や懸念を知ることのできる貴重なプラットフォームです。
© UNICEF/UNI181864/Sokhin |
ユニセフは、人々の移動におけるさまざまな側面への共通のアプローチについて、初めて各国政府が合意する瞬間となる「安全で秩序ある正規移住のためのグローバル・コンパクト(Global Compact for Migration: GCM)」の採択のためモロッコ・マラケシュで開催される政府間会議に先立ち、若者への調査結果を発表しました。これは、マラケシュに集う世界の指導者に対し、移民政策の子どもへの影響について理解を促すためのものです。
「移動は不可避ですが、難民・移民の子どもたちが直面する危険や差別は防ぐことができます」シャンディは述べました。「各国は、安全な移動を確保する手段を持っています。グローバル・コンパクトに提示されたコミットメントや行動―常に子どもたちの最善の利益を守り、移民・難民の子どもを国の子どもの保護システムに統合すること―は、いずれも実現が可能です。グローバル・コンパクトは、地方や国の政府が取り組むことのできる良い実践やアプローチが記載された運用マニュアルも提供します」
主な調査結果には、以下が含まれます:
ユニセフは、子どもの出身国、移動で通過する国や目的地となっている国々の政府に対し、開発や移民政策において子どもの最善の利益を優先し、家族を離ればなれにせず、移民・難民の子どもや家族の拘留を止め、ノン・ルフールマン原則を守ることを呼びかけています。
本調査結果の通り、私たちにはやるべきことが残っています。移民・難民の子どもの権利を守るために必要な投資を行い、言葉を行動に変える時です。ユニセフは、以下を呼びかけています:
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