【2019年4月3日 ジュネーブ/ニューヨーク発】
ユニセフ(国連児童基金)と世界保健機関(WHO)は、水と衛生に関する共同監査プログラム(JMP)による最新報告書の中で、世界の保健ケア施設の4カ所に1カ所は、基本的な水の供給*が得られず、20億人が影響を受けていると述べています。
© UNICEF/UN034426/Rich |
JMP報告書「保健ケア施設における水と衛生(原題:WASH in Health Care Facilities)」は、世界の保健ケア施設における水と衛生環境について初めて包括的に調査したものです。報告書は、保健ケア施設の5カ所に1カ所は、衛生施設(トイレ)**がなく、15億人が影響を受けているとしています。また、多くの保健センターには、手洗い所などの基本的施設がなく、医療ゴミの安全な区別や廃棄がなされていないと指摘しています。
これらのサービスは、感染症を予防し、薬剤耐性の広がりを削減し、質の高いケアを提供するために、特に安全な出産を行うために必要不可欠です。
「保健施設における水と衛生サービスは、感染症の予防と管理、質の高いケアのために必要とされる最も基本的な条件です。すべての保健ケアを求める人と保健スタッフの尊厳と人権を尊重するための大原則です」とアントニオ・グテーレス国連事務総長は述べました。「世界のすべての人々に、保健ケア施設に水と衛生施設を設置する活動を支援するよう求めます。これは、持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために必要不可欠なのです」
© UNICEF/UN0267022/Raoelison |
JMP報告書は、後発開発途上国(LDCs)では保健ケア施設の僅か半数(55%)しか、基本的な水の供給がないとしています。世界の新生児の5人に1人がLDCsで生まれると推定されることから、毎年1,700万人の女性がこれらの国で適切な水と衛生環境のない保健センターで出産していることになります。
「子どもが適切な水や衛生環境が整わない保健施設で生まれることは、母親と生まれた赤ちゃん両方の病気への感染や死のリスクが高まります」とユニセフ事務局長ヘンリエッタ・フォアは述べました。「すべての出産は、石けんと水で洗われた安全な手で、殺菌された器具を使い、清潔な環境で行われるべきです」
ユニセフによれば、2017年には、毎日7,000人の新生児が亡くなっており、そのほとんどが敗血症などの予防可能かつ治療可能な原因によるものです。ユニセフは「Every Child Alive」キャンペーンの一環として、各国政府および当局に対して、すべての母親と赤ちゃんが低コストで質の高いケアを確実に受けられるようにすることを求めています。
*基本的な水の供給: 保健ケア施設内に「改善された水源」からの水の供給がある。
**基本的な衛生サービス:保健スタッフ専用のトイレが少なくとも1つ、生理関連設備が備えられた男女別のトイレが少なくとも1つ、移動の制限のある人のためのトイレが少なくとも1つを備えた「改善された衛生施設(トイレ)」が使えること。
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ユニセフと世界保健機関(WHO)による水の供給と衛生施設についての共同監査プログラム(JMP)は、飲み水、衛生施設(WASH)に関連する持続的な開発目標(SDGs)の達成に向けた世界各国の進捗を、モニタリングする責任を担っています。JMPは国別、地域別、世界レベルにおける、世帯、学校ならびに保健ケア施設における推計をおこなっています。
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