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日本ユニセフ協会
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ウクライナ東部
5年間で学校750校以上が損傷・破壊
ユニセフ、学校修復や心理社会的ケアを提供 政府に「安全な学校宣言」への賛同求める

【2019年5月21日  キエフ(ウクライナ)/ニューヨーク発】

ユニセフ(国連児童基金)は本日、紛争が続くウクライナ東部で、今年1月から4月の間に起こった学校への攻撃件数が昨年同時期の4倍に跳ね上がり、子どもたちが心理的なトラウマを抱え、怪我したり命を奪われる危険に晒され苦しんでいると発表しました。

5年間で学校750校以上が損傷・破壊

Sonia, 14 remembers the teachers helping to her calm down.  “Nobody expected it to happen,” she says. “Mom of one of our classmates got hit in the leg by shrapnel when she was running to pick him up.” After the first heavy shelling in autumn 2014, the children took their school break early. After armed conflict broke out in eastern Ukraine, the population in the small town of Novotoshkivske plummeted. Thousands fled the fighting that raged along the contact line just kilometers away. Others were injured or died as a result of shelling.  Five years on, life here – or what there is left of it – revolves around the school. The horseshoe-shaped grey brick building, which houses a middle school and kindergarten, has seen its fair share of the conflict, with one wing destroyed. Yet classes continue, as well as sports events, local elections and safety workshops. The school also becomes a shelter when shelling starts. Since the fighting began in early 2014, more than 750 educational facilities on both sides of the contact line have been damaged or destroyed. Schoolchildren continue to be in grave danger. According to UNICEF, there was a four-fold increase in attacks on schools during the first four months of this year, compared to the same period in 2018, traumatising students and putting them at risk of injury or death.

© UNICEF/UN0312564/Filippov

2014年から続く紛争による砲撃で破壊された教室に立つ14歳のソニアさん。

2019年1月から4月の間に学校が受けた攻撃は12件で、昨年同時期は3件です。この警戒すべきレベルの増加は、教育施設に対する攻撃が40件を超えた2017年に、生徒や教員が経験した激しい暴力を思い起こさせるものです。

「ウクライナ東部の紛争の影響で、生徒たちは、長期におよぶ精神的および身体的な傷を負っています」とユニセフ事務局長ヘンリエッタ・フォアは述べました。「砲撃や銃撃があるたびに、学校での正常な生活が中断されます。子どもたちは学校の地下室や地下の防弾シェルターに逃げなければなりません。そして、子どもたちは恐怖のあまり授業が受けられなくなることが多いのです」

2014年に紛争が始まって以来、政府統治地域と非政府支配地域とを分断する「コンタクト・ ライン(接触線)を挟んだ両地域の教育施設750校以上が、武力攻撃により損傷を受けたか、あるいは破壊されました。コンタクト・ライン沿いには、軍事拠点や基地、貯蔵設備、セキュリティ・チェックポイントなどの軍事施設があるため、子どもたちは深刻な危険に晒されています。さらに、地雷や不発弾は、子どもたちの安全を脅かし、心理的トラウマや精神的なストレスの要因となっています。

「攻撃を受け損傷し、流れ弾を避けるために土嚢で囲まれた教室は、とても子どもたちが学習する環境ではありません。すべての紛争当事者は、学校を守り、子どもたちの安全を守らなければなりません」とフォアは言いました。

政府に「安全な学校宣言」への賛同求める

窓辺に土嚢が積まれた教室で勉強する13歳のマリアさん。

© UNICEF/UN0300571/Filippov

窓辺に土嚢が積まれた教室で勉強する13歳のマリアさん。

ユニセフは、直ちに攻撃を終わらせ、いかなるときでも子どもたちを保護するよう求めます。ユニセフは、ウクライナを含むすべての政府に対して、武力紛争下であっても意図的・無差別な攻撃から生徒、教員、教育施設を守るために確固たる措置を取るとした政府間の政治的約束『Safe Schools Declaration(安全な学校宣言)』に賛同することを強く求めます。

来週、スペイン政府が主催する第3回学校の安全に関する国際会議は、各国による宣言への取り組みの進捗状況を発表する良い機会となるでしょう。

ウクライナ東部全体において、ユニセフはパートナー団体と協力して、紛争の影響を受ける数十万人の子どもたち、若者、および養育者に対して、彼らが切実に必要としているカウンセリング、心理社会的ケア、地雷回避教育を提供しています。ユニセフはまた、損傷を受けた学校や幼稚園の修復支援、ならびに教育キット、学校用家具やスポーツ用品などの学用品の提供も行っています。

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